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第8話 入道雲
過去の付き合いを
今さら悔やむつもりはない…だが、
何も言わない事を選んだヒロミ
心配をかけまいと
黙っていることは誰しもが考える…
付き合う事までになったのに…なぜ…
ユージの頭を何度も駆け巡る。
「…救われたの…」
窓の外に広がる大きな入道雲を
見ながら唐突にヒロミが口を開く
「!?」ハッとして我に返った
「ユージ君の存在が勇気と
生き甲斐をくれたの…」
どんな恋愛でもそうして上昇志向で
考えられたら苦労しないと思うが…
別れてしばらく経つのにどうしたのか
「何かあったのか…?」
「ううん…そうじゃないの…




