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夢じゃないかと思う瞬間

作者: のどあめ

暑い日が続く中、ちょっとした現実逃避のエッセイです。

 こんにちは、のどあめです。

暑いですね。あまりの暑さに現実と夢が溶け合ってしまうんじゃないかと思うこの頃です。


 突然ですが、にわかに受け入れられない現実を前に夢をみてるんじゃないかなって思う事はありませんか?


 私はあります。


 数年前だと、本番まで半年ちょっと前。家族の模試の結果がズタボロで()()の志望校の合格率が20%だった時。


 夢見てんじゃないよ、バーカ


 と合格率20%の数字が語りかけてきました。夢じゃないかな、夢であって欲しいと願ったけど何度見ても現実でした。うちの子、終わった…。


余談になりますが。必死の追い上げでなんとか受かりました。その代わり私の寿命は五年ほど縮みました。




 それから。蛇が足に巻き付いた時。


 まだ小学校低学年の頃、冬に越冬する生き物を見に空き地の草むらに入り込んだのです。


 探しても生き物は見つからず。小学生のどあめは速攻で飽きて、日当たりの良い冬枯れの草むらをがしがし踏んで遊び始めたのです。


 ある所を思い切り踏んだ時。あれ、足が動かない。両足がぎゅうぎゅうと何かに巻き取られている様な。蔓に足をとられたのかな、と足元を見ると。


 ギラギラ光る白と黒と灰色の縞々の何かが両足に巻き付いていたのです。


 へ、へ、ヘビだー!


 どうしよう、ヘビだよ。咬まれるのかな?マムシかな?毒持ってるのかな?私、死んじゃうの?


と、一瞬で思考が駆け巡ったのを今でも思い出せます。観念して目を閉じた時、するりとほどけていく感触。あ、足が動く。ヘビは?


 足元には何もいない。


 ちょっと待て、シマヘビなのかマムシなのか確認したかったのに。しかしヘビの姿は嘘の様に何処にも見当たらなかったのです。


 あれ?私、夢でも見ていたのかなと思った瞬間であります。これは悪夢だけど。





 悪夢と言えば修羅場ですね。私の場合は観戦していた側ですが。


 ケーキとカフェオレが美味しい喫茶店で一人とぐろを巻いていると、聞こえてくる不穏な男女の言い争い。


 見ると金髪のイケメンとアジア系の女性が言い争っている。


「私との事は遊びだったの?」

「いや、君とはちょっとしたラブアフェアだったんだよ」


 とか言ってるらしい。


「僕には妻がいるんだよ…」


 なんだと?


 ふ~ん。このイケメン、奥さんいるのに手をだしたんだ…。どちらに味方するかがこの時決まった。


「責任とってよ!」

「君だってわかってるだろ!」


 頑張れ姉ちゃん!

 がっちり取れる物とって踏んだくれ!


 とお姉さんを心の中で応援しながら一人カフェオレを飲む私。当時、彼氏いない歴=年齢だった。


 それにしても、この二人。なんだってこじんまりとした静かなカフェを修羅場の舞台に選んだのか。


彼氏無しの私には、目の前で起きているのが夢みたいだった。これが小説やドラマで出てくる修羅場という物か。こんなドラマか映画みたいな非日常が本当に起こるもんなんだな~と思った瞬間である。お店の人も困っただろうな。





 それから何年かたち。私が慢性疲労に寝不足と戦う社畜していた頃の事です。


 ぎゅうぎゅうの通勤電車。

ふと前に座っているおじさんを見ると、なんだかおじさんの眼鏡のレンズがやたらと分厚い。


 ん?

  (;ωゞゴシゴシ・・・え?

 私、夢でも見ているのかしら?


 メガネ オン メガネ


 おじさんはメガネを二つ重ねてかけていたのです。


 見直したけどやっぱりメガネを二つかけてるよね。なぜ?とおじさんをガン見する私。


 しかし。当のおじさんも周りの人も平然としている異空間が車内に展開されていたのです。


私だけ感覚がおかしいの?


何か悪い夢でも見ているのかしらと思った瞬間です。





 社畜をやめて何年もたっても、非日常的な光景を目にしてしまいました。


 虚ろな眼差しで買い物袋を大量に抱えて帰宅していたある日の事。後ろから勢いよく、お兄さんが私を追い越していきました。一輪車で。



 え? (;ωゞゴシゴシ・・・え?



