第十三話 巨大獣ゲゲルル 見えない敵を討て! 1
巨大獣アゴゴルが水中で大爆発を起こし、それが巨大な水柱になった。
そのどさくさに紛れて三島長官の姿のアイツはグローン円盤で逃げ出してしまったようだ。
くそっ! もう少しだったというのに!
仕方が無い、逃げられてしまったものはどうしようもない。
だがこれで厄介な悩みの種が増えたのも事実だ。
――三島防衛長官の姿をしたアイツは本編終了後の処刑されたブキミーダで間違いない。
そしてアイツは地球人もダバール星人も全て憎んでいるので、お互いを泥沼の戦争に巻き込んでメチャクチャにしようとしている。
アイツはダバール星人の科学力を知り尽くしているのに加え、今度はガッダイン5の性能も防衛長官の権限で知る事が出来る。
――つまり、アイツの前に……今は全ての軍勢の武力が筒抜けだと言えるのだ!――
もし、これをどうにか回避する為には、俺が知るだけのガッダイン5に関する記憶を頼りにアイツに気付かれないように原作改変を企てて行くしかない。
幸い今の俺の立ち位置はダバール星人の中ではそこそこになっている。
この一クール分の話で苦労した甲斐があったってものだ。
バルガル将軍は俺の事を信頼に値する科学者と見てくれている。
シャールケン提督は俺の事を、妹を助けた命の恩人だと見てくれている。
ミザーリン諜報官は俺の事を命がけで炎の中から助けてくれた命の恩人だと思ってくれている、だが最近おかしな方向に進んでいるようだが……。
そしてマーヤちゃん、彼女は俺をご主人様と認識していたが、再起動をかけた事によるバックアップで少し不具合が出ているみたいだ。
だがようやくバックアップ機能が正常に戻りつつある。
その証拠に彼女はテレビっ子に戻っているのだ。
一度奇岩島基地に戻ったらマーヤちゃんのメンテナンスを進めてあげるか。
ただし殺人的足技のバランス調整は止めておこう、この後何があるかわからん。
俺達は南方の奇岩島基地に帰投した。
この基地に居を構えた事により、俺達の移動時間は半日から数時間に短縮化された。
デラヤ・ヴァイデスと地球の間の間の距離は半日かかる。
つまり往復だと一日丸々潰れてしまうのだ。
だがこの奇岩島基地だと日本までで二時間少し、アメリカでも三時間半で到着可能だ。
この航行能力の高さだけでも地球人は科学力的にダバール星人に圧倒的に劣っていると言える。
それではなぜガッダイン5はあれだけの高性能のマシンだったのか?
その謎の答えはガッダイン5大百科にきちんと書かれていた。
――それは、あのマシンを作った北原博士がダバール星人だったからだ!
第二次大戦中に三島軍曹が南方戦線で助けた人物、それこそが後の北原博士こと、ハリール王子だった。
ハリール王子は異母兄弟のデスカンダルに誅殺されそうになったところを地球に逃れてきたのだ。
このデスカンダルの部下だったのが当時秘密警察署長だったブキミーダである。
ハリール王子は子供を戦地で失った地球人の北原一郎少佐の息子として育てられた。
彼は力が無かったが頭脳明晰で人柄も良く、すぐに地球人として受け入れられた。
なお、彼は青肌を自分で精製した薬を飲む事で地球人と同じ肌の色にしていたので、少し色白の少年にしか見えなかった。
ハリールは北原光一郎と名乗り、優秀な成績で大学を卒業した。
その際にライバルであり親友だったのが代々木健作――後の代々木博士である。
光一郎は代々木博士と外宇宙に出る為の大型宇宙船・マグネコンドルを作る計画を実行しようとした。
そのマグネコンドルを守る為の巨大ロボット、それがガッダイン5だったのだ。
マグネコンドルとガッダイン5。
これらは地球とダバール星の科学力の結晶だと言えよう。




