第25話 関係
退院の見通しが付かなくなった
ヒロミ…
たが…病院側から
突然に退院許可が出たのは
それから間もなくのことだった。
通院で検査は対応する…とのこと
夏も終わり
涼しさが心地よくなってきた頃だった
相変わらず…ユージは
仕事と家を往復するだけの
変化のない毎日…
そんなある日の昼間
「ユージ!!…おいっユージ!!」
大声で呼ぶのは
工場の社長だった。
作業の手を止め社長の方へ向かうと
そこにはカオルの姿があった…
「!?」
別々の生活をするようになって
しばらく経ったが…
どうしたのか訊ねると
「友達と外でお弁当食べに行くの♪」
カオルは明るく答えた。
そして手作りの弁当を渡しながら
「どうせ…外食ばかりなんでしょ?」
そう言って…
カオルは社長と目を合わせ
微笑み合い
帰って行った…
手作りの弁当を届けに来たことにも
驚いたユージだったが
中身の好みや量の
絶妙な加減に更に驚いた…
冷やかしもさることながら
社長から意外な話を聞かされた
「うちのカミさんは
あの娘の美容室に通っててな…
休みの日にカミさんの
買い物付き合ったら
スーパーでバッタリだ」
それで話を進めるうちに
ユージの勤める工場の社長であることが
カオルに伝わったそうだ。
もちろん最近のユージが
元気が無いことも…




