一話_木の下で
一話_木の下で
なにも できなかった
それどころか…私、、、私は、、、、。
『なんだかこの子、まだ…』
夢なんて見ても、何一つ碌な事なんて無い。
その理想をを現実にできる者は、よっぽど何かしらの奇跡に巡り合えたか…
死に物狂いで努力を続けた人かのどちらかしか居ない。
『私ね、こういう子とっても…』
それでも、、、
それでも、、、!!!!!!
諦めたくなんかなかった。
『ふふ…むふふふ…!見つけた、新しい‥‥』
才能が無くたって、努力が足りて無くたって、、、
私は…その夢を手放す事ができなかった…
いや、違う
『七星流々歌よ』
私は…手放すことが
『お前、私らと来ないか?』
怖かったんだ
・・・・
・・・
・・
「‥‥う、、ここは…?」
草木をほんのり揺らす、少々肌寒い程度の風が彼女の身体に触れては過ぎ去って行く
徐々に目を開けていくと…ぼんやりと赤く染まった月明りだけが照らす、地平線の彼方まで続く夜空…
人工物も存在せず、ちょこんと座る彼女を背後で支えるているのは…開けた草原の中、不気味に唯一佇む…年季の入っていない小綺麗な木
そんな…何もない場所で彼女は
「ここ‥‥どこ、、?」
一人、不思議そうな顔を浮かべていた。
沈黙の時間‥‥
ただ草木が風によって擦れる音だけが、場に聞こえる
「えと、、そうだ…!、私は…私の名前は…、、えと、、、」
そんな不思議そうな顔は徐々に引き攣り…身体は肌寒い風関係無しな謎の冷汗が流れ…遂には
「あれ…私って、、、誰?」
焦りに変わってしまった。
(あ‥‥あれ?本当に思い出せない、、私は誰?ここはどこ…?今は何時何分何秒?天体が何回廻った日!?)
彼女には記憶が無かった。
これまで自分がどのような人生を歩んだのか、どのような交友関係を持っていたのか、どのような人間だったのかすら…
まるで軽い軽い綿毛が風に乗って飛んで行くように消え…爪痕一つ無く空っぽになっていた。
彼女に残されていたのは…
(でも…どうして言葉は話せるんだろう、、常識や法典とかも全然思い出せれる‥‥ただ、私に関する記憶だけ消えてるんだ…、、なんで?)
心の中でもツッコミせざるを得ない状況であった。
木に手を掛け、足に力を入れて立ち上がる。
「ふぅ…なんだか身体も少し重い、、ってか…遠くに山は見えるけど…この周りはただの草原って感じね…こんな場所で、何で私は座ってたんだろ…?」
謎が浮かんでも、考えれば考える程に謎ばかりが増えていく。
そのうち…少しづつ草原を歩き始める
不自然に生えた木を背のまま…遠のいていく
「少しでも場所を変えれば、何か思い出せるかな…?」
そうして宛ても無く、彼女は彷徨い始める。
その先に何が居るのかも 知らずに。
夜は深く 彼女を覆い隠す