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ぎぶみーちょこれいと。

「バレンタイン」のおはなし。

ぎぶみーちょこれいと。



はじめましてこんにちはおひさしぶりです僕『道端』


さあ、みなさん。今年もこの季節がやって参りましたよ。

女子が色めき男子が絶望の底に叩き落とされるこの日。


ばれんたいんでい。がね


え?僕勝ち組じゃねーのって?

はい残念でしたーつきあってませんよやったね!

僕と運命的な出会いをした『迷子』ちゃんこと園山ユヅカちゃん(大学二年生)とは未だお友達関係ですよ。


彼女は僕がさりげなあーくバレンタインの話をしても全く気にせずに笑うだけだったよ。それどころか

「ねえ、バレンタインチョコの数は君の魅力の分ってことだと思わない?」

「みりょくう?」

「うん。道端君はいったいどれだけあるのかな?見せてくれる?」

なんてからかわれてしまった。

ここまで言われちゃ男として負けらんない。

「両手いっぱいに持ってくるよ!」

なーんて見栄はっちゃって。


つまり、僕はなんとしてでもバレンタインチョコを手に入れなければならなくなってしまったのだ。


嗚呼、くっそう恋する暴走俺の馬鹿。



さて、最近のバレンタインデーで男子が本命チョコを貰える確率はほぼ0に等しい。

それもこれも友チョコだの逆チョコだの会社チョコだのなんたらチョコがはやり始めたせいで。

ああもうチョコチョコ面倒くさい!本命と義理とでいいじゃないか!あれだろ?

きゃーやだあー本命だけ渡すのも恥ずかしいしーきゃー

的な話なんだろ?潔くいけよ!本気を出せよ!


…おう、話がずれた。まあそんなかんじで僕たち男子は義理チョコにすらありつけなくなってきているのだ。解せぬ。


それともう一つあるな。もらえない理由。

えー?チョコー?いいよー?あげるよー?


ただし、イケメンに限る。


もうやだこの法則。


逆チョコだのこんな法則だのに阻まれてチョコへの道のりが遠くなろうとも男である僕たちはどうしてもチョコがほしい。

こんな日に手ぶらというのは何とも情けないし恥ずかしいじゃないか。

フツメン、平凡男子だってただ指をくわえてみているだけじゃない。

いかに上手く女子からチョコを頂けるか、腕の見せ所だ。

長年モテない平凡男子をやってる経験からわかったことだが、チョコをもらうねらい時は大体二回程度ある。

まずは一回目。


時計を見るともうすぐ一時。昼休み突入からだいたい十分が経過したあたりだ。

固まって弁当を食べていたおもむろに紙袋を取り出して立ち上がる。


「はーい、私からー作ってきたから食べて食べて!」

「本当?ありがとー、私も上げるねー」

「ゆーちゃんのおいしそー!ありがとー!」

「はい、おかえしー!」


きた…!お昼ご飯が終わってからの交換タイム!

しかし声をかけるのはまだ早い。数少ないチャンスだ。

タイミングを間違ったらおしまい、次のチャンスにも響いてしまう!こういう時はベテランに任せるのが一番いい。


ほとんど配り終えたタイミングを見計らってクラスの中で一番ちゃらい男子(彼女アリ)が女子に話しかけた

「うわー、それチョコ?俺にもちょーだい!」

「あ、オレもオレもー」

「軽井、宇佐井!抜け駆け禁止だっつの!」

「いいなー」


はいきましたおねだり大作戦。プライドもなにもないよ。貰いたいもん。自分からいきますとも。


「うん。余ってるからいいよ」

「私のもあげるよ?」


女子ってこういう時のお菓子って大目に作ってるからね。余ってもどうしようもないし、だったらあげてしまえ!とでも思ってるのかちょっとおねだりすれば結構な数が集まる。

対価は男のプライドとかその他もろもろ。チョコ一個はそういうものを捨てないと手に入らない。


まあ、僕も行きますけどね。欲しいもん。



二回目は放課後。

貰い方は昼休みと何ら変わんないんだけど、今度は他クラスの女子からも貰える。あんまり面識ないから数は少なめなんだけどせっせと集めればそこそこの量は集まるからいつもは早く帰る僕も教室に残ってチョコを集め続けた。

