1話『血継 の 儀式』
ちょっとプロローグとは視点が変わってるかも
プロローグは未来からの記憶の反芻だけど
こっちは実体験がそのまま綴られてる感じ?
フランに急かされつつ、私は血継の儀式をする部屋に向かっていた
「ユージュアル様、ディフェクト様がお待ちです。少し急いだほうがよろしいかと」
「…ねぇフラン。」
「なんでしょう?」
「目的地って食堂よね?」
「はい。そうですね」
「食堂で血継の儀式なんてするの?雰囲気とかは?」
仮にも私この国の皇女なんだけど…
「…さて、おそらく忘れていらっしゃると思うので血継の儀式の説明を始めますね」
「あ、逃げた」
いや、そもそもここに呼ばれた理由知らないのかな?
…ま、説明はありがたいからいいんだけどね
「まず前提として、“血継の儀式”とは
吸血鬼がその力を十全に扱えるようにするための能力の解析。
並びに、血統者からの能力の引き継ぎなどを行う儀式のことを指します。」
「おお、逃げた先の説明にしてはしっかりとした情報だ」
「そして、“吸血鬼”という種族としての特徴の開花が始まるために必要な儀式でもあります。」
「あ〜、【血液操作】とか【自動回復】とかの基本的なスキルだね」
「…」
「ん?どうしたの?」
そんな話をしていると、目の前を歩いていたフランが急に立ち止まった
「ユージュアル様が…
過去に話した内容を覚えている…?」
私の記憶力ってそんなに信用なかったのか…
「流石にそのくらいはね〜」
「なるほど。自分の誕生日よりも重要な情報なわけですね」
…え?自分の誕生日なんて覚えてなく無い?
「え?自分の誕生日なんて覚えてなく無い?」
あ、思ったことがそのまま出ちゃった
「……」
「ん?フラン、どうしたの?」
「あ、いえ、それで、説明の続きですが、」
「続けるんだ」
なんかフランの様子がおかしい?
「血継の儀式を終えずに13歳の誕生日を迎えた吸血鬼はその権能を暴走させて最悪の場合死にいたります。」
「へぇー」
「(良く自分が行くのに乗り気じゃなかったものに対する反応でそれが出せますね)」
「ん?なんて?」
「いえ。なんでもありません」