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197.男子高校生の戦略会議 ~in 旅先へ向かう新幹線~

修学旅行当日、無事に起床。

念の為に雫にメッセを送ったらすぐに既読になり、

『おはよう。何とかちょっとは眠れたよ』とのこと。

無事に起きられて何より。……で、だ。


「おはよう。母さん、これ着拒でいいぞ」

「そうねぇ。向こうの親御さんには悪いけど流石にねぇ」

「とりあえず修学旅行行ってる間は設定しといてくれ。

 透の両親が電話かけることはめったにねぇし」


俺どころか親にまで迷惑をかけ始めた透。

勝手に回復が長引く分には関知せんが、被害を他人に与えるな。




きっちり集合時刻を守って、駅で新幹線を待つ。

来る途中にコンビニで軽食と飲み物は買ったし、準備は万全。

いよいよ出発か……ドキドキしてきた。


「……あ! イヤホン持ってきてねぇ!」

「それはまた地味に忘れやすいものを」

「まぁいいか。結構使い込んでたし、現地調達でイケるだろ」


こういうことがあるから朝の最終確認は重要。

俺は結局、前日確認だけで問題ないという結果になったが。

そして忘れ物のあるなしの他、修学旅行において重要なのはもう一つ。


「藤やん、お前小遣いなんぼもらえた?」

「4万ほど。これだけあれば十分だろ」

「いいなー。うち3万だわ」

「俺は5万! とはいえ無駄使いは厳禁。真の鉄人はそこも弁えるのだよ」

「基本的にほとんど土産代になるしな」


所持金がどれだけあるか、ということ。これはバイトよりも親のタイプによる。

3泊4日なら2万円もあれば十分楽しめるが、多いにこしたことはない。

「何かあった時の為に」として渡された多目のお金がどう使われるかは、

渡された本人の考え方次第。


「そうそう、土産を誰にどれぐらい贈るかも悩みどころだよな」

「俺は家族の分と、親戚の分と、あと部員で分けられるの何かしら」

「サッカー部は人数多いから大変だよな。その点報道部は1桁だから気楽よ」

「我がゲーム同好会に至っては未だ俺一人だしな。そろそろ存続すら危うい」

「非公式にやってる分なら廃止にはならんと思うが」

「寂しいじゃん? ということで是非ギャルゲーの世界に……」

「ディスクってフリスビーにもなるよな?」

「本来の使い方で遊ぼう! 頼むから!」

「新幹線来たぞー。各班まとまって乗れなー」


それでは参ろうか。出発だ!




京都駅まで、新幹線なら片道2時間。

ちょっと寝てればすぐに着くが、隣の席が友人なら話は別。

普通に起きていた方が楽しい。


「思ったんだけどさ、修学旅行と言えば基本京都だけど、

 京都の高校生ってどこ行くんだろうな?」

「多分三択だな。北海道、東京、沖縄のどれか。あとは海外か」

「なるほどな。それなら沖縄で水着ギャルを捕まえ……」

「ハブクラゲというものがあってだな」

「それたぶん猛毒! 死ねるタイプの毒あるやつ!」


三人席の真ん中。窓側は陽司、通路側は翔。

そこから通路を挟んで向かい側に秀雅とサル。

向こうの二人は秀雅が持ち込んだゲームの真っ最中か。


「とはいえ京都といえば京美人! 舞妓さんと野球拳!」

「お前の頭にはそれしかないんかい」

「真面目な藤やんと違って不真面目だからな!」

「誇らしげに言うな」

「修学旅行じゃ機会ないけど、一見さんお断りだろうしな」


勿論、今回の旅先にその類の場所は含まれていない。

大人になったとしても行けないことの方が多いだろ。


「アニキから聞いたんだけど、帰ってからのレポートは適当でいいと。

 パンフレットに書いてること丸写しでも通ったってさ」

「ゆるいというか、無関心だからな。この学校の教師陣は」

「それなら勝手にやらせてもらうだけよ。

 とりあえず、旅館着いたら枕投げは確定な!」

「備品壊さない程度に頼むぞ」


宿泊先での定番中の定番。高そうな壷を壊してしまったり、

最終的に投げずにブン回してしばき合いになったりするのがお約束。

そもそもとして、アレはどうなったら勝ち負けがつくんだろうか。


「本番は自由行動だよな。なんか大阪人とは合う気がするんだよな!」

「ノリだけで言うなら、翔はな」

「逆に怜二は合わなそうだよな。ツッコミ倒してるイメージなら浮かぶが」

「藤やんもノリ悪いわけじゃないけどな」

「まぁ、適度に乗るなり流すなりするさ。俺も自由行動楽しみだし」


行き先が京都の修学旅行でも、その近隣の府県に行くことはよくある。

この班は定番の京都→大阪コース。他の班には神戸、奈良に行くとこもある模様。


「実際の所、神社仏閣に興味のあるヤツっているのか?」

「俺は全く。初日に回るだけで十分」

「陽司と同じく。指定場所以上に回るつもりは無い」

「ですよねー! 秀雅は聖地巡礼とかしたげだったけど、向こうから諦めるとはな」

「卒業してからでも行けるって言ってたからな。オタクの鑑よ」


秀雅はオタクではある。だが、あいつをキモオタと呼ぶのは許さねぇ。

本人も「顔面以外はキモくないようにありたい!」と言ってたし。

少なくともこういった配慮と空気を読む力に関しては、その辺の非オタより上。


「小腹空いたな。そろそろ何か食う?」

「だな。って、陽司と翔もコンビニかキヨスク?」

「駅弁も考えたけど、いざ見るとそこまで食いたくならないんだよな」

「中途半端な時間だからガッツリ食えるほど腹減らねぇし」


理由まで一緒か。

それじゃ猛スピードで走る新幹線の中、ゆったりと頂こうか。

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