第18話 明暗
手術を受けるヒロミの両親と
会話をしたことにより
過去のヒロミが抱く
自身への思いを知るユージ…
何時間
経ったのだろうか…
予定の時間を遥かに過ぎ
すでに5時間くらいだろうか
ヒロミの母親は手で顔を覆い
涙さえ浮かべている…
父親は背中をさすりながら
「大丈夫だから…」
と繰り返している。
当初…執刀医の話では
4時間ほどを予定している…とのこと
それを過ぎているのだから
まさか…の思いが頭をよぎるのは
無理もない。
今まで生きてきて
こんなにも、
もどかしい気持ちになったのは
初めてだとユージは思った。
自身の力ではどうすることも出来ず
ただただ…祈り…待つだけ
正午から始まり
もう外は暗くなりかけている…
そんな中、何やら慌ただしく
看護師が出入りを繰り返し
物々しい空気が漂う…
しばらくして
手術中のランプが消えた
ユージはそれを待合室で伝えると
3人が手術室の前で
執刀医を待ち構えた…
眉間にシワを寄せ
疲れきった執刀医が姿を見せる…
「なんとか終わりました…成功です」
脱力感でヘナヘナと座り込む母親
「ただし…」
執刀医はそう言いかけ…母親を見ると
父親だけを別室に呼び出した。
「すまないが…妻を頼む」
「あっ…はい!」
ユージはヒロミの母親を連れ
ヒロミが運ばれる病室へと
戻っていく…




