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コクーン

 コータは、この絶望的な状況の中で、自分が意外と落ち着いていることに驚いていた。この局面ははっきり言って、これ以上が無い桁外れな危機だった。今、確実に己の命が危険に晒されているのだ。それなのに、大して恐怖を感じていないような気がする。

 不思議になって、右頬を右手の親指と人差し指でつねってみた。痛い。実感はある。やっぱり夢を見ているわけではなさそうだ。だとしたらこの現実感の無さは、冷静になっているというわけではなく、あまりの恐怖に感情のリミッターが壊れて、正常な感覚を失くしているのかもしれない。

「何してるんだ?」

 隣のシートに座っているリュウが、馬鹿にしたような含み声で聞いてきた。

 コータは返事の代わりに、小さく鼻を鳴らした。まったく、こいつとこんな密室で肩を寄せ合う羽目に陥るとは、と、神様にでも悪態を吐いてやりたい気分だった。リュウは、何かにつけてコータにからみ馬鹿にしてくる、腹立たしい奴なのだ。

 二人は今、体感型の巨大ゲーム機の中にいる。クラシックな航空機に似せて塗装された、銀色の筐体の側面に設置された階段を上がり、上部に取り付けられた円蓋状の扉から中に潜り込んだ。内部はコックピット風に造られ、操作パネルとモニターの前に、ドライビングシートが二台並んでいる。扉を閉め切ってしまうと、プレイボタンを押さない限り、中は真っ暗闇だ。それでも、しばらくすると目が暗さに慣れ、それなりに周囲の様子が見えるようになる。

 穴蔵と変わらないここを、避難場所に選んだのはリュウだ。コータは今になって、何故自分がこの男の後に大人しく付いて来たのか、不思議になった。多分、突然襲ってきた絶体絶命のピンチに放心し、まともな判断力を失ってしまっていたのだ。そうでなければ、ずっと嫌ってきたリュウの指示に、素直に従うはずはない。

 コータは、その時の愚かな自分を罵りたくなった。ここは静かで、潜んでいるだけなら悪くない場所かもしれない。だが、敵から逃れたいという本来の意図的には、大きな問題がある。だって、見つかってしまったら、逃げ道がまったく無いのだ。ゲーム機の周りを敵に取り囲まれたりしたら、それで一巻の終わりになってしまう。

 だが、今となっては、別の場所に移るのはもっと拙い手のように思える。だって、なんだか、すぐ側を敵がうろついているような気がするのだ。本当は、こんな鉄の壁に囲まれた窓一つ無い室房の中にいて、外の様子などわかるわけがなかった。だが、暗闇に潜み続けていたせいで、恐怖心が膨張し、身動きが取れなくなってしまっている。

 そんな訳で、気に食わない男と一緒に袋の鼠になってしまったコータは、災禍が自分に気付かずに過ぎ去ってくれることを願い、息を詰めてひたすらじっとしているしかなかった。恐怖を紛らわすため、仕方が無いので、自分の境遇について考えてみることにする。


 コータは、自分がいつからここにいるのか思い出せない。数ヶ月程度のような気もするし、気が遠くなるような長い年月、ずっと閉じ籠っているようにも思える。それから、何のためにここにいるのか、その理由もわからない。何で自分はこの息苦しい世界に、ただ大人しく納まっているのだろうか。それは、かなり奇妙なことだとは思う。自分は確かにここにいるのに、それが何故なのかわからないなんて。だが、答えを追求する気力さえ涌かないのだ。

 コータ達は、自分達が寝起きをしている、コンクリートと合成樹脂でできたフロアの上下二階に、《コクーン》という呼び名を付けていた。横に延々と長い空間で、狭くはないが、そこだけで暮らしていくには決して広くも無い場所。仲間から聞いたところによると、ここは昔、賑やかなショッピングモールだったらしい。

 確かに、往来が許されているツーフロアだけでなく、その上にも下にも階段が続いているところを見ると、コクーンを内包する建物自体は、かなり大きな建造物なのかもしれない。無論、その内部に篭り、外に出ること許されないコータ達に、真相がわかるわけはないのだが。

 コクーンは、幾つものブースに分かれて生活空間になっている上階と、だだっ広い食堂と浴室がある下階で成っている。目に見えないシールドで区切られたブースの中では、それぞれ十人程度の男子が寝起きを共にしていた。部屋の割り当ては決まっていて、勝手に移動することは許されない。それから、自由時間と食事とシャワーの時以外は、ブースから決して出てはいけない。この二つが、ここで暮らすための大まかなルールだった。

 制限はあるが、実際居心地はそれほど悪くなかった。いつも過ごしやすい温度と湿度に空調が調節されているし、食事もたっぷり与えられて飢えることもない。衣服に関しては贅沢なほどで、シャワーの後に、隙無くコーディネートされた服に着替えるのが日課になっている。自由時間なら娯楽室に行って、ゲームや読書に興じることもできるのだ。

