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「雫ちゃんおはようっ!」

「……ぅ」


今だ進歩が見られないどころか、むしろ下がったまである状態。

水橋の天才的な才能は、コミュ力とのトレードオフなのだろうか。

穂積、ちょっとでいいからそのコミュ力水橋に分けて……あ。


「鞠、おはよう」

「おはよう、怜二くん」

「それは下駄箱に?」

「うん」


中央で留めるタイプの封筒。

分かりやすいことに、ハートマークのシールで留められている。

彼女はまた一人、無自覚に男子をオトしてしまった模様。


(なるべく傷つきませんように)


結果の分かりきっている告白。

同学年及び先輩方は、穂積がどんな人間かをある程度知っているので、

コレは多分、後輩の誰かか。


「ところでさ、昨日の部活ってどんなんだった?」

「新入生への入門編ってことで、お菓子作り。

 一人だけ戸惑ってる子がいたから、私がついたんだ」


多分そいつだろうな。

穂積的には先輩として優しくしたってだけだろうけど、

相手側にとっては凶器以外の何物でもない。ハートを打ち抜かれる的意味で。


「でもって、こちらが昨日作ったクッキーでございます。お一ついかがでしょう?」

「頂きます。……うん、うまい。いい感じにバター効いてる」

「ふふっ、よかった♪」


料理研究会所属の穂積は、こうしてよくお菓子を振舞う。

去年のバレンタインは大変だったな。勘違い男子が殺到した。

……そういや、告白には明らかなチャンスだったと思うんだけど、

透に告白はしてなかったっぽいんだよな。


「透にあげようと思うんだけど、どうかな?」

「いいと思うぞ」

「ありがとう。あっ、透ー!」


実は透、甘い物はあんまり好きじゃない。

が、穂積含め、女子から貰ったお菓子類は美味そうに食ってるし、

穂積手作りのお菓子を拒否する男子は、この校内には居まい。


(ある意味、穂積も主人公補正貰ってるかもな)


誰からも愛される。誰もを愛している。

LIKEとLOVEの境界線を曖昧にし、勘違いさせる。

それを嫌う奴にすら、自然体であり続け、笑顔にさせる。


クッキーと一緒に、少しばかり元気も頂いた。

さて、本日も頑張るか。まだ見ぬ後輩男子が浅手で済むことを祈りつつ。




その日から少し後に、分かったこと。


「鞠、女子からラブレター貰ったって本当!?」

「うん。間違いだと思ったんだけど、本気だったみたい」

「また新たな伝説生まれたわ……」


「サルっち、聞いた? 鞠んが一年女子から告られたって話」

「モチのロン。ちなみに、鞠が女子から告られたのは、

 俺の知る限りでは3回目だ」

「……勘違い男製造機改め、勘違い人間製造工場(ファクトリー)と名づけよう」


後輩男子よ、すまない。余計な心配だった。

そして穂積よ。透とは別な形で、お前のモテ具合もおかしいわ。

【サルの目:生徒データ帳】

穂積(ほづみ) (まり)

料理研究会

ルックス S

スタイル A+

頭脳   C

体力   B

性格   S


【総評】

クラスカースト最上位でありながら、誰とでも分け隔てなく接する陽キャラ。

しかもド天然物であり、勘違い男子の逆ギレや女子の嫉妬すら浄化してしまう。

透の彼女候補としては一番近いか。微妙に決め手欠いてる感はあるが。

学業成績はちょっと残念な部類だが、どうでもいい。


総合ランク:S

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