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200.チャンスは二日後に

「というか実例だったらこっちにもいるか。ねぇおシズ?」

「……?」

「いやいや、本当に分からないという顔をしないの。

 結構しっかり食べてるのにそのナイスバディの秘訣って何?」

「えっ……」


日下部!? その話題を男子の前でやるのは止せ!

この話はスパっと切らせてもらうぞ!


「体質にもよるだろうが、結局はメシと運動。

 その辺ちゃんとしてるってとこだろ」

「その他で何か!」

「……分かんない」

「ダウト! 何か秘密あるでしょ? ね? ねっ!?」

「日下部、その辺にしておけ。水橋が困ってる」

「あ……ごめん。騒ぎ過ぎた」

「ううん。その……耳、貸してもらえる?」


静かに落ち着いた声(マジトーン)で、内容は直接的に。

勢いで押し切ろうとするタイプは、意外と打たれ弱い。

注意するなら怒鳴るより、淡々と言う方が効果がある。


「なるほど、遺伝なら仕方ない」

「日下部さん!?」


……後で、門倉に根回ししておくか。

日下部の存在、雫にとっては相当に厄介だろうし。


「それなら相当いい感じに遺伝したな。

 基本、親のどうでもいいとこばっか受け継ぐのが基本なのによ」

「翔が受け継いだ所と言うと?」

「親子揃ってスケベでごぜぇ」

「翔ちゃんもそこさえ何とかなればイイ男なのにねぇ」

「安心しろ(アズ)。お前は一切狙ってない」

「おーおー、こんなカワイコちゃん前に言ってくれるじゃないの!

 おサル! あたしの評価ってどうなってる!?」

「若干の見た目の良さをバカさで帳消しにして、平均値のB」

「くっそー! 何一つとして言い返せん!」


どこが遺伝するかは分からないもの。

とりあえず俺は……髪に関しては遺伝して欲しくないな。


「……あ、水橋。米のおかわりいるか?」

「うん。お茶碗半分ぐらいでお願い」

「了解」


思ったより雫との会話ができたりはしないが、それならこういうとこで。

気を利かせるぐらいはできないとね。得意分野だし。


「そういえば、そっちは自由行動でどこ行くんだ?」

「京都と大阪回ろうかなって」

「お、うちと一緒じゃん。どこ回るん?」

「えっとね……」


穂積の話を聞いてみたところ、なんとほとんどこっちの班と行き先がかぶってる。

ということは……ほっといても翔が提案するだろうが、ここは一つ俺が。


「折角だしさ、ここにいるメンバーで一緒に観光しねぇか?」

「いいね! 皆と一緒に回りたい!」

「藤やんナイス! な、お前らもいいよな?」


こういうことが大好きな穂積、完全に女子目当ての翔からの賛同。

ここまでは予想通り。後はこれがどう伝播するか。


「構わないぜ。適当にうろつくだけだし」

「ゲーセン寄りたかったけど、ま、折角の旅行だしな!」

「いいじゃんいいじゃん! 藤くんにさんせーい!」

「俺は楽しんでるところの撮影ができればどこでも。

 被写体が華やかになるのなら願ったり叶ったり」

「えぇっと、私も、いいと、思う」

「こうまで重なってるなら、自然とそうなるでしょうしね」

「うん、皆で行こう」


最後に雫が同意し、全員で回ることが決定。

ここでの会話はほどほどということになったが、チャンスが増えた。

加えて普通に楽しそうだしな。




「ゲーム機持ってきたけど、結局はトランプが一番面白いんだよな」

「こういうとこだと、むしろこういうのがなっと。ほい上がり」

「くっそー! また俺がババかよ!」

「どうした鉄人。アナログゲーは苦手か?」


飯を平らげ、部屋に戻ったら風呂の時間まで暇つぶし。

タオルとかは旅館側にあると聞いてたから、持っていくのは愛用の洗顔剤ぐらい。

ただ、うちの学校は人数が人数だから、入浴時間が限られている都合上、

ゆっくり洗っている時間はないが。


「……時にサルっち。何とかしてカメラを仕掛けたり」

「無理言うな。できたらもうやってる」

「できたとしてもやるな馬鹿野郎」

「まさか風呂がフロアで分かれてるとはなぁ……」


温泉ではなくでっかい風呂の為、思いっきり離れている。

女子が下の階に来ない限り、湯上りの姿を見ることすら叶わない。

俺としてはむしろよかった。犯罪者が出る可能性が無くなったし。

まぁ、冗談で言ってるんだろうけど。


「しかしそれでも問題は残っているもので。

 女子の方が気になるのは当然だが、ブツのデカさの問題は男女共通だ」

「いちいち気にする年か」

「藤やん知ってるか? 男は大人になってもスーツを着た少年なんだぜ?」

「年齢制限あるものは色々とある訳だが」

「そこはまぁ、ケースバイケースで」

「どんだけ都合いいんだよ」


旅行の時ぐらい、ツッコミ役は休ませてもらえないものかね。

この疲れは風呂で流しきれるだろうか。


「……閃いた!」

「何を?」

「陽司、藤やん! お前らの肉体美で女子を釣って……」

「やらんわボケ」

「んじゃ、撒き餌として翔を放り込むか。先生方が見てる前で」

「普通に風呂入って寝ます!」


……本当にこの男は。

現実はそんなに、面白いことが起きたりはしないんだよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 透のいなくて問題もない環境だとここまで穏やかになるんですね。 この後の展開も楽しみです
[良い点] 中身はどうこうとして設定は大好物、主人公みたいな存在と脇役な自分への劣等感みたいなの好き [気になる点] まず悪役側が常軌を逸したチンパンジーになるのが気になるかな、流石に現実感ないかなー…
[一言] 200話達成おめでとうございます。 しかし二人は付き合っていない(笑)
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