 けれどもちろん、薔薇色の暮らしというわけではなかった。ここには、変化が無いのだ。窓が一つも設置されていないから、外の様子を知ることはできない。朝も昼も夜も無く、照明が明るくなったり暗くなったりすることで、起きなければいけない時と眠らなければいけない時を示される。時折時間が止まっているのではないかと勘繰ってしまうほど、閉塞感に満ちた退屈な生活ではあった。

 そんな生温かい空間に閉じ篭っていた自分達は、羽の生えない芋虫と同じ、無用な存在と言えるだろう。だからコータ達は、この場所を皮肉って、中で虫がうねうねとのたうっている繭――コクーン――と呼んでいたのだ。


 考えれば考えるほど、コータは自分の置かれていた状態が不可思議になってきた。一体何だってこんな空間があって、何人もの若い男達が共同生活をしているのだか。もし、上手く逃げおおせることができて、もう一度あの暮らしに戻ることがあったら、今度こそその疑問の答えを追及したいと思う、絶対に。だが、現実から目を背けていられたのは、そこまでだった――。

 じっと息を潜めていたコータの耳が、か細い悲鳴を捉えた。頑丈な鉄の囲いにさえ遮られることなく聞こえてきたそれは、断末魔の声だ。

 コータはビクリと震える。また誰か、仲間が一人殺られたのだ。否応なしに、今自分がどういう状況に置かれているのか、逃れられない絶望的な現実がのしかかってくる。封じ込めていた恐怖が涌き上がる。心臓が激しく脈打ち、全身から冷たい汗が吹き出た。喉が渇き、呼吸が速くなり、無意識に犬のように舌が出ていた。

 恐怖に耐えられず、生きたいと願うことなどやめて、外に飛び出し、喚き散らしたい衝動が込み上げる。こんな、感情が極限まで引き摺り出され、自分という存在の際が見えるような体験は、生まれて初めてだった。

「怖いか?」

 不意に、暗闇にぽつりと落とされた低声に、コータは驚く。

「お前、やっぱり震えているよな?」

「うるさいっ」

 揶揄するリュウに苛立ち、コータは思わず大声を出してしまった。慌てて両手で口を押さえる。ついさっき、恐怖に搦め捕られているこの状況を、壊してしまいたくなったはずなのに、声を発した途端、凍るような畏怖に足を掬われてしまう。本当は、見つかるのが恐ろしくて仕方ないのだ。

 コータは必死で耳をそばだてる。足音や話し声など、誰かが近くにいるような物音は聞こえない。決して危機が去ったというわけではないが、少しだけ胸を撫で下ろす。

 そして、虚勢を張る意味もあって、コータは小声でリュウに話しかけた。普段ならできるだけ口をきかないようにしている相手だが、異常な状況を前に、さすがにそんなことは言っていられなくなってきた。

「あいつら、何者だ?」

 今一番知りたいことを聞いてみる。コータ達は、いつものように一日を遣り過ごしていた退屈な午後、突然恐ろしい敵に襲われたのだった。前触れも無く現れた殺人者は五人。月鎌を手に髪を振り乱し、手近にいた者を捕らえ、その刃を振り下ろしていった。あんな恐ろしい面相をした女達を見たのは、コータは生まれて初めてだ。

「イベントが発生したんだろ」

 リュウが答えた。

「イベント?」

 意味がわからなくて、続く言葉を待った。だが、いつまで待ってもリュウがその先を述べることはなく、暗闇がしいんと響くだけだった。

 コータはふん、と鼻を鳴らす。この腹立たしい男がブースのリーダーだっていうのだから、コクーンの人材不足はまったく酷いものだと思う。生き残ることができたら、ぜひとも大胆な改革を要求したい。もちろん、そんなことができるようになる見込みなんて無いわけだが。

「もうみんな殺られたのか……」

 いつもの皮肉めいた口調とは違う重く沈んだ声で、唐突にリュウが呟いた。考えないようにしていた仲間の顔を、コータは思い浮かべる。女達の襲撃で、ここが悲惨な処刑場と化してから、きっとまだ一時間と経っていない。その直前までこの場所は、くだらない雑談やゲームで時間を潰すしかない、死ぬほど退屈だが、無害な、平和なねぐらだったのだ。

 コータはこれまで、虚しく流れる時間を共に遣り過ごしてきた仲間達に、特別な情愛を感じたりしたことはなかった。だが今は、逃げ道のない鳥籠のようなこのブースの中で、鋭い爪を持つものに狙われ、惨たらしく羽を散らすしかない彼らに、できれば生き延びて欲しいと、真摯に願っている。それは、生命の危機を前にしてようやく持つことができた、仲間への労りだった。

