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第11話 支え
ヒロミとの再会をし
アパートへと着いたユージ…
ホッとしながら部屋へと目をやると
明かりがついていない…
「あれっ!?まだ帰ってないのか…」
カギを取り出しドアを開け
朝 自分が出かけたままになっている…
ベランダ側の大きなサッシにも
シャッターはされていない…
月明かりにテーブルの上の物が
キラキラとして見えた…
「!!」カオルの鍵だ
シャッターを閉めようと
掃き出しの窓に近づくユージは
思わずハッと
息を飲んだ…
カオルが壁にもたれ
うずくまっている…
「どうしたんだ!!」
仕事で何かあったのか…
もしくは…アパートに泥棒でも!?
カオルの無事を確める様にそっと
手を差しのべる…
カオルは涙を浮かべ何も言わずに
ユージへ飛び付く…
しばらく二人は抱き合ったまま…
声にならない声を更に消すように
肩を震わせながらカオルは泣いた…
ユージは黙って髪を撫でながら
カオルの心が落ち着くのを待った
「なぜか…わからないの…」
「!?」
「ユージ君がどこか
遠い所へ行ってしまう様な…
そんな感じがして…不安が止まらないの…」
この娘は何も言わず 聞かず
肌で何かを感じ取っているんだと
ユージは悟った




