第19話 稲妻
なんとか困難な手術を受け
奇跡的な生還を果たしたヒロミ…
家族もユージも疲れきっていた
ヒロミは目を覚ましたが
麻酔もまだ残っているせいか
意識が朦朧としながら
真っ先に手を握ったユージを見て
涙を流しうなずくだけのヒロミ…
ユージも辛さを分け合うかの様に
声にならない想いで涙を流した。
「分かるか!? 成功したぞ」
再びヒロミはうなずく…
「良かったな…頑張ったな!!」
ユージはただただ…それだけだった
両親もそれを見て泣いている
そしてしばらくすると
父親が
ユージに言った
「もう面会時間も過ぎているから…」
ハッと我に返り
涙を拭いながらユージは
「また来るよ…」
そうヒロミに伝えると
両親へと挨拶を済ませ、病院を後にした。
その日…飲み物以外
何も口にしていなかったユージは
自身の実家へと足を向けた…
実家での食事を済ませ
ふと携帯電話を見ると
カオルからのメールが来ていた。
「今日はあの娘の手術の日だったね…
ユージくんが居てあげたら
元気になれるんだね…
私は何も出来ないけど
一緒に生活してるんだから
手と気持ちに余裕があったら
帰るのか、泊まってくるのか
連絡してね…
ドアのチェーンは外しておくから…」
ユージは胸を撃ち抜かれた気分だった
自分勝手に飛び回って
カオルがこんな形で自分を
考えていたことなど
予想すらしていなかったからだ。
慌ててメールを打った…
「すまない…
今日は実家に泊めてもらうよ」
だが…
カオルからの返信は来なかった




