もう……駄目だ
ナ「前回のおとぎ物語。お味噌汁ですね。はい」
狼(ど……どうしよう。正直、鍋の蓋を開けるのが怖すぎる。え? 大丈夫だよね? 開けた瞬間襲てこないよね?)
シ〈不思議そうに狼さんを見ています〉
狼(いや何? その視線。なんで開けないんですかみたいに俺を見ないで。てゆうかお前にはこれがどう見えているんだ? 悪魔でも召喚できそうな勢いの禍々しさなのに何でこんなに平然としてるの? 俺が可笑しいのかな? 俺が可笑しいのかな!?)
シ(なんだか狼さんの様子が可笑しいですね。どうしたんでしょう? はっ! 私としたことが忘れていました。お鍋の蓋が熱いと触れられないですもんね。きっとそうです)
狼(開けてはいけない気がするのは確かなんだ。よし、ここは一時撤退を)「ああ、シンデレラ」
シ〈満面の笑みで鍋つかみを渡してきます〉
狼(た……退路が……)〈かなり汗をかいて焦っています〉
シ(あれ? これじゃなかったのかな? あ! そうか! 開けたとしても味見をしなければ意味ありませんね。今まで狼さんが作っていたと言いますし、ここで一つアドバイスでもと思ったのでしょう。きっとそうです!)
狼(いや。まだ大丈夫だ。諦めるには早い。諦めたらそこで試合終了だってどっかの監督さんも言ってたんだ!)「そうだシンデレラ」
シ〈少し照れたようにお取り皿とお玉を差し出してきます〉
狼(もう……駄目だ)