 また何か聞こえてきた。コータは息を詰める。悲鳴よりもよく響く、甲高い金属音。何か硬いものと硬いものが、ぶつかり合って生じる音だった。

 それは、僅かな間隔を置いて幾度も聞こえ、次第に大きくなっていく。もしかしたら女達は、筐体を鎌で叩き、中に隠れている獲物をうさぎのように追い立てるつもりなのかもしれない。

 これ以上ないくらい怯えているのに、恐怖はそれでも際限なしにどんどん増大していく。心臓が早鐘のように激しく鳴る。その音のせいで、この場所を見つけられてしまうのではないかと思うほどだった。

 金属音は、確実に近付いてきていた。コータは思わず、隣に座るリュウの太腿を右手で掴む。耐え難い恐怖のせいで、どんなものにでも縋りたくなっていた。驚いたのか、リュウは一瞬身動ぎしたが、何も言わなかった。

 すると、痛いほどに耳障りだった金属音が、突然消えた。

 コータは体を強張らせる。再び戻ってきた静けさの中で、次に起こる何かをただ待つしかなかった。

 唐突に、大きな音が鳴った。カン、カン、と、高く響いて聞こえる。それは明らかに、ごく近くの場所から聞こえてきていた。規則的に続くそれは、どうやら誰かの足音のようだ。

 それがどういうことか、コータは瞬間的に理解した。ゲーム機に乗り込むための階段を、何者かが昇っているのだ……!

 コータは頭が真っ白になった。なぜだか笑い出してしまいそうだった。リュウの脚を掴んだままの手が、力が入り過ぎてぶるぶると震えた。

 足音が、頭上で止まる。

 重いものが動かされる音と共に、暗い室内に光が差す。コータは瞬きをし、ゆっくりと首を回して背後を見る。

 天蓋が開けられていた。

 化け猫のような女の顔が覗く。

 耳まで裂けた口がにたりと開かれる。その内側の毒虫を思わせる赤い色が、コータの網膜に張り付いた。

 形容しがたい恐怖が背中を駆け昇っていく。金縛りにかかったようになり、コータは身動きできなくなった。

 女の片腕が伸びてきた。コータは、これですべて終わりだと思う。心の中で、誰に伝えるでもない遺言を呟いた。さようなら、泡みたいだった人生。最期がこんな酷い結末だなんて思わなかったけれど……。

 コータが死を覚悟した刹那、何かがぶつかったような重低音が、外から聞こえてきた。

 猫女が振り返る。

 すると、なぜか急に天蓋から消えた。足音が聞こえる。どうやら階段を下りていったようだ。

 コータの唇から安堵の溜息が漏れる。もちろん、恐怖は過ぎ去ったわけではなかった。それでも、ほんの少しだけは寿命が延びた。

「何だ? 何かあったか?」

 リュウが小声で自問する。鈍い音と、鋭く乾いた高い音が混じり合って聞こえてきた。

「コータ、ちょっとお前、あそこから首を出して覗いてみろよ」

 明らかにからかっている口調で、リュウが頭上に開いたままの穴を指差す。

「嫌だっ」

 コータは、いつにもましてきっぱりと撥ね付けた。今すぐ誰にも気づかれない道端の石にでもなりたい気分なのに、そんな敵に目を留められかねない行為をするなんて、冗談じゃなかった。

「あっそ。しょうがない、俺が見るか」

 リュウは立ち上がり、シートの後ろに回って、天蓋に繋がっている短い梯子を登った。

「お、おいっ」

 馬鹿なことはやめさせようと、コータは慌てて後を追う。ためらいなく穴から首を出そうとしているリュウのシャツを、背中から引っ張った。平時なら、こんな風にこの男の身を案じるようなことは、絶対にしない。非常時だからこその気遣いだというのに、相手は、そんなこっちの歩み寄りに折れる気配もない。

「えっ? 何だあいつ?」

 表に顔を出した途端、リュウが吃驚する。

「コータ、お前も見てみろ」

 そう言って振り返り、片手を伸ばしてきた。

「よせっ。俺はいいっ。いいんだっ」

 引っ張り上げようと二の腕を掴んでくる手を、コータは慌てて払い除ける。リュウのことは、ずっと嫌な奴だとは思ってはいたが、どうやら考えていた以上に無神経な男だったらしい。コータには、あんな恐ろしい死神のような奴らを、わざわざ危険を冒してまで見ようとする気持ちがわからなかった。自分の勇ましさを見せ付けるつもりなのか、あるいは、まともな恐怖心が無いのかもしれない。何にせよ、そういう無茶は他人を巻き込まず、一人で勝手にやればいいのだ。