 そのお兄さんは一輪車に乗って爆走しています。一輪車乗る大人もめったにいないけどさ。


 お兄さんは。お兄さんは。何故か首の後ろに猫を乗せて坂道を駆け上がっていたのです。ペルシャかチンチラとおぼしき長毛の猫は慣れているらしく、お兄さんの首にふさふさの白いマフラーの様に巻きついて微動だにしない。


 なにこれ?


 もたもたとスマホを出している間にお兄さんと猫は坂の向こうに消えていってしまいました。


 私が見たのは何だったのかしら?


 その記憶が薄れる前に、職場近くの駅で私は同じく一輪車に乗って走るお兄さんと猫を見たのです。


 私、頭大丈夫かしら?


 と自分がちょっと心配になりましたが。幸いな事に職場の人も目撃していました。後日そのお兄さんはテレビにでていたと別の職場の人から聞きました。良かった、実在していた。





 家族といても不思議な物を見る事があります。相方と一緒にまだ小さかった子ども達を連れて、当時まだイケていた二足歩行ロボットを見た帰り道。


「少し遠回りして帰ろうや」


 と相方に言われ、和菓子とらや本店の前を通りかかっていた時。お茶したいな~と物欲しげに店を眺めていたら。


「お母さん、たろうが階段登ってる!」


 目を離した隙にたろうが店の奥にある建物の階段を登りだしているではありませんか。よそ様の建物に不法侵入している~。


 どうして家の子たちは階段を登りたがるのだろうか。お前達は煙か何かなのか?


 慌てて追いかけた先には。


 え? (;ωゞゴシゴシ・・・え?

 私、異空間に紛れこんだのかしら?


 夕暮れ時、なんとも不思議で幻想的な空間がコンクリ造りビルの階段の上にありました。


 少し色褪せた朱塗りの柱の先、小さな祠が並び、鈴がある。


 稲荷神社と書いてあるのに狐ではなく猫の像が飾られている〜?

私は目を疑いました。


 もしかして猫さまがご本尊?

 神社の名前も某ランドのキャラに当て字をつけたような不思議な名前です。


 猫を祀る神社。見た事も聞いた事もない神社の名前。個人で祀っているのかあるいは…。


 境内には私と子ども達だけ。

ぽっかりと異空間に入り込んだ様に静かで、そこに夕闇がたちこめ始めていました。


 神社の由来を読もうとすると。


「おい!さっさと降りろ!」


 とのたまう相方の声。


「ねえ。猫の神社みたいだよ?珍しいから少し見てみようよ?」

「いいから降りろ!私有地だろ!」


 頭の固いくそ真面目はこれだから。少しだけ結婚を後悔する瞬間であります。


 しかし、ビル駐車場の上のスペース。相方の言う通り、私有地かもしれない。こうして後ろ髪を引かれながらも、私は家族を捕獲して戻ったのでした。



 それから何年もたって、記憶が朧気になった頃。なろうのとある作者様の作品を読んでいた私。


赤坂からのお散歩と猫の神様という内容にひかれて読んだその作者様のエッセイで、私は「あ」と声をあげました。


そこは美喜井稲荷神社というれっきとした神社だったのです。


 掲載されている写真を見ると確かにあの日のお猫さま。


 夢のようだけど夢じゃなかった。



 おしまい


作者様はコロン様です。

ご興味ある方は、コロン様のエッセイ

「赤坂のお散歩。猫の神様と推し活」

https://ncode.syosetu.com/n6380ig/

を是非ご覧下さい。素敵な猫の神様です。


コロン様、ご快諾頂きありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
カフェでの出来事、実際に目にすると、夢のように感じるかも知れないですね。一輪車で追い越されたら、たしかに目で追ってしまうと思います。「メガネ オン メガネ」も、想像してしまいました。面白かったです。 …
夢のように現実離れしているけれども、確かに起きている現実。 それはまさしく「白昼夢」と言うべき状況ですね。 一輪車で爆走する青年が優れた一輪車技術の持ち主であるのと同様に、眼鏡を二重にかけていたおじさ…
夢のような出来事、けっこうあるんです。 でも、だいたい素敵な事ではない…気がします(笑 蛇に足巻かれたのはそうないですよね! 怖いような神秘的なような… カフェの修羅場!笑 見てみたいなぁ(笑 おば…
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