1
…………どうして、こうなってしまったの。
寒く暗い牢獄にポツンと1人の令嬢が佇む。
かつては、美しい銀髪だった髪もお婆さんのような白髪のようになり、絶世の美女と謳われた面影はもうない。
カツ、カツ、カツ、、、
「言い様だな。レティシア・フォード。
お前にはここがお似合いだよ。」
目の前にはかつての婚約者、レオンハルト第二皇子がいた。
「レ、、、レオン、、、。」
「その名を呼ぶな!罪人が!
その名を呼んでいいのは、ここにいるローズただ1人だ!」
隣には美しいピンクブロンドの髪を持つ令嬢、そして私の親友ローズマリン・ゴーン男爵令嬢がいた。
「やめて、レオン!レティを追い詰めないであげて。あなたのお父様である、この国の王様を暗殺してしまったことは許せないわ。でも、それは法が裁いてくれるって信じてる。レティ?罪を認めて、償いましょう?」
優しい笑みを浮かべるローズは、
牢獄に舞い降りた天使のようだった。
「ローズは本当に優しいな。おい、レティシア。
明日、お前の刑が決まる。俺は絶対お前を許さないからな。」
そう言い放ち、レオンは行ってしまった。
1人残ったローズは、私に
「ねえ、レティ?なんでこんなことになったかわかる?」
「ロ、、ローズ!私!やってないの!
あんな優しい王様を殺すなんて、あり得ない!
ローズなら信じてくれるよね?!」
そう叫んだ私に
「知ってるよ?レティがやってないってことは。
だってね?やったのは、私だもん。」
ローズは美しい微笑みを浮かべた。
「........え?」
ローズは語りだした。
「私ね、レオンのお嫁さんになりたかったの。
子供の時からずっーと。でもね、邪魔者がいたんだあ。
それがね、レティ?あなたよ?
公爵の娘なんだかしらないけど、私はずっーとレオンの隣にいたの。あなたより、レオンのこと知ってるし、愛してるわ。
だからね?どうやったら、あなたを消せるかずっと考えた。
そしたらね?ある人が教えてくれたのよ?
この方法を。
あなた本当になーんにも気づかないんだから!
楽しかったわあ。
でもね、、もうそれも終わり。
悪役のあなたが死んで、主人公の私はレオンのお嫁さんになって、皇妃として幸せに暮らすのよ。
よかったわね?大好きな親友の踏み台になれて?
よかったわ。最後に話せて。
じゃあね?大好きな親友、レティシア。」
ローズは美しいピンクブロンドを靡かせ、
私の元を去って行った。
私は呆然となり、その去って行った跡を
ただただ見つめていた。
.......翌日
「判決を下す!罪人、フォード公爵家、レティシア・フォードは国王暗殺の首謀者とし、死刑に処す。フォード公爵家は取り壊し、公爵家みな死を持って罪を償うこととする。」
処刑台の上には、父であるクレイモント・フォード、兄のエイモンド・フォードの姿があった。
「っー!!!!お父様!!!!
お兄様!!!」
ガシャン!!!!!
(あ、、あ、、私のせいで、、、、。
あんなに優しかったお父様とお兄様が、、。)
コツコツ、、、
涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげると、
そこにはローズが。
「最後にレティとお話したいと思ったの。」
そう涙ぐみながら言い、私に耳元まで近づいてきた。
「この姿を見るために、あなたの処刑を1番最後にしたのよ?ふふっ。ほんといい気味だわ。」と呟き、
「あなたがしたことは、許されない。けど、あなたと過ごした日々は忘れないわ!私はあなたの分まで幸せになります!」
と、涙を流しながら高らかに宣言するその姿に、観衆はわぁーと歓声をあげ、拍手が鳴り響いた。
処刑台の上にのぼり、こう思った。
(.....私は家族をこんな目にあわせた、絶対にあいつを許さない。あいつ達を許さない。
死んでも、復讐してやる。)
ガシャン