藤原家
これは私の母の物語。
母は田舎の農家の三姉妹の三女として産まれた。
この家はこの辺りではかなり大きめの家で、
祖父母、つまり私の曽祖父母は部落のまとめ役をしていた。
母の両親、つまり私の祖父母も同様に農業をしながら
働きに出ていた。
母の一番上の姉は、祖父の前妻との間の娘で、後妻に入った祖母の事を考えた曾祖父によって、早くに嫁がされた。
母の二番目の姉は、母と同腹の姉妹。
母が産まれてまもなく、
真ん中に家を継がせると家が潰れる と
曽祖父からお前には後を継がせない、嫁に行けと強く言われたらしい。
母は後継ぎとして、産まれた頃から曽祖父に可愛がられ、婿を取るようにといいきかされて育った。
この頃、後継ぎ・長男は家の中で別格の扱いをされていた時代。
家長の曽祖父の言う事は絶対で、それは本家の中のみならず、分家まで影響力を持っていた。
曽祖父が亡くなってからは、祖父が後を継ぎ、
祖母は口答えなど許されず、奴隷のように家事をしていたのを覚えている。
二番目の姉は、名前を はな子と言う。
はな子はとても気が強い性格で、
身体も三姉妹で一番ゴツく、
言うなればゴリラのような女だった。
常に相手を威嚇し、縄張りを主張する。
しかし、彼女をもってしても家長に逆らう事などできるはずもなかった。
もやしのようにヒョロヒョロで、
怒ることも、口答えをするようなこともない男のもとに早々に嫁ぐ事となる。
一番目の姉は、名前を 聖子と言う。
聖子もとても気の強い性格だが、
周りを味方につけるのがとても上手かった。
祖父の兄弟夫婦に可愛がられ、
はな子をも上手いことおだて見事に味方につけていた。
顔立ちも美人で、お金持ちの恰幅の良い男のもとに嫁いだ。
そして後妻の祖母とも上手く付き合っていた。
もちろん、表面上は。。。
母の名前は、美代子と言う。
美代子も負けず劣らず気は強いが、
農家の婿を取るように育てられたせいか、
二人の姉とは違い、
祖母のように自分の意見を主張することなく、
家のため、夫のため、家族のための人だった。
ただ、姉達に対抗するためなのか
私の子供時代は物凄く厳しく育てられた。
真直ぐに、
勉学に励み、
家事を手伝い、
妹や弟の世話をし、
担任の先生に心配されるほどの優等生に育った。
ちょっと話が脱線したので母の話に戻そう。