表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/236

7.n股でも考えてるんかね(nは2以上の自然数とする)


翌日、学校。

透は今日も、水橋に絡みに行ってる。


「よう水橋! 今日は何を読んでるんですかい?」

「静かにして」

「そんなつれないこと言わないでさー、教えてくれよー♪」

「………………」

「だんまりー? ねー、何読んで……」

「おはよう透! 雫ちゃんもおはよう!」

「よう、鞠。今日は髪型変えたん?」

「ちょっと気分転換してみたんだ。似合ってる?」

「あぁ。鞠は基本何でも似合うけどな」

「もー、透ったらー♪」


穂積ですら挨拶止まりか。

水橋に関わろうとしないのか、水橋が関わろうとしないのか。

気になるけど、穂積に聞くわけにはいかんから、水橋に聞くしかない。


今の所、水橋に気軽に話しかけてるのは透だけ。

それもほぼ一方的に透が絡んでるだけだし、『会話』にはならない。


つーか、こいつは水橋に絡む前に、さっさと決めるべきことがあるんだが。




その日の昼休み。


「なぁ透」

「どしたー?」

「お前さ、結局誰と付き合うんだ?」


透と特に距離が近い女子は、今の所4人。

しかし、『神楽坂透』は一人しかいない。

つまり、彼氏と彼女の関係になれるのは、誰か一人なのだが。


「んー、どうなるんだろうなー」

「どうなるんだろうなって、お前他人事みたいに……」

「いや俺なりに結構考えてる。その内決めるから」

(……去年も同じこと言ってただろうが)


最後の言葉は、心の中で留めておく。

去年、ここを突っ込んだら逆ギレされて、透ファンの女子から総スカン食らった。

一ヶ月くらいでほとぼり冷めたとはいえ、二度とあんな思いはしたくない。


「で、今日の弁当は誰から?」

「雲雀先輩から。ということで和食系」


穂積、門倉、古川先輩。この3人はそれぞれが、透を好きであることを察している。

しかし、これといって揉め事は起こらず、透の曖昧な態度もそのまま。

手作り弁当に関しては、日替わり形式ということでまとまった。

このローテに、今年入学の八乙女が入るのは時間の問題。


俺は基本購買。本日はコロッケパンとお茶で、しめて258円也。

300円以内に収めるのが鉄則。

『かくさあるけどしかたないじゃない とおるだもの れいじ』ってか?


「いいよなお前は」

「そんなことないって。それより、お前も彼女作ったりしねーの?」

「出来ると思うか?」

「諦めたらそこで試合終了だぜ?」

「補欠にすらなってねぇんだがどうしろと」


決勝戦すらいらない優勝シード権持ってるお前には分からんだろうよ。

レギュラー争いにすら負ける凡人の気持ちは。


「なぁ透、お前水橋まで惚れさせようとしてんの?」

「そんなんじゃねーって。ちょっと仲良くしたいだけだっての」


お前の『仲良く』はハーレム拡大と同義だからな。

言葉通りには受け取れねぇよ。


ただ、女子には無条件で惚れられる中、水橋だけはオチてねぇんだよな。

素性を出してくれれば、攻略の糸口も見出せるんだろうけど。

そこだけで言えば、俺は半歩進んだが、今は悩みの解決が先だ。

それと。


(穂積に門倉、古川先輩に八乙女……)


入学から一年で、透の周辺にいる女子はそれなりに固定した。

大体の女子は彼女を諦め、ファンとしてついていく。


そんな中、彼女になりそうなポジションにいるのはこの4人。

考えてみたら……透と接点らしい接点、あったか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