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41、感想人のすゝめ + 暗黒面に落ちるな!

 ようやく客足が戻ってきました。

 以前は閑古鳥がクックドゥルドゥドゥーと鳴いていたというのに、今では注文が追い付かないくらいの大盛況、ありがたい話です。え、閑古鳥って鶏だったのか、って? いや、なんとなくわたしのイメージだと鶏なんですが、駄目でしょうか。というわけで調べてみたら、閑古鳥ってカッコウのことなんですね。ってことは、閑古鳥はクックーって鳴くわけですね、いやあ勉強になりました。

 おっと、何かお客様から呼ばれている! さあ行かないと。

 おや、ご無沙汰しています。あなたはアマチュア小説書きにしてプチ小説評論家のスギサキさんではないですか。はいはい、スギサキさんといえば、マティーニのモンゴメリ将軍ですね。はいはい、少々お待ちください。

 え、ちょいと相談に乗ってくれ? どうしたんです? え、最近本腰を入れて小説家を目指す? はあはあ、頑張ってください。ほう、で、プチ評論家のほうはやめようかと思っている、と。

 うーむ、まあ、それは好き好きですけどねえ。

 あ、出来ました。マティーニ(モンゴメリ将軍)です。まあ、それでも飲みながら、わたしの意見を聞いてください。


 小説を書く人がいるからには、読む人がいます。そして、読んだ小説を評価する人間が現れます。

 レビュアーや評論家といわれる存在です。

 小説という文化において、レビュアーや評論家というのは書き手と共に文化の表通りを彩る存在といっても過言ではありません。え、読者様が主役だろう、って? ええ、もちろんそうです。けれど、読んだ本についてアウトプットをしない読者様というのは主役でありながらどうしても影が薄くなってしまいます。小説文化という表通りで目立つ存在なのは、実際に小説を作り上げる小説家と、小説を評価してその結果を世間に公表する評論家なのです。

 そして、小説を書くということ/読むということは、表裏一体の事象であります。なので、小説書きの方の中には、他人の小説を評価する存在、評論家としての顔も持ち合わせる場合があります。

 これ、実は歓迎すべきことです。

 小説を評論する際には、かならずシステマティックな視点が求められます。小説を読んだ上で全体の構造を捉え、各伏線やテクスト内の効果を読み解いたうえで作品を評価するという作業は、相当に論理的な作業です。そしてこの作業は、自分が小説を書く上でも役に立ちます。

 それに、小説を評価してみると分かるのですが、そうやって評価したものを読み返すと、あなたが小説のどういう部分に興味を持っているか、気を払っているかが一目瞭然にわかります。

 「小説家になろう」内の感想欄を見てください。いろんな人がいます。あのキャラクターに萌えた、筋書きが面白かった、誤字脱字が多い、文章のつながりが悪い、文章作法を守れ……。ね? いろんな人がいるんですよ。そして、この指摘というのは、裏を返してレビュアーさんの興味の先なのです。きっと、キャラクターに萌えた、とおっしゃるレビュアーさんが小説を書けば、きっとキャラ萌えするような小説のはずです。また、文章作法を守れ、と言ってくるレビュアーさんは、出来ているかどうかは別として、本人の実力の範囲において文章作法を守った文章である場合が多いのです。というわけで、実は、他人の小説の感想を読み返してみると、「ああ、自分ってこういうことに興味を持って小説を書いていたんだー」ということがはっきりします。

 それに、実はわたし、「小説家になろう」でプロになられた方を幾人か存じ上げているのですが、その方々、大抵は小説の感想を書いておられる人たちでした。……ぶっちゃけたことを言えば、小説の感想を書くのだって結構難しい作業なので、必然的に実力が高い人がレビューを書いていたりもするのですよ。

 というわけで、みなさん、ぜひとも小説のレビュアーになってください、というのが、ここでのわたしの結論になってしまいます。

 が、この件に関しては、少々ご注意点を差し上げなくてはなりません。

 暗黒面に落ちてはいけませんよ、という話です。

 小説家がレビュアーをやると、時折、こういうことを書く人がいます。「俺だったらこう書くのになあ!」と。

 要は、小説家の視点を引きずったまま、レビュアーをやっちゃってる人です。

 え、それって駄目なの? ってお思いの方もいらっしゃると思うのですが、絶対に駄目です。なんでかっていうと、そういうことをすると嫌われるからです。小説家の世界っていうのは、どう繕っても実力主義の世界です。その中で、「俺だったらこう書くのになあ」なんて書いた日には、要らぬ反感を買うきっかけになります。

 そして、わたしがこんなことを言うのにはもう一つ理由があります。それは、書き手としての視点しか持たない作者はいつか行き詰まる可能性が高いから、です。

 物事を眺めるときに一点しか視点がないというのは、ある意味、クリエイターにとっては致命的とさえ言えます。モノカキに限らず、クリエイターには多角的な視点が求められる生き物だからです。だというのに、作り手としてしか小説に向き合えないのではいつか行き詰まることでしょう。せめて、書き手と読み手という二つの視点くらいは意識的に切り替えできるようになっておいたほうがいいかと思います。

 裏を返せば、多角的な視点を作るためにも、読者という視点からレビュアーをやってみる、というのも訓練になりますよ、というのが今回のお話なのです。


 というわけです。

 まあ、レビュアーってかなりストレスがたまりますけど、今後もお続けになってくださいよ。

 え、なんでお前、レビュアーの実際を知ってるんだ、って?

 ああいえ、実はわたし、昔はレビュアーもやっていたんですよ。が、「こう書いたらいいのになあ!」式のやってはいけない感想を書いてしまった関係で批判を食らい、廃業するはめになっちゃったんですよHAHAHA(実話)。

 まあ、モノカキにとって、レビューっていうのはあくまで二次的なものなので、モノカキ活動に差し障りがない程度に活動してください。それこそ、レビュー活動のせいでモノカキ活動に影響が出るんじゃあ、本末転倒ですからねい。


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