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煩悩八百万

作者: keisei1
掲載日:2018/07/14

煩悩の横殴りをさらりとかわし、涼しげな顔をしている君はマンホールの下のソドムで。悪さを尽くしてのらりくらりと方便しては、行きつくところは黒い血で汚れた涅槃なのかもね。


吹聴した嘘の数々は君を自殺へと追い込むけれど、死神でさえ君の死を受け付けないかもしれない


三途の川をくだりて見聞きしたのは、死者の頭骨を釣りあげている退屈な悪鬼たち。閻魔の前でも君は、身振り手振りを交えた、ただの異星人だ。首を傾げるのは地獄の審問官。


醜すぎるもの。汚いもの。あるいは美しいものに触れてはきたけれど、残るのはあの人への愛欲の情。ヒダのついた、舌なめずりするあの人への愛欲の情。


「左様なら」なんて言葉は決して君は使わなかったけれど、自分のお仕舞に勘付いていたんだね。満ち欠けする月をレッカー車は死体を運んで一周する。


褒めちぎっては恨まれて、供養されない生霊たる君は手を振り「バイバイ」と口にする、さらりと燃焼して消えた煩悩八百万。

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