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なんでこう最近は、特殊な人と触れ合うことが多いのだろう。


 てきとうにあしらって扉を閉めようと思っていたが、次の言葉がその気持ちを改めさせたーー。


「時間が無いので簡潔に。……使ったでしょ、魔法。3ヶ月前の事件の時に」


 ……逃げるべきだろうか?


 ーーだめだ。家にまで来ている時点で、素性は知られているに違いない。


 そもそも何者なのか、目的は何か、後ろ盾はどの程度のものか、情報が足りない。


「まずは名乗るのが筋じゃないですか?」


「はぁ、まったく。一般人というのは、礼儀だの何だのと、会話のテンポを遅くするから嫌になるね」

 やれやれと肩をすくめて、心底面倒臭そうな表情をする。


「お互いこれ以上会話しても不毛じゃないですか? もういーー「元世界エネルギー研究開発機構 魔素研究科所属、名前は……博士とでも呼ぶといい」

 自称、博士は被せるように会話を遮り、自己紹介をした。


 驚いたことにWERDOの爆発した研究室所属のようである。元、と付いているあたり、組織は事件の後解体されたのだろう。


 そんな人物が一体なぜうちに……?


「今度はダンマリか、まったく。別に取って喰おうって話じゃあ無い。調査と、あ、奴らへの嫌がらせが目的だよ」


「奴ら? 一体誰が何をするって言うんですか?」


 博士は大きく溜息を吐くと、辺りをちらちらと気にしながら口を開いた。

「私の事は今説明した。君も私に興味を持っている。こうして立ち話できる内容では無い事、分かるだろう?」


 ジトリと見られる。

 家に入れろ、と暗に迫られている……。


 確かに怪しい人物と、怪しい会話をしているところを、近所の人にでも見られたら問題だ。

 だがそれはそれとしても、家には霧島さんも居るし、招くには抵抗がある。


「後日改めてというのは?」


「却下だ。もう時間が無い。」

 バッサリと拒否られる。


 押し問答をするのも得策では無い、か。


「はぁ……分かりました。どうぞ」

 観念して、扉を入れるように開く。


 霧島さんには別で埋め合わせ、もといお詫びをするしか無い。


「まったく、初めから素直にしていれば、余計な時間も掛からなかったというのに」


「そりゃあこのご時世に、急な来訪は警戒されますよ」


 ドタドタと中に連れ立って入ると、さすがに気になったのか、霧島さんがそーっと扉の隙間から様子を探っていた。


「あ、どうも……?」


「ふむ、君も一緒に聞くかね。興味、あるんだろう?」

「ちょっと! 霧島さんは関係無ーー「ぜひ!!」

 キラキラとした目でバーンと扉を開き肯定する霧島さん。

 巻き込まないようにと思っていたが、それは叶わなかった。


「何でこう、ままならないんだ……」


「ふん、このお嬢さんの方がよっぽど理解がいいね。まったく。」


 そして、なぜ罵られなければいけないのか……。


 博士はテーブルにつくと、残っていたマカロンを口に放り、話し始める。

「さて、君たちの知識がどの程度なのかもよく分からないことだ。重要なことだけ先に説明するとしよう」


 勝手に家を荒らされている気分で心底嫌だったが、魔法を使ったことが知られていること、元WERDO関係者の知識ということから、席に着き話を聞くことにした。

 霧島さんも同様に興味津々といった表情で隣に座る。


「ワクワクしますねっ!」


 耳元で囁かれ、鳥肌がたった。

 ……不意打ちとは恐ろしい子だ。


「っ!……お願いします」


「まったく、緊迫した状況だというのにイチャつくとは。……まぁいい、やっと話が出来る。私がここに来たのは、調査と嫌がらせが目的だ」


「さっき言ってたやつですね、WERDO絡みのことですか?」


「そうとも言える。話のはじめに、魔法を使える者がどの程度存在するか分かるか?」


 現時点知っているのは、霧島さんが見たと言う人物が数名、グルメコーポの犯人と自分達だ。

 この町で10名程度だとすれば、一万人程度の人口だろうから、全国で10万人程度いることになりそうだ。なかなか多いかもしれない……。


「十万人くらいですか?」


「お嬢さんは?」


「私は……百人くらいだと思います! そんな特別な人そうそういるもんじゃなさそうだし」


 博士はふふふと不敵に笑うと、人差し指を左右に振って違うことをアピールする。

 地味にムカつくジェスチャーだ。

「まぁ、二人とも選ばれた人間だと思いたくもなるだろう。だが現実は違う」


 たっぷりと間を使って、一呼吸置く。


 霧島さんを横目で見ると、先が知りたくてワクワクと言った表情で、見事に術中にハマっていた。


「答えは……全人類、全生物だよ」


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