1.夏の蝉
毎度、毎度、5話くらい投稿して続きが書けない滝です。
今回は、暇なときに少しずつすすめていきます。
一月に2000字くらいのペースを目指します。
ある夏の日、ある企画で病院を訪れた時だった。
企画は戦争について。
こんな企画を考えた上に一言文句をいってやりたい。
テレビカメラを肩にのせ、戦争で左腕を失ったというじいさんの話を聞いていた。
アナウンサーもあまり乗り気では無いらしく、ニコニコとしているが合図地のタイミングが少しずれている。
「田代さん、お聞きしたいのですが、死ぬよりも悲しいことはありましたか?」
アナウンサーは急に話を変えた。これまでの話はかっとすればいいが、インタビューを受ける側にとってはあまり心地のいいものでは無いだろう。
しかし、じいさんは笑いながらつけだ。
「あるといえばあったが、ないと言えばなかったな!ガハハッ!!」
大笑いをするじいさんに嫌気が刺したのかアナウンサーは営業スマイルで感謝の言葉をいい、病室からでた。
カメラマンの俺も一礼だけし急いであとを追いかけた。
「なぁ、三上。あのインタビューの仕方は良くないぞ」
おれは先程インタビューしていたアナウンサーの三上に説教をしていた。
まだ、新人である彼女と五年目の俺。彼女の教育も''なぜか''任されてる。
「だって……あの答え方がなんだか……」
彼女は下を向いて目を会わせない。反省してるようにも見えるが、そうではない。そう見せているのだ。
「俺にはそれは通用しないぞ」
そういうと三上はばつの悪そうな顔で見上げてくる。美人の彼女に見つめられるのは悪い気はしない。普通の男なら一度で落とせるだろう。しかし、俺はこの職業のお陰で目が肥えていて、美人の目力は通用しない。
「チッ」
三上は眉間に皺を寄せながら舌打ちをする。
それが彼女なりの不満の表しかたなので俺はなにも言わないが……
「お偉いさんにそれしたら干されんぞ……」
額に手を当てながらやれやれと注意をすると足に重さを感じた。
視線を下にすると、三上の中途半端に高そうなハイヒールが俺のぼろスニーカーを踏んづけている。
「先輩以外で、こんな対応するわけないでしょ」
いーっと歯をむき出しにしながらスタスタと小走りで逃げていく三上。
そして、看護婦さんに怒られる。
まったく、先が思いやられる。
そんな時だった。
一際大きく蝉の声がした。声のした病室を見ると、病室の奥の虫かごに蝉が己の存在を示すようになき続けていた。
シーンと静まる病院のなかでその声は良く響いた。
図太い命の炎を燃やすようになき続ける蝉の元へ少女が来た。
歳は十代前半。やや痩けた頬と雪のように白い肌。髪は長めで黒く綺麗だが、さっきまで寝ていたのか後頭部がはねている。
その少女はトタトタと蝉の入った虫かごに近づき、持ち上げ虫かごを大切そうに抱きしめた。
そのまま窓際へと歩いていき。窓をパッと開けると虫かごをひっくり返した。
外の蒸し暑い空気がそよ風のように少女の髪を浮かせた。
そのとき、確かに少女はか細く見えた。
「先輩……気持ち悪いですよ……」
ふと、横を見ると三上がなんとも言えない顔でこちらを見ていた。
「なにがだよ」
やや、ぶっきらぼうに告げると、三上は左手の中指で肩に置いているカメラを指差した。
無意識に録画をしていたらしい。
「あ?綺麗なものは仕事でなくても写したくなるものなんだよ。仕事だと美人じゃないやつを写さないといけないんでな。」
ちょっとした嫌みを含ませた返事をしてカメラを担ぎ直す。
「……あ!ちょっとそれ、どういう意味ですか!!」
三上は一瞬言葉の意味を考えてこちらに向き直った。
やや、頭の回りが遅いのも致命的だ。
そして、近くの看護婦にもう一度注意される。
「病院では静かにしてください!」
看護婦の少し厳しい口調に三上が心なしか泣きそうにみえる。
声に驚いて、病室の少女がひょっこりと顔を出す。
クリクリとした大きな眼で看護師と怒られる三上を見つめる。
看護師は、その少女に気づき、はっとした顔になり、すぐに笑顔を作る。
『看護師は女優』
そんな言葉を思い出して、俺は看護師の対応を見ていた。
「みかちゃん。どうした?なにか気になることがあった?」
看護師はしゃがんで少女と目線を合わせる。
少女は空っぽになった虫かごを手渡した。
「広い空を飛べる方がいいよ。」
少女はトテトテと自分の部屋へと入っていった。
その姿を見て看護師はため息をついて立ち上がる。
「あの子はどうして入院してるんですか?」
相も変わらずうちのバカはバカな質問をする。
「お答えできません。」
素晴らしいジャーナリズムだと三上を誉めてやりたいが、相手は看護師なんだから、個人情報を漏らすことなんてない。
看護師は俺に目もくれず、ナースステーションへ足を運ぶ。
「ケチくさー」
田舎くさいと三上に返してやりたいが、三上の気になる気持ちも理解できる。
ここは重病患者の病棟だ。先程のじいさんも肺癌と聞いている。
この少女も『病気』と闘っているのだろう。
なんとなく、腕時計を確認する
「ねぇねぇ、みかちゃん。初めまして~。私のこと知ってる?」
眼を一瞬離した隙に三上は少女のベットの横から話しかける。
「あのバカ…」
思わず声が出てしまう。
少女は興味無さそうに三上を見る。
「誰?」
少女はキョトンとした顔で今度は俺…の担いでるカメラを見る。
やはり、俺はその時、無意識にカメラを回していた。
「みかちゃん!私ね、女子アナウンサーなんだよー!ニュースとかで見たことない?」
少女よりきらきらしためで期待の眼差しを向ける三上に少女は興味無さそうに答える
「知らない」
三上はしょんぼりとした顔になり時計を確認する。
変な所で切りましたが、このあとの展開すらも考えてません。
登場人物の名前すらも決まってないです。
さて、さて、ハッピーエンドかバッドエンドか、はたまた、完結することなく作者逃走か!?お楽しみに