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……馬車に揺られること、数十分。
街についた私たちは、
まずは手土産のお菓子屋さんに行くことにした。
「へえ、ここがエマが言ってたお店ね!
外装も可愛くてお洒落ね。」
お店には沢山のお客が入っており、賑わっていた。
「並んでますし、お嬢様が商品だけ選んで、私は並んで買っておきましょうか?かなり時間がかかりそうなので。」
「それだと、エマがお店見れないじゃない。
これくらい一緒に並ぶわよ?」
「いえいえ、私はよく街には出てますし、お嬢様はお久しぶりなので色々とご覧になってきたらどうですか?
あ!でも決して1人で行ってはいけませんよ!
ちゃんとラウルを連れて行くのですよ!
ラウルも目を離さなきゃように!」
エマは私と護衛騎士のラウル両方を見ながら言った。
「わかってるよ。お嬢様も1人でいっちゃダメですよ〜」
ラウルはヘラヘラしながら、私のほうを見ていた。
「わかったわ。じゃあ、エマ、これとこれとこれ。
プレゼント用に包んでもらって。
あと、エマが食べたいのもいくつか買っていいからね!
ちょっとぐるっと1周したら帰ってくるわ。」
「わかりました。楽しんできてくださいね。」
エマはニコッと微笑みながら、私たちを送り出してくれた。
「んーじゃあ、とりあえず色々お店を回ってみようかな。」
果物屋さんや、本屋さんなど色々とお店をみていると、
ある雑貨屋さんに目が止まった。
「ねえ、ラウル。あそこの雑貨屋さん行ってもいいかしら。
小さいお店だから、私1人でいってくるわ。」
「わかりました。では、私は店の前で待ってますので、何かあったら呼んでくださいね?」
カランコロン
「いらっしゃい」
色々な物が置いてある奥に
品の良さそうなおばあさんがちょこんと腰掛けていた。
「ゆっくり見て行ってちょうだいな。」
見渡してみると、色とりどりのアクセサリーが置いてある。
「…これは、魔法石のアクセサリー?」
魔法石とは、聖霊王の森でとれた加護のついた石を磨いたもの。言わば、お守りみたいなものだ。
「そっちにあるか黄色のが、回復の加護。これは、祝福の加護じゃよ。」
色々と見ていると、綺麗なルビー色のブレスレットを見つけた。
カランコロン
「店主、これを頂けないか。」
はっと隣をみると、
マントを被った長身で黒髪の男が立っていた。
「これって、そのお嬢ちゃんが手に持ってるやつかい?」
「そうだ。これが欲しいんだ。」
「申し訳ないけど、ここのは1点ものでね。
お嬢ちゃんが譲ってくれるのなら売ってあげれるけど。」
そうおばあさんが言うと、男は私のほうを向き直し、
「これを譲ってもらえないか。お礼はする。」
(んー、まあ気に入ってたけど、いっか!)
「いいですよ。お礼は大丈夫です。見ていただけなので。」
そういって、ブレスレットを手渡すと、
男はニコッと笑って
「ありがとう。えっーと名前聞いてもいいか?」
(え...えっーと知らない人だし、本名言っちゃまずいよね。)
「えっと、私はティ、、、ティア!ティアよ。」
「ティアか、、。俺はアル。よろしく。」
といい、アルは右手を差し出してきた。
私たちは握手をした後、アルはお会計を済まし
「ティア、もしよかったこれ。」
小さい小包を差し出した。
「さっきのお礼とまた会えたらってゆう気持ちをこめて。
受け取ってくれるかい?」
「いいの?ありがとう。そうね、また会えたらいいわね。」
わたしはにっこり笑って、そのプレゼントを受け取った。
アルは少し赤くなって、
「ええ、えっと、俺はもう行かないと。
じゃあ、またな!ティア!!」
アルは足早にお店後にした。
私は、すこし店内を見た後、
お父様とお兄様にそれぞれにカフスボタンを買い、
お店を後にした。
それから、エマと合流し、家へ帰る頃には
外は夕方になっていた。
家へ帰ると、お兄様が
「レティ!どこにいってたの?」
私を探していたようだ。
「エマとラウルと街に行ってましたの。
どうかしました?」
「いや、お茶でもしようと誘いに行ってもいなかったからさ。
僕も一緒に街に行きたかったなあ..。」
肩を落とし、しょぼんとしたお兄様に
「お兄様にお土産を買ってきましたの。
今回は行けなかったけど、今度は一緒にいきましょう。」
そう言いながら、お土産のカフスボタンを渡す。
「ありがとう!レティ!うれしいよ。
今度は絶対一緒にいこうね。
よし、お腹もすいただろうから、
早く着替えて晩御飯にしよう。」
(よかった、喜んでくれた。)
自室に戻り、着替えた私は晩餐会場へ向かう。
ギィー
もうそこにはお兄様が座っていた。
「あれ?お父様はまだかしら?」
お兄様に尋ねると、
「ああ、父上は城に呼ばれたよ。
なんか急ぎの用事みたいだ。先に頂いておこう。」
「わかりましたわ。」
私たちは談笑しながら、食事を済まし、
各自、自室へと戻って行った。
(ふぅ〜。あー明日、レオンハルトとローズマリンと初めて会う日なのね。憂鬱だわ。でも、絶対前回みたいにならないように気をつけなくちゃ。気を引き締めて行こう。)
私は明日に備えて、少し早めの就寝をすることにした。