シーン118忍び寄る影。
俺達はレストランに来ていた。
これはリオの誕生日を祝うものだった。
『リオ……おめでとう……もう今日で17歳か………早いものだな。』
『もお……パパ!なんかその言い方嫌だなあ?おばあちゃんみたいじゃん!?』
『ははは………ごめんごめん…リオ……でも………本当におめでとう。』
俺はリオにそう返すとポケットに忍ばせたとある物を取り出す。
『えっ!?パパ…………これは!?』
『ああ…………これはリオの為に頼んで作ってもらったとあるアイテムなんだ。』
『これって………まさか。』
リオそういうとそのアイテムを取り出す。
すると…………。
一つはトランプのカード……そしてもう一つは指輪だった。
『そのカードはいつもお前のスクエルは居所がなく疲れるだろうと思ってな…作ってもらった、まあ簡単に言うならスクエルの寝床だ。』
するといつの間にか私の手まで降りてきたスクエルはカードを見てクンクンと匂いを嗅いでいる。
そして、スーッとカードの中に吸い込まれていくスクエル。
『えっ!?スクエル!?』
『ききっ。』
スーッと消えていくスクエル。
リオはスクエルから何かを感じたのだろう口を開く。
『なんかスクエルカード気に入ったみたい……大人しく寝ちゃった。』
『そうか……大丈夫だ、お前が呼べばスクエルは起きて出てきてくれる。』
『うん、パパありがとう!それでこれは!?』
リオはそういいながら指輪が入った小箱を手に取り開ける。
すると驚きの表情へと変わるリオ。
『これは………………?』
リオはそう言うと涙を流し始める。
そう………これは俺がずっと愛してやまない亡き妻リーナがつけていてくれた指輪だったんだ。
俺はあの時……動かなくなったリーナをずっと抱きしめていた。
そしてリオは俺達の隣でずっと泣いていたのだが俺はリオがその手に握りしめていた何かに気づいたんだ。
そう………実はそれがこのリーナの身につけていた指輪だったんだ。
『ああ………そうだよリオ……これはきっとリーナがお前にと指輪を外しその小さな手に握らせていたのだろう。』
『ママ…………………………………』
『リオ…………お前のママ、リーナは誰よりもお前を愛していた………そんなリオがいつか幸せになるのを信じてそれをまだ赤子だったリオに渡したのだろう………お前ももう……分別はつく年齢になったハズだ………俺もお前の幸せは見てはいくが、もしも俺が消えたとしても…………お前には幸せになってほしい。』
すると頬を膨らませるリオ。
『もおっ!!パパ!!バカな事言わないで!パパにはママの分まで私の子供をずーっと預けておくんだからね!!』
『あはは!そうだったな!』
俺達は笑い合う。
こんな幸せな事は中々ないだろう。
俺は……………このままずっとこうして幸せな時間をおくれるのだろうと………リオのこの笑顔を見ていける……そう思っていたんだ。
そして俺達はレストランを出る。
◇
◇
◇
『ふぅ………パパ………今日の私の十七歳のプレゼント……いい思い出になったよ!』
リオは立ち止まりそう言ってくれる。
街灯がリオを照らしキラキラと輝かせる。
『リオ……いや………今日だけじゃなく………来年も、再来年も………そして三年後はリオも大人の仲間入りするよな。』
『パパ…………そうだね…………』
笑顔を見せるリオ。
『私が大人になったらさ…ちゃんとお礼を言うね!ってお礼なら今いうね。』
リオはスーッと息を吸い込む。
『パパ!!!!!今までも私が大きくなるまで育ててくれて本当にありがとう!!!』
リオの言葉に俺は胸が熱くなる。
彼女は本当に…………本当に………こんなに成長してくれたんだ。
そして気がつくと……頬から涙がつたい落ちる。
『リオ…………………俺も………本当に苦労ばかりかけてきたな………………これからは、幸せになっていこうな。』
『うん!!!』
どうやら俺は………年々……涙脆くなってきたのだろう。
そして俺達はこのまま…………帰路に着いたのだった。
だが………背後から不気味な何かを俺はこの時………感じながら歩くのだった。
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