今日はこれ以上望みはないから必死になる。


結果、僕が教室を手に入るころには十数個のお菓子がカバンの中に詰め込まれていた。申し訳ないけど教科書様には今日一日机の中でお休みいただこう。



十数個…クラスの女子の温情と同情と憐みとからかいとその他もろもろが詰まったものだけど、たぶんこれも義理チョコといえる。いや、言い張る。


そう考えながら公園を通り過ぎようとすると急に制服の裾を引っ張られた。


「おにーちゃん!!」

「うん?」


引っ張ったのは近所に住む小学生達。僕の両親と彼らの両親とが仲良い影響で僕はここらの小学生と結構顔見知りなのだ。


「おにーちゃん、今日、ばれんたいんでいってやつなんでしょ?」

「おかしいっぱいもらえるんでしょ?」

「おにーちゃんもいっぱいもってるんでしょ?」

「ねえおにーちゃん」

「「「「「ちょーだい!」」」」」


だが断る。


「え?ちょ、なんでその発想になるのかな?」

「もらってないのー?」

「もてないのー?」

「おにーちゃんひりあじゅう?」

「ひりあじゅー?」

「こら変な言葉は忘れなさい。…いや、まあ、貰ってるけどさあ…」

「じゃあ、ちょーだい!」

「ちょーだい!」

「ちょーだい!!」

「えええ…」

くっそう純真無垢な世代め…。負けるな僕。勝つんだ僕。

いくら年下兄弟みたいにかわいいとしても今日だけは勝つんだ!これは男のプライドを対価にしたものであって簡単に手放していいものでは

「ちょーだいよー」

ぐふっ…。ないんだから、あ、やめて!そんな目で見ないで!必殺きらきらおめめは

「ねえったらー!」

うぐう…。反則!それ反則ったら反則う!やーめーてー僕をまどわさないで!

「ちょーだーい!」

「えええ…」

助けを求めて顔をあげると近所に住む奥様とばっちり視線が合った。

現在、ちょーだいコールをする小学生とそれを無情にも断り続ける男子高校生の図。


「ちょーだい!」


「…………」


「ちょーだい!!」


「………………………」




グッバイ僕の努力。



勝てない。勝てないよ!近所の奥様って怖いんだよ!



軽くなった鞄を抱えてとぼとぼ家の前まで歩いていくと隣の部屋の扉の前でユヅカちゃんがちょこんと座っていた。


「おかえり道端君!戦果はどうだい?」


無邪気な笑顔が心に刺さる。けどもう隠すことも何もないので僕は今までのことを正直に話した

ううう…格好悪いなあもう。


「あははっ!さすが道端君だ!」

「ご期待にそえず申し訳ございませんでした」

「ははっ、最初から期待はしてなかったよ」


ぐさあ。


「ゆ、ユヅカさあん…」

そんなはっきり言わないで下さいよ。君の一言は瀕死のダメージをあたえるんだから。僕もうレッドゾーンだよ。HP残り1だよ!

「でも、本当彼女たちはもったいないなあ」


「へ?」


「君の魅力に気づかないとは彼女たちは見る目がないね。はい、ハッピーバレンタイン道端君!」

あっさりと目の前に差し出されてのはきれいに包まれた小箱だった。

「一番、君っぽいと思ったのだよ。これ」

「あ、あの…ユヅカちゃん…」

「なに?」

「これは本命?それとも義理?」


今にも泣きだしそうな顔で僕が聞くとユヅカちゃんはあの天使みたいな笑顔で笑った


「すきに解釈したまえ青少年」


ああ、かなわない。



























包み紙から出てきたブラックサンダーに僕が絶望するまで、三秒前

補足。

多分来年になったら忘れるであろうブラックサンダ―のキャッチコピーは一目で義理とわかるチョコ。

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