帰れずの地
未だ前に小娘様、背後に形容し難い恐怖の以下略に挟まれて睨まれてる我。
可哀想すぎるんだが……我。
小娘様の横にいた刃物従者が手に持った獲物をガシャンガシャンと嫌ーな音をさせながら……ん?何で!?何で我に近づいてくんのー!?
いやいやいや、笑顔で刃物ちらつかせ……ってそれ何て猟奇的!?
我の前足を掴んで、ユカが言う。
「さーて、やっちゃおうか?」
何をーーーーーーーーーー!?
たーーーーすーーーーけーーーーてーーーー!
イヤァァァーーーーーーーーーー!
パチン、パチン、パチン……。
小気味良い音が響く。
我に取っては屈辱である……がっ、身体をがっちりと押さえ込まれ動けぬぅぅぅ。
「動くと危ないから大人しくしなさい」
我の前足の爪……きーらーれーたーーー。
鋭い爪が自慢だったのに……。
「後ろ足も切る!」
「……我の尊厳……」
「怪我人出るからそんなもん、いらねぇ」
野生の尊厳、木っ端微塵である……しくしく。
我…、恥ずかしくて元いた森に帰れない……。
「どっちみち帰す気はないかなー?」
ヒィ!
我、思ってたこと口から駄々漏れしてた!?
……帰す気無いって、どーいう事!?小娘様ァ!?
「……まぁ、あの子がああ言っている内は……無理かなー」
ねぇ、憐れみの目で見るの、やーめーてー!?
何と言うか、その……新しい生贄見るように見るの、辞めてください?
ねぇ、生温い視線で黒い笑顔になるの、ほんっとーに辞めて?
特に、その名状しがたい恐怖の対象のお方?
「元の世界とここで愛玩動物生活どっちがマシだろうな……」
愛玩……哀願の間違いじゃありませんかね……それ。
つーか、その二択って究極過ぎませんかね以下略さん……。
「元の世界に戻れるかは知らんけどな」
それ、そもそも選択権皆無っ!
「あの……我の権利……は?」
「あると思うの?」
小娘様、即答っ!?
「実際問題として、野犬として扱われると……ねぇ」
その含みある言い方、めっちゃ怖いんですけど!?
「……体験したいなら放り出すが?」
「……ゴメナサイ、我が悪かったデス」
平身低頭平謝りする我。
…………悲しい。
我の……矜持、行方不明になった……。
「よしよし……」
子供の手で我の頭が撫でられる。
小娘様ぁ……。
めっちゃ笑顔……だけど、目が笑って無いーーーーー!?
ガクガクブルブル………。
我の選択、本当に間違ってない……よね?
常識的な事をしている筈、、、なんですがね。
ユカさんが持ってるのは犬用の爪切りですよー。
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