シーン120レギオンの最後。
俺の目の前で爆発に巻き込まれたベルーガ。
俺は彼の名を叫ぶ。
するとモクモクと爆煙が上がった先から現れたのは、あの細く気味の悪い男だった。
『クククッ……レギオン………どうやらお前の部下はただ死にしたかったらしいな。』
『貴様…………。』
俺は魔象牙杖を握りしめる。
するとペリオットが続ける。
『まずはお前達を殺し、そして他の奴らも消してアステリオは終わりだ……そして…………。』
ペリオットが視線を送った先は俺の家。
『レギオン……俺はエクステリオのギーガの直属のヒットマンだ……俺が遠くの殺しへと行っている間にギーガはお前達に消されていた……だがな……ギーガとは元々が俺の兄でな……さすがに兄を殺されそしてエクステリオまで潰されてたとあっちゃあ俺も腹の底が煮えたぎる思いさ……なので俺はここからお前達アステリオを潰し……そして……エクステリオを再興させる……そして……そうだなあ……お前の娘がいたよなあ……お前が死んだ後……俺の嫁にすれば……寂しくもあるまい………だから…………心配などせずに…………』
そう言い放ったペリオットの足元からワラワラと湧き集まってくる、爆弾を抱えた数百匹とも思える魔神ボムズラット。
『さあ………このまま………あの世へと送ってやる…………大人しく散るがいい……レギオン!!!』
ボムズラット達は一斉に俺の元へ駆け寄ってくる。
『これは…………………ヤバい!!!???』
俺がそう思った瞬間。
魔象牙杖が光り輝く。
『これは!!???エレファモス!!!??』
俺の絶対絶命のピンチに輝く。
そして目の前には俺を庇うかのようにゆらりと再び姿を見せるエレファモス。
『Wooooooーーーーーーーーーーー。』
エレファモスは吠える。
『いいか………………ペリオットよ…………俺は仲間が………そして大切な娘が全てだ………その俺の大切な者達を守る為なら……………この生命など………惜しくはないんだ!!!!!』
『ほお!?言うたなレギオン……そして確かにお前の魔神エレファモスは古代にその圧倒的な力を誇りこの大地と共に生きていた…………だがな……知ってるか?その巨象はどうやって滅んだか………それはな……………この哺乳類でも身体は他の生物よりもはるかに小さく力のない生物………それが『ネズミ』だ………一匹ではそれほどの力はないがその繁殖力と生命力は圧倒的な生物だ……そのかつての巨象は小さな哺乳類………ネズミによって滅んだという説もあるのだ…………そう……………お前のその巨大な力は…………』
そう言い放ったペリオット。
次の瞬間。
エレファモスの左足にはいつの間にか数十匹のボムズラットの群れが張り付いていた。
パチンっと指を鳴らすペリオット。
ボンっと爆発を起こすボムズラット。
『うあああっ!!???』
左足に激しい激痛を覚え俺とエレファモスの身体は地面に沈む。
『クククッ……どうだレギオン!?痛えだろ?さあ、命乞いでもするか?』
『くっ!?俺はこんなものでは屈しない……俺は皆を守る為にここにいるんだ!!!』
『ほお!?』
ペリオットの表情が変わったその時。
ボンっと破裂する俺の両足。
激しい激痛に気を失いそうになる。
もちろん……エレファモスは倒れたまま………両方の後ろ足は吹き飛ばされていた。
『クククッ……これでお前もさすがに絶望しただろう………さあ……命乞いしろよ……アステリオも…娘もやるから助けてくださいってなあああーーーーーーーーーーーー!?』
俺の意識は飛びそうになる………が…………。
きっとこのままではペリオットはこの力でこのアメリスアードを支配していくだろう………それだけに恐るべき力だった。
今ここで俺がこいつを止めておかなければ………アステリオはもちろん……………この大地も………そして大切な娘……………リオも。
この生命………これで尽きても構わない…………。
『エレファモス……………『最後の同化』』
『Woooooooooon。』
俺の身体とエレファモスの身体は融合し……そして。
俺はペリオットの身体を捕える。
『なにっ!?貴様!!!???』
『さあ……………………やるがいい…………このまま俺ごと吹き飛ばすがいい………お前も道連れだ。』
『ええい!!うっとおしいーーーー!!!ならば試してみるか!?……俺も道連れになるかどうか!!!???』
ペリオットのその声に俺は。
(エレファモス………最後に力を貸してくれ…………)
『さあ……………死ね………レギオン………………。』
カチリと入ったやつの着火音。
『なにいいいーーーーーーーっ!?レギオンめ。』
そう聞こえたペリオットの叫び声。
そして…………………………………。
ドガーーーーーーーーーーーーーーーーーンっと激しい爆発が巻き起こる………そして俺の全ては………………。
ここで終わったんだ。
真っ暗な意識の中………俺に見えていたのは光の中の笑顔のリオだった。
(リオ…………お前の花嫁姿………見れなくて……本当にごめん………幸せになるんだぞ。)
そして俺の意識は……静かに消えていったんだ。
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