 まあ確かに、危機はもうすぐ近くまで迫ってきていて、それがちょっと先に延びたとしても、大した差は無いかもしれない。それでも、恐怖を目前にして開き直るようなことをしたいとは、コータは思わなかった。

 だからシートに戻り、体を縮こめ、しっかりと耳を塞いだ。リュウが喚き続けている表の状況の描写が、聞こえたりしないように。

「終わったぞ」

 そして、不意に肩を叩かれ、コータはびくりと顔を上げ、振り返った。いつの間にか梯子から下りていたらしいリュウが、シートの後ろに立っていた。どれほどの時間が経ったのだろう。おそらく十分ほどではないかと思うが、よくわからない。

「終わったのか……」

 リュウの言葉を最期の宣告として受け取り、コータは絶望する。とうとうあの月鎌の鋭い刃にかかり、首を切り落とされるのだ。

「そこで見ていた奴いたよね!? 生き残り?」

 出し抜けに、外から耳慣れない甲高い声が聞こえてきた。異形の女達だろうか。一言も声を発さずに襲ってきたので、喋れないものだと思い込んでいたのだが、そうではなかったのか。

 リュウがその呼びかけに反応し、梯子へ向かう。

「おいっ」

 一応引き止めてはみたが、コータはすでに諦めの境地に入っていて、どうにでもなれという投げ遣りな心持ちになっていた。

 穴から顔を出し、リュウが答える。

「そうだけど。あんた何者?」

「私はただの物好き。名前は切子。あんた一人?」

「もう一人いる」

 勝手に外の女と会話して、勝手に自分のことまで知らされてしまっても、コータはもう脱力するだけで、腹も立たなかった。

「じゃあ、生き残りは二人か」

「何人残っているかは知らないよ。俺は、今俺の足下にいる奴と、成り行きを見ずに逃げたから」

「七人死体を確認した。ここのグループは九人でしょ?」

「そうか……」

 リュウが呻くような呟きを洩らす。だが、すぐに気を取り直し、質問を重ねる。

「ところで物好きって何? あんた敵? それとも味方?」

「さあ? でも今のところ、あんた達が助かる道は、私に付いて来るしかなさそうだけど」

 ――助かる?

 コータの怯える心が、微かな希望に反応した。

「助かる? 俺達が?」

 リュウが馬鹿々々しいと言いたげに繰り返す。

「そう望むなら、付いて来なって言ってる」

「突然現れた、正体のわからない女にか?」

 リュウの口調は、明らかに相手に疑念を持っている。

 コータは慌てて立ち上がった。このままだと、たった一つの生き残るチャンスを潰されてしまうかもしれない。毛筋ほどの可能性だったとしても、今は縋り付かないわけにはいかないのだ。

 脇から無理矢理足を引っ掛け、コータはリュウを押し退けて梯子をよじ上り、穴から外へ顔を出す。

「助けてくれるのか!?」

 大急ぎで会話に割り込む。

 その時、コータの目に周囲の様子が映った。思いも寄らない状況に、すぐに絶句してしまう。

 彼らが身を潜めていたのは、所狭しと大型アーケードゲームが並ぶコーナーで、内装はシルバーを基調にした無機質なものになっていたはずだ。それなのに今は、塗料をスプレーで派手に撒き散らしたかのように、赤く染まっていたのだ。

 隠れていた筐体の側に一人の若い女が立ち、こちらを見上げている。異形の死神達とは違い、至って普通の容姿の女だった。のっぺりとした特徴の無い顔立ちで、一度会ったくらいでは記憶に残らなさそうだ。

 だが、平凡なその女の足下に、肩から斜めに切り裂かれて、臓腑をはみ出させている屍が一体、転がっていた。それは確かに、コータ達を襲ってきた異形の女の一人だった。恐ろしげな顔を上に向け、眼をかっと見開いて、天井を睨んでいる。

 コータは、グロテスクな死骸に思わず視線を逸らしてしまう。すると、他にも床に倒れている者がいるのが目に入った。見渡してみると、コータ達を襲ってきた化け猫達が、五人全員血を流して動かなくなっていた。

 若い女は、赤く染まった白いTシャツとカーキの軍用ズボンを身に着け、手には血糊でぬらぬらと光る小振りの刀を握っていた。何の力も無さそうなこの小柄な女が、あの残忍な化け物達を倒してしまったのかと、コータは夢でも見ているような気持ちになった。

「あんたは……」

 コータは、言葉を継ぐのが恐ろしくなった。もしかしたら自分は、猫女達を凌ぐ化け物に助けを乞おうとしているのかもしれない。

「助かりたいなら、私を信じるしかないんじゃないの?」

 女がにやりと笑う。

 自分の前に示された希望の光は、ほんの微かなものなのだということを、コータは受け入れるしかなかった。


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