未知との遭遇
我は、打ち震える──恐怖によって。
小娘達に連れてこられた箱のような建物。
そこに連れてこられたのは、まぁいい………と思っていたのだが、間違いだった。
我は、未知なるものを見て恐慌をおこしつある。
「はーい、痛くないよぅー?」
白いローブを着た、髭面親父が猫撫で声とか…気色悪いのである。
その右手には、見たこともないような物が握られている──先端は針のように細い銀色、そのあとに良く解らないものがくっついているが何ぞあれ!
とがった針みたいなもの、我に向けて何が“痛くないよぅー”だ!
どう見ても刺す気であろうが!
あんなもん刺されたら痛いに決まっておるだろうが!
「ジタバタすると、もーっと痛くなるからねぇー」
何、煽ってるのだ!
動こうが、何しようが、痛いものは痛いだろうが!
小娘、我を助けぬか!
何、ぼーっとこちらを見てるんだ!
「はーい、打つよー」
銀色の針は我の体に突き刺された。
『ギャァァァァァァ………。』
我の口から出たのは、「キャンキャンキャン」という甲高い鳴き声…あれ、我の渋い声何処行った……。
我はぐったりと崩れ落ちた──
「取り敢えず家に入れてもらえそーだね」
「ノミとかそういう駆除もしてからよー」
小娘達の声が遠くで聞こえる。
まだあるのか……?
我、命幾つあっても持たない気がしてきた…。
「はい、お口開けようねー」
何、ぐいぐい口をこじ開けようとするのだ!
押さえつけて、口開けようとするとか鬼畜すぎないか?
神狼たる我に向かって、なんたる狼藉……。
うわっ!
何を口に放り込んだ!
………もぐもぐ。
あっ、旨いなこれ。
うん。おかわりが欲しい。
我、この世界に来て初めて食事したかも……。
「はい、いーですよー」
いや、良くないぞ。
我、痛い思いしかしていないんだが………?
小娘、謝罪を要求しろ!
さっきのをもう一度だな……。
いや、小娘我の首に何輪っか付けてるのだ。
その先に紐…引っ張るな!
ぐ…る…じ…い……。
「帰るよー」
うん。
引き摺られるより、我は自分で歩くことにする。
そうすれば苦しくないな!
狂犬病の予防注射打たれましたね(´・ω・)