第17話 約束
病院についたユージ…
手術の時間までは
あと30分くらいか…
病室へ向かう途中
「あれっ?ユージくん!?」
呼び止めたのはヒロミの母親だった。
付き合っていた頃に
何度か会った程度だったが、
ハッキリとユージを認識していた
「ありがとう…あの娘も喜ぶわね~」
命をかけるほどの内容だからなのか
表情というものが見られない…
麻酔の前に会って欲しいと
病室へ案内された。
この前会った時より更に
やつれた様にも見えるが
ユージは重い口を開く…
「待ってるから…」
ヒロミは横になりながらも
頷き…かすかな声で
「…ありがとう…」と答えた。
何人かの看護師が
ヒロミのベッドを取り囲み
手術室へと向かっていく…
家族のためなのか…
待機室が用意され
ヒロミの両親と共に
ユージもその部屋に通された。
初めてヒロミの父親を見た…
ユージが言葉を取り繕う前に
「君のお陰だったんだな…」
ヒロミの父親が発した言葉は
ユージへの感謝の言葉だった。
何年か前まで
いつも君の話を聞かされてね~
あの娘はホントに明るかった…
いつしか…何も言わなくなってしまって
具合も悪くなって、何かされたのかと…
私は誤解をしていたよ
ホントにすまない…と。
ユージは別れた後のヒロミに
少しだけ触れた気がした。
アイツも自分で背負ってたんだな…




