変態になる覚悟
ナ「あれから一週間。狼さんたちは家から動いていませんでした」
狼「……」〈ソファで雑誌を読みながら寛いでいます〉
赤「…………」〈テーブルの椅子に座って編みぐるみを作っています〉
狼(……進展がない。恐ろしいほど日々が適当に流れている。
どうする? いや、この暮らしに不満がある訳じゃないが、だが作品として何もしないのはいけないんじゃないか? やっぱりドキドキワクワクのスペクタクルを始めないと……よし)
「なあ赤ずきんちゃん」
赤「なんでしょうか?」〈作業を続けています〉
狼「出掛けないか?」
赤「その心は?」
狼「絵を動かした方がいいかなと」
赤「アニメでもないので動く必要性がわかりません」
狼「……そうだね」
赤「……」
狼「……でもたまには外にでないとさ?」
赤「なぜそんなに外にでようとするんですか?」
狼「いやまあ、察してくれよ」
赤「……しかたないですね」〈作業の手を止めて立ち上がります〉
狼(お? なんだよ言ってみるもんだな。神の言うことをなんて聞かないって言ってたから、あまり期待はしてなかったんだけど)
赤〈狼さんの首に首輪をつけます〉
狼「ん?」
赤「散歩に行きたいならそう言ってください。不本意ですがしてあげますから」
狼「…………」
赤「どうしました?」
狼「いや……もうそれでいいや」
赤「??」
ナ「狼さんは作品のために変態になる覚悟をしました」