第十三話 巨大獣ゲゲルル 見えない敵を討て! 2
「光一郎! お前……本気でそれを言っているのか?」
「ああそうだっ、健作。僕は宇宙人だっ、僕がマグネコンドルを作った理由はダバール星に帰り、偽の皇帝……デスカンダルを倒す為だっ!」
これはガッダイン5十三話の台詞だ。
親友の代々木博士に自分が宇宙人であることを告げた光一郎――ハリールは、ダバール星の圧政を終わらせる為にマグネコンドルを作ったと告げた。
だがそんな荒唐無稽な話、到底リアリストの代々木博士が信じるわけが無かった。
「バカも休み休み言えよ。お前は旧日本軍の北原大佐の息子だろう。三島からそう聞いているぞ」
三島防衛長官、代々木博士、そして北原博士ことハリール王子は三人の親友だった。
「そうか、これだけ言っても信じてもらえないかっ。それなら今度生まれてくる僕の子供を見れば信じてくれるかっ!」
「みどりさんとお前の子供か。お前……おれと三島の憧れの人だったみどりさんを手に入れやがって……不幸にしたら絶対に許さないからな! それで、その子供が何だってんだよ」
「僕が宇宙人である証拠さっ、みどりさんは生粋の地球人だが僕が宇宙人だからその子は青肌の子供が生まれる。それを見ればキミも信じるだろうさっ」
だが、実際に生まれてきた子供――千草――は青肌ではない姿だった。
「ほら、やっぱり嘘だったじゃないか。この可愛い赤ちゃんのどこが青肌の宇宙人なんだよ!」
「そんなっ、僕が飲んでいた薬の影響が……この子にも出たのかっ」
千草は生まれながらの心臓疾患を持っていた。
これは今だから分かる事だが……ハリールの飲んでいた青肌を地球人と同じ色にする薬の副作用だった。
この頃から病魔は確実にハリールを蝕み、彼は倒れ込む事が増えた。
「健作、守人っ……僕がいなくなったら、みどりさんを頼むっ……」
「ふざけるな! そんな事出来るかっ」
「そんな軟弱な奴にオレはみどりさんを譲った覚えはないぞ! 生きろっ! そうでないと許さんぞ!」
だがハリールはその後も寝込んでしまう事が事が増え、寝たきりになり――そのまま帰らぬ人となってしまった。
奇しくもそれは……彼の待ち望んだマグネコンドルとガッダイン5の二つが完成した日だった。
「光一郎、お前の形見……儂が引き継いだぞい」
すっかり中年になった代々木博士は完成したマグネコンドルとガッダイン5を運用する為、三島防衛長官の持つパイプを利用して全国の若者達に向けた国勢適性検査を実施した。
そして選ばれたのがガッダインチームだったのだ。
この十三話、コマーシャルの前半が全部この過去話だった。
小さい頃見た時は……ガッダインチームの日常も戦闘も無く、退屈な話だと思ったが、再放送で見た時俺は涙が止まらなかった。
この話に後々の伏線が色々と仕込まれていたからである。
皇帝デスカンダル、千草がダバール星人とのハーフ、そして謎の言葉マグネコンドル。
これは全て後半の伏線になっていた。
流石は浜野監督というべきか、この時点で監督交代の話は持ちあがっていたのだろう。
だから後半の伏線を全部用意して、これを後任者に風呂敷を畳ませるつもりの置き土産にしようとしたのかもしれない。
本来の十三話は後半だけがガッダインと巨大獣の対決の話だ。
ガッダイン5大百科によると……。
奇岩島基地から脱出した三島防衛長官は、北原未来要塞ベースに現れて奇岩島の場所を確認しようとした。
それは彼が第二大戦時に従軍した時の軍艦で近くを通りかかった海域にあった島だという話だったからだ。
そしてガッダインチームは南方の島の場所を確認する為に合体した状態で飛んで島を探した。
その時、乱気流に巻き込まれ、ガッダイン5は攻撃を受けてしまう!
なんと乱気流を巻き起こしていたのは巨大獣ゲゲルルだったのだ。
残念ながらこの話俺はイマイチよく覚えていない。
子供の頃見た時は前半の退屈さに半分寝てしまい、再放送の際には仕事が忙しくてその話が見れなかった上、ビデオのテープの時間切れで後半が見れなかった為だ。




