第十三話 巨大獣ゲゲルル 見えない敵を討て! 7
積乱雲の中に逃げ込んだ巨大獣ゲゲルル改は、俺の追加したステルス機能で姿を消し、文字通り見えない状態から攻撃を開始した。
俺の魔改造は右腕の気象コントロール装置は外に吐き出す乱気流を巻き起こし、乱気流の中に小型ミサイルを仕込むハリケーンミサイルになった。
ハリケーンミサイルはガッダイン5の身体に当たり、確実にダメージを与えた。
「ぐはぁああ!」
「キャアッ!」
「むおおおおおっ!」
ガッダイン5の巨体にミサイルが直撃、まるで鉛筆でゴリゴリとなぞったような汚れが金属についた。
どうやらダメージを受けているのは間違いない。
「くっそー! 見えない所から攻撃しやがって、卑怯もんがー!」
まあ確かにそう言われればそうだが、これが今回の巨大獣の能力なんだからそれを活かすのは当然かと。
「巨大獣ゲゲルル、ガッダイン5を吹き飛ばせ!」
「ガギャアアアオオンン!」
巨大獣ゲゲルルの左腕の気象コントロール装置が発動、今度は空中のガッダイン5の身体を引き寄せ始めた。
「くそっ! 何だよコレ、引っ張られている!?」
「空中でしがみつける場所が無きゃこれは不利だぜ」
「皆さん、どうにかしてジェットノズルの出力を反対方向に出来ませんか!」
竹千代が引き寄せられる反対側にジェットをふかすべきだと言っている。
まあ実際原作ではそれでどうにかなったのだが、この魔改造されたゲゲルル改だとそれは悪手にしかならない。
なぜならそのジェットに必要な空気をゲゲルルが奪うからだ。
「ゲゲルル、今度はハリケーンだ、右手でガッダイン5を弾き飛ばせ!」
巨大獣ゲゲルルの右手と左手はそれぞれが反対の動きをし、原作以上にガッダイン5を追い詰めた。
「くそっ、このままじゃ負けちまうぜ」
「気持ち……悪いっ……」
「千草ぁ! くそっ! ダバール星人め!」
どうやらあまりの負担に千草の先天性の心臓疾患が発病してしまったようだ。
このまま戦いが続ければ千草が心臓麻痺で死んでしまう。
ガッダイン5の熱烈なファンの俺としては流石にその展開はちょっと受け入れられない。
仕方ない、少し手を緩めるか。
「ゲゲルル、サイクロンクラッシュでとどめをさせ!」
ここでガッダイン5をバラバラにしてしまい、彼女達を捕虜にすれば死者を出さずに戦闘を終わらせる事が出来るはず。
俺は巨大獣ゲゲルルのサイクロンクラッシュで決着をつけることにした。
「皆さん! 一度分離しましょう!」
「でもそれだと空を飛べない玄太郎と竹千代が……」
「オイの事は気にせんでええですと」
「ぼく達なら大丈夫です」
どうやらガッダイン5はサイクロンクラッシュを喰らう寸前で分離をするようだ。
「よしっ行くぜみんな!」
「「「「了解!」」」」
ゲゲルルのサイクロンクラッシュで胸の刃物によるベアハッグ締め付けが決まる少し手前でダインマシンが分離した。
「行くぜみんな!」
「「「「「レッツ! ガッダイィィーンッ!」」」」」
分離したダインマシンがガッダイン5に再び合体した。
「あの腕のヤツがアイツの竜巻を起こしてるんだな!」
「おれに任せろ! 喰らえッ! ランサーアタック!」
流が投げたSランサーとNランサーが同時にゲゲルルの両手のファンに刺さった!
ファンでの攻撃が出来なくなったゲゲルルは、両腕を振ってどうにかランサーを引き抜こうとするが、深く刺さったランサーは引き抜けない。
「よし! とどめだっ! 行くぞっ、超電磁ウェエエーブ!」
やっぱり駄目だったか。
超電磁ウェーブが決まったらもうガッダイン5の勝ちは確定だ。
「超! 電磁……スマァァァアアアッシュ!!」
「ゲゲェルッルウウウウッ!!」
南海の上空で巨大獣ゲゲルルは大爆発を起こした。
その直後ゲゲルルに勝利したガッダイン5は千草の心臓疾患の治療の為、すぐに北原未来要塞ベースに帰還した。




