シーン11悲しみの時。
リーナの葬儀はマジェスト協会にて行って貰った。
彼女のこれまでの功績はマジェスト協会でも素晴らしいものだったという。
そう、実際あの時俺を助けに来てくれた一人が彼女でありそしてずっと献身的な彼女の介護のおかげで俺は重症から回復し、そして幸せを貰えたのだ。
そして俺の為にこの大切な宝物である『リオ』を残してくれた。
だが家族三人の幸せな時間は本来ならもっともっと末永く続く未来は突然の終幕を迎えてしまったのだ。
呆然とする俺。
この手には、すやすやと眠るリオがいた。
リオの髪は彼女と同じ綺麗な紫色に光っている。
我が娘のそんな顔を見ていると俺も癒しを覚えるがリーナの笑顔が浮かんでくる。
今はこの寝かせられた彼女の為の棺おけの中で美しい表情のまま眠っているのだ。
『リーナ……………本当にありがとう。』
俺はそう告げる。
するとリオが腕の中でパチりと起きてしまう。
あー!あー!といいながら腕の中で暴れ出すリオ。
『リオ!?まてまて!ほら。』
俺はリオをリーナの前に差し出す。
すると、あーーーーー!と叫びにっこりと笑うリオ。
リオのその行動に俺は……………。
目から熱い涙が一粒零れ落ちる。
『くっ……………リーナ。』
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こうして俺たち三人の家族の生活は終わりを告げたんだ。
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俺には親族がいない……そしてそんな俺の妻のリーナにも実は親などもいなかったのだ。
そんな中……マジェスト協会、ヤシュア様は俺の 仕事の際はリオを見ていてもらえていたのだ。
そして俺はとある事を考えていた。
それは。
『ヤシュア様……ご在室でしょうか?』
俺はアメリスアードに戻ってきていたヤシュア様の部屋の扉を叩き告げる。
『入れ。』
『失礼します。』
俺が中に入るとヤシュア様の表情は俺に対する悲しみの目を向けてくる。
すると俺の言葉の前に彼は口を開く。
『此度の件……ワシのいぬ間に……もっと全てに目を向けておくべきだった……本当にすまない。』
『い、いえ!ヤシュア様にそのような非礼などごさいません……これは完全なる俺のミスです……幸せに浸り警戒があまかったのが良くなかったのでしょう。』
『いや、これはやめにしよう………じゃがやはりわしが今気になっておるのはお主の事じゃ……確かにリーナは素晴らしい女性だった……我がマジェスト協会でも素晴らしい仕事をしてくれ、そして最後までその力を存分に奮ってくれた……そんな彼女を失ったレギオンにはワシは感謝もしておる……じゃが………何かを……考えておるであろう?』
俺にそう問うてきたヤシュア様は流石である。
『ええ………』
俺はリーナの残した言葉、それは自分の娘リオにも俺同様マジェストの力があった事を説明する……その事で今後のリオにも何かがあっても 困るのだ。
その為にも俺は魔神との関わりを知りたかったのだ。
それを俺はヤシュア様に説明をする。
『うむ……確かにそれは気になる所ではあるな………そして我々はワシにトーンウィングがいるように……我々が発見し研究した魔神具の事であればワシの研究でも能力や諸々を調べる事ができておるのじゃが……いかんせんお主の持つその古代の神が作ったとされるその魔神具に関しては先の勇者の文献の中にも古代の三大魔神とされるお主の魔神具については記されていないのだ。』
『そう……なんですか?』
『うむ……基本的に我々マジェストは魔神との繋がりがありその力を得ている……それはお主の魔神エレファモスもそうなのであろう……じゃが古代の神の創りし魔神とは…本来三種族の争いが起こった際にその力を行使されると古文書には書かれていたのをワシは発見したのじゃ……』
俺はその言葉になにか巨大な影を感じる。
『それはもしかして……倒された魔王に関する何かが起ころうとしてるという事なのでしょうか?』
ヤシュア様はゆっくりとうなづいた。
『その様に……我々は考えておる………そこでじゃ………レギオン………アフリエイト大陸のケニージア行ってはみないか?』
『えっ!?』
俺は驚きの声を上げていた。
『アフリエイトにはケニージアという都市がある……そしてその地には霊峰キリマジャーロという大山が存在する………アフリエイトはこの世界でも最古から存在する大陸じゃ…そこは母なる大地とも称されておるのじゃ……その霊峰には太古の精霊王である聖獣様が棲むと言われる……そこへ行き聖獣様のお声を聞く事が出来ればお主のエレファモスの事も知れるであろうよ。』
俺はその言葉になにかの目覚めを覚える。
『古文書には神の創りし魔神具の魔神はやはりかつての太古の魔神じゃ……それを知るものはきっとこの世で聖獣様と呼ばれる存在にしか分からぬであろうよ。』
俺はその言葉に希望を見出す。
この俺に起こった全ての事件は魔族、そして魔王へと繋がるのかも知れないこれまでの事件……そしてリオ……俺の宝物であるお前を俺は守る為……更なる強さを求める為に……俺はアフリエイトへと向かったんだ。
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お読みくださり素晴らしい感想まで本当にありがとうございました。