3話『スキル実践1』
この世界のほとんどの吸血鬼はデイウォーカーだと思ってください
そんなこんなで訓練場にきた
…めんどくさいなぁ
「じゃあ、ユージェ。
スキルを実際に使って見せてくれ」
ちなみにフランは朝食の準備中だ。まだ食べてなかったからね
「うん。どれからにする?」
「そうだな…【鑑定】」
私のアクティブスキルはこんな感じだ
ユージュアル・ヴィクトリア 女 13歳
スキル
〈アクティブスキル〉
【霧操作】【霧操作LV1】【霧生成LV1】【霧化LV1】
【血液操作】【血液操作LV1】【血液生成LV1】【吸血LV1】
【襲流・剣術LV5】【薄氷】【風鈴】【釣瓶落し】【鯨】
【襲流・弓術LV5】【陽炎】【青鷺】【桐一葉】【蛍雪】
【魔術】【水属性魔法LV-99999】【火属性魔法LV3】【風属性魔法LV6】
ちなみに私の記憶力ではさっき見たこのスキル群すら覚えていられなかったりする。
「で、何を試すの?」
「お、意外だな。ユージェはこういうの嫌がると思ったんだが」
「嫌がってるよ。だから早く終わらせたいの」
「なるほどな。じゃあ、早速【魔術】スキルを使ってみてくれ」
「え?なんで?お父様の前でも使ったことあるよね?」
「ああ。だが、さっきのは“定着”させる儀式でもあったんだ。
だから、もっとうまく…直感的に使えるようになったりしてるはずだ」
「へぇー、そんなもんなんだ?
じゃあ【火属性魔法】」
私が放った炎球は訓練所の壁に多少の焦げ目を作って消えた
「…ユージェ。ターゲットを狙ってくれないか?」
この訓練場には10mほど離れた位置に人型の的が置いてある
「狙ったよ。狙ってこれなんだよ?」
別に狙ってないわけではない。狙った上でノーコンだったのだ。
「…そうか。じゃあ、別の魔法を頼む」
「うん。【風属性魔法】」
私が放った風球は訓練場の壁にかなりの裂傷を作って消えた
「…ユージェ。ターゲットを狙ってくれないか?」
この訓練場には人型の的が置いてある
「狙ったよ」
狙った上でこれなのだ
「…そうか?じゃあ、次は水属性魔法を頼む」
「いやだ」
「?ユージェ、どうした」
ほとんど無意識に言葉が出ていた。
でも、何故か使ってはいけない気がする
「あ、いや、なんか…使っちゃダメな感じがしたから…」
自分の意識していない言葉が出てきたせいで少ししどろもどろになっている
「ふむ…ああ、LV-99999と関係しているのかもな。
まあ無理は言わん。悪影響が起こっても困るしな。
多分次の儀式で俺の流水耐性が引き継げるだろうし、その時でいい。」
……コピーの時もスキル見せないといけないのが確定しちゃった
「とすると、次は【霧操作】を試してみてくれ」
「…わかった。
まずは……【霧生成】で、【霧操作:霧散】」
私は、言われた通りに霧を操り周りを隠す
もちろん、周りに霧がないときは操作などできないので、霧生成で霧を生み出しつつ、だ
「ああ、【霧生成】を使っているところを見るに、直感的な操作は問題ないみたいだな。
だが……」
「なに?」
何か言いたげだ
「それだけか?それだけだとせいぜいただの目隠しだが」
「そんなわけないでしょ。もっと他にもできることはあるよ」
「ほう?どんなのだ?」
「たとえば…【霧操作:風属性魔法陣】
こんな感じ」
私が放った風刃は訓練場の的に大きな裂傷を作って消えた
「おお、属性魔法の触媒にできるのか。精度も上がっているようだが、そうだとしても【血液操作】と同じようなものじゃないか?」
【血液操作】は自分の血液を自由自在に操るスキルだ。もちろん吸血鬼も持っている。
だから操作感がなんとなく似ているのだろうと思ったのだろうが、それとは決定的に違う
「ううん。他にも、【霧操作:剣】……こんな感じで武器も作れる」
何故か私は得意げになっている。普段はこういうことをめんどくさがるのだが、なぜだろう?
「どこでも出せる武器……か、確かに便利だな。」
「血液操作でいいって思ったでしょ?」
「いや?別に?」
「……そう。」
「じ、じゃあ次は、せっかくだしその剣で【剣術】を」
「まだだよ。まだ【霧化】を見せてない」
「?ああ、確かにそうだが……」
「つかいたい」
「そうか?珍しいな。
まぁユージェ本人がそう主張するなら構わんが」
「ん。【霧化】」
そう唱えると、私の体が霧になる。
だが、この状態でもある種直感的に動くことができている。
可動域はかなり違うはずだが、不思議な物だ
「なるほど。霧と化して物理的に人体では不可能な変域で活動をする能力か。」
「違うよ」
お父様が何か見当違いなことを言っているので訂正を加える
「違う。そんなわけないでしょ
【霧化】は自分の体を【霧操作】の適応範囲に合わせるスキルだよ」
「……で?何が違うんだ」
なんか呆れられた気がする
「全く違うよ。【霧化】と【霧生成】を【霧操作】で同時に操れるようになったりするし、そのまま本来の体に【霧生成】で作った部分をつけたりできるんだから」
「うーん?試してみてくれ」
「【霧操作:鎌苅の腕】」
お父様の言葉に被せ気味でスキルを発動させた。
おそらくこの武器を作るのが一番“同時に操れる”ということがわかりやすいだろう。
「どう?わかりやすいでしょ」
そう言いながら刃と化した腕をお父様に突きつけた
「なるほどな。わかったからそれをしまえ」
「……【霧操作:解除】」
なんだかお父様から怖い雰囲気がしたので素直に従っておく
「ああ……違う。しまうのはそれじゃない。“殺気”だ」
「さっき?」
「そんな殺気をぶつけられ続けるとこっちの体が持たん。どこでそんなの覚えた」
「どこでと言われても……お父様を見て、とかかなぁ?」
「……」
力尽きました。
マンティスブレードって分かりますかね?
腕に直接ねじ込むタイプの武器です(じっくりみたらグロい)。
サイバーパンクは好きです。