14.男子高校生によるコイバナ ~サルデータを添えて~
イケメンスポーツ男子、茅原陽司。
THE・チャラ男、前島翔。
自称ゲームの鉄人、東秀雅。
そしてサルと俺。
大体そんな感じのメンバーで、このグループは構成されている。
「彼女欲しいよなー。文化祭までに」
彼女が出来るチャンスであり、彼女がいれば楽しさ倍増。
学校行事の大体は、そんな感じだと思う。
「つーか、このメンツで彼女持ちいるん?」
「陽司は? お前絶対いるべ」
「去年別れた。見てくれはいいけど重すぎんだよ」
「贅沢だなオイ。こちとら二次元除いたらいない暦=年齢ですぜ? んじゃ翔は?」
「秀雅と同じー。藤やんは……あっ、ごめん」
「せめて聞いてくれ。お察しの通りだが」
彼女ではないけど、女友達とも言えない、よく分からん関係なら一人できたけども。
幼馴染がチート過ぎて、ガッツリいない暦=年齢組でごぜぇますよ。
「サルっちは?」
「んーん、全然。チャンスはあるけど」
「神楽坂のおこぼれ狙いでパシリになったんだよな? なら純粋に猿顔だからか」
「個人情報バラまくぞ!?」
「ごめんって」
透がサルを操れる理由。それはこういう所にある。
サルの顔と下品さじゃ、自力での彼女作りは無理くさいし。
「ところでさー、サルっち的にオレらの中で一番モテそうなのって誰よ?」
「そりゃ陽司だろうよ。総合A+。もう少し女心分かればSラン。
それだけありゃ、十分選り好みできるっての」
「やっぱり顔か、顔なのか……!」
「と、スポーツの実績あるのがデカいな。次点で怜二がB+。
陽司と比べると見劣りするけど、顔以外のスペックは高くまとまってるし、
顔も別に悪いわけじゃねーし。立ち位置最悪だけど」
「それな。おかげさまで女子からの扱いはTPですよ」
「流石に同情するわ。怜二、本当はイイ奴なのに……」
「ちなみに秀雅、お前はぶっちぎり最下位のDだ」
「前言撤回。筋肉分けろこの隠れマッチョ!」
「やらんわ! 筋トレして早寝早起きしろや!」
「めんどい!」
「諦めろ!」
「ですよね!」
「逆に、女子のデータってどうなん?」
「勿論、男子よりガッツリ仕入れておるのだよ」
「ヒュー、流石。参考までにカグ周辺の女子は?」
「鞠がS、麻美がA、古川先輩がA+。ルックスは全員A+以上。
古川先輩だけは確認できてねぇから、噂からの推測だけど」
古川先輩はガチで美人という真実は、言うべきではないか。
先輩には自己肯定感持って欲しいけど、人目苦手っぽいし。
「先輩はSでよくね? あの身体最高に男ウケいいだろ」
「ちょっと依存的な所があるっぽくて。陽司、お前だとキツいだろ」
「あー、無理だわ。束縛とかされんのマジ無理」
「なるほどねぇ……麻美が一番低いのは性格でか?」
「ご名答。堅物で嫌みったらしい所が響いて、性格はC。
ただ、同じくらい頭いい奴だったら合うと見て、総合はAにした」
「んじゃいいんちょは実質Bだな。いねぇだろそんな奴」
「確かに3年の先輩方でも少ねぇだろうな……後で見直すわ」
門倉は穂積とは逆で、だいたいの奴から嫌われてる。
正確には苦手な奴が多いってとこだけど、どのみち本人は気にしていない。
あいつ、透以外の人間は『その他』でくくってるし。
「鞠んがSってのは妥当すぎて何も言えねぇ」
「ルックスと性格はS、スタイルもA+。薄いけどまっ平らじゃねぇし、ちんまい系人気だし」
「せめて小動物的と言え」
「本人公認の上、全く気にしてないんだな、これが」
「なんなんだよあの勘違い男製造機! 騙されないの怜二だけだろ!」
「TPやってなきゃ俺も騙されてたよ。穂積、可愛さと言動の危うさ自覚してねぇし」
「でもってカグの野郎は鞠んに加えていいんちょと先輩、あと一年も侍らせてんだろ?
けど、何でか男連中からも評判いいんだよな」
「何だかんだ付き合いいいし。モテまくるの嫉妬してもしゃーないし」
「ほう陽司、イケメン同士のかばい合いですかい?」
「俺がかばわれたことはねぇよ。ブサメンの秀雅」
「ぶっ殺すぞ! 格ゲーで!」
「規模」
一回、東と水橋対戦させてみてぇな。
普通に東の封殺負けだろうけど。
「つーちゃんはどうなん?」
「八乙女つかさ? 情報少ねぇからまだ変わりそうだけど、今んとこA。
透と怜二が同中だから、むしろそっちの方詳しいだろ」
「とのことですが、藤やん?」
「一言で言うと熱血陸上バカ。期末前はいつも泣きつかれた。
だというのに名前間違ったまま覚えられてて、先輩は非常に悲しいです」
「元気出せよ怜太先輩」
「気にすんな怜太先輩」
「ゲームで忘れろ怜太先輩」
「いいことあるさ怜太先輩」
「励ます気微塵もねぇだろ!?」
ある意味予想通りの反応だよこんちきしょう!
裏切ってくれよこういう時なら!
「ということで、八乙女は狙っても仕方ない。
けど、今年は結構豊作だぞ? Aランク候補、そこそこいるぜ」
「気になってたんけどさ、サルのランクってどれがどんな感じに対応してんだ?」
「例えばルックスなら、Sは街行く美男美女。Aはクラスの3、4番手。
Bは普通、Cはイマイチ、Dは論外ってとこ」
「ふむふむ。で、今年の女子はどう攻略すればいい?」
「その辺は有料情報でごぜーます」
「いい性格してるな! マジで!」
どこから情報入手してるんでしょうかね。この男は。
犯罪行為とかだったら流石に擁護できんが。
【サルの目:生徒データ帳】
・藤田 怜二
帰宅部
ルックス B
スタイル A
頭脳 A
体力 A
性格 S
【総評】
顔以外平均以上。何気に2-1の隠れ優良物件。
TP扱いさえされてなければ、結構モテたはず。
そのTP扱いというのが最大のマイナスポイントで、本人も諦め気味。
運が悪いとも言えるが、そこを加味すると評価を下げざるを得ない。
総合ランク:B+