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彼女の彼  作者: こはる
変な奴・・・
2/53

「有紗≪ありさ≫帰ったの?」



 玄関を開けると、お母さんの声がした。



「うん……」


「ちょっと、遅いわよ?」


「部活だし……」



 ……なんて言ったけど……



 本当は美術部だし……部活なんて出なくていいから。



 だから、部活なんてしてないけどね。



 でも、してないって言うと早く帰るように言われるし……




 ……面倒だから



 お母さんには部活ってことにしてる。




「それにしても、遅いわよ……?」



 ご飯を食べはじめると、お母さんの小言もはじまった。



「女の子なんだから、心配するでしょ?」


「ぅん……分かったから!……ご飯ぐらいゆっくり食べたいんだけど……」



 小言がうざくて……ちょっときつく言ってしまった。



「……心配するから連絡ぐらいしてね?」




 お母さんは、本当は……



 私の心配よりも、お父さんに文句を言われるのが嫌なだけなのに



 心配してるふりだけなのに……。




 私は、ご飯を食べると、さっさと自分の部屋に入った。




 ……ふぅ……!




 毎日……怠いよ……。





 ……あぁあ……




 ……疲れた……。





 それにしても……



 ……吉野くんって……変な奴だった……。




 お節介くんなのかな?



 あんなに普通に話しかけられたのって……



 最近ないかも?




 吉野くんって……



 ……誰にでもあんな感じの人なのかな?





 吉野くんとは同じクラスだけど……



 もう、六月も半ばになるのに、きちんと話したのは、今日が初めてかも?



 でも……同じクラスでも……話す人のほうが少ないけどね。




 でも、吉野くんって、今……思い出しても……不思議な感じだった……。





 ……そうだ……!




 どんな子か、恵梨≪えり≫に聞いてみようかな?



 恵梨は、クラスで浮いてる私に話しかけてくる唯一の女子。



 私は、昔から、女子の輪の中に入るのが苦手で、自分から話なんてしないし



 それに、別に……女子の輪に無理して入らなくても平気だったし



 だから、いつも一人でいた。



 ……苦手だし……だったら、一人の方が楽だったから。




 だけど、恵梨は、そんな私に何故かなついてくるから……



 いつの間にか一緒にいるようになってた。




 よし……!


 ……恵梨に聞いてみよう……!




『さっき、吉野くんに会ったけど、吉野くんってどんな子?』



 気になって……ラインで恵梨に送ってみた。



 ラインを送ると、すぐに、恵梨から返信がきた。



 恵梨の反応……はやっ……!!




『吉野くんと会ったの?いいなぁ!』




 恵梨の意外な反応に……びっくり!?




 えっ……いいって……?



 ……どうして……??



 真面目で変な奴なのに……!



 恵梨の反応が意外過ぎて……



『いいって?どうして?』


『吉野くんって、人気あるんだよ!有紗、知らないの?』



 えっ……そうなの!?




 へぇ……



 吉野くんって人気者なんだ?




 ちょっと変でも……整った顔立ちをしてるからかな?



 でも……吉野くんって、顔が良くても地味だったのに……




 ふぅん……。



 でも、そうなんだ……?




 なんか意外過ぎ……!!




『知らないよ。吉野くんって地味だったし、なんか意外な感じ!』


『吉野くんって雰囲気あるし、それにみんなに優しいから人気あるんだよ!』




 ……雰囲気って……不思議くんの感じかな?




 確かに……




 優しい感じは分かるけど……



 ……それだけだよ?




 でも、へぇ……。



 人気あるんだ?




『家の人が心配するから早く帰った方がいいよって言われた』


『そんなこと言われたの?』



 嫌味な奴って意味で言ったのに。



 恵梨は本気で羨ましそう。



 スタンプを連打してきた!





 ……そうなの!?




 ……そんなに人気があるんだ?




 でも、もしかして……??



 恵梨は、吉野くんが好きなのかな?




『恵梨が吉野くんを好きだとは知らなかったな?』



『違うよ!・・だって、吉野くんは誰とも付き合わないし・・』




 ……誰とも付き合わないの!?



 ……でも、どうして……??




 吉野くんは真面目そうだったし……?



 ……だからかな……?



『女の子に興味ないの?』


『違うよ・・・幼なじみが好きみたいだよ!』



 へぇ……



 女の子に縁遠そうな感じだったのに……



 ……吉野くんにそんな幼なじみがいるなんて……



 ……意外……!



『だったら、幼なじみと付き合えばいいのにね?』



 そうだよ……!



 だったら、もったいつけずに幼なじみと付き合えばいいのにね。



 真面目くんの考えてることは分からないな。




『でもね、幼なじみはもう一人いて・・その幼なじみと吉野くんとで取り合ってるから。その子と付き合うのは難しいみたい』



 ……ふぅん……。



 複雑なんだ……!





 でも、あの吉野くんが……



 一人の女の子を誰かと取り合うなんて……信じられないな……。




 意外過ぎるよ……!



 のほほんとしてて……そんな競争なんてしそうにないのに……。




 吉野くんの……あの笑顔が浮かんできた……。



 ……有り得ない感じなのに……。




 ……意外に情熱的なのかな?




 でも……



 その取り合ってる女の子って



 どんな女の子なんだろう……?




『なんか、意外だね?』


『噂だよ、有紗、もしかして吉野くんが気になってるの?』



 ……別に……違うし……!



 また、直ぐそういうことになるから……!



 ……もう、嫌だな……!





 でも……私より……



 恵梨の方こそ、どうなんだろう……?




 気になったけど……なんか聞けないし。




 ……まっいいか!




『別に。ごめん、今からお風呂に入るから!』


『りょ!また明日ね!』



 恵梨に、誤魔化してしまった。





 でも……



 ……そうなんだ……。




 吉野くんには好きな子がいるんだ……。




 ……別に……


 


 変な奴だから、ちょっと気になっただけだし





 だから、別にいいけど。



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