第十二話 巨大獣アゴゴル 三島長官の選択 6
「機動要塞ドグローン発進!」
「了解デス、機動要塞ドグローン発進しまス」
マーヤちゃん、まだ完全に治ったわけでは無いみたいだが、少しは調子が戻って来たみたいだ。
しかしマーヤちゃんがまた今後アイツに操られる可能性が0だとは言えない、それならば近いうちに首のリセット装置と胸部の中の自爆装置を取り外しておかないといけないな。
そして肝心のマーヤちゃん、さっきからずっとミザーリンの事を見ている。
俺が彼女のご主人様という認識は出来ているようだが、ミザーリンのマスター権限も混ざっているようでややこしい事になっている。
――まさか、この後濃厚な百合展開!?――
オイオイオイ、それはあり得ないだろう。
そうなってしまうと俺が百合の間に挟まる男扱いだよっ。
そんなアホな展開になったら原作の流れメチャクチャとしか言えない。
……なんて馬鹿な事考えている場合じゃない。
とにかく三島の姿のアイツをどうにか追いかけない事には。
機動要塞ドグローンの移動力ははっきり言ってそんなに早くはない。
まあそれでも地球の航空機以上の移動力ではあるのだが。
ほら、もう奇岩島があんなに遠くに見える。
奇岩島は、どうやら第二大戦時には米軍と日本軍の激戦地に近かったにもかかわらず、戦場にならなかった秘境の島だ。
まあその理由は、乱気流に囲まれた上、海は荒れ狂う波が激しく、また……島自体が高い場所にあるので揚陸不可能。
それ故に米軍側、日本軍側の両方からここに基地を作るのは不可能という結論が出たので戦場にならなかったのだ。
だがダバール星人の科学力やガッダイン5は垂直飛行、すなわち滑走路の必要ないVTOL飛行が可能なのでこの島に着陸する事が出来るのだ。
この島が激戦地になるのは確か……第三十八話――崩れ行く奇岩島――だ。
第十二話で奇岩島から脱出した三島防衛長官は、かつて従軍した軍艦でこの奇岩島近くの海に来た事がある。
それ故に正しい位置を把握する事が出来たのだ。
だが今の三島長官の姿のアイツは最初からこの場所を知っている。
もしアイツを逃がしてしまえば、この奇岩島基地の正しい場所が地球防衛軍にバレてしまう。
今の時代、上陸できなかったとしても、地球防衛軍ならミサイルを使った島への攻撃も可能だ。
それにアイツは地球人もダバール星人も関係なく殲滅しようとするだろう。
下手すれば乱気流の中に飛行機ごと兵士に突入しろとすら言いかねない。
――ダメだダメだ! アイツを逃がしてしまったら多くの人達が苦しむ事になる。
ここは何が何でも今のアイツをグローン円盤ごと始末した方がまだ今後の地球やダバール星の為になる。
「逃げたグローン円盤はどこに向かっている?」
「はい、北北西の方向を目指し、飛行中です」
この流れ、原作と同じだ。
三島長官の乗ったグローン円盤を巨大獣アゴゴルが追いかけ、それを後方から機動要塞ドグローンが追いかける。
そしてついにアゴゴルはアイツの乗るグローン円盤を発見した。
「ギャゴオオオオン!」
巨大獣アゴゴルがヘアミサイルを飛ばす。
ヘアミサイルとは攻撃力は大した事無いが、乱発が可能な針状のミサイルだ。
よし、グローン円盤が射程圏内に入った。
これで三島長官の姿のアイツを番組前半のうちに退場させる事が出来れば、もっと早いうちに地球との和平交渉に入る事も可能だ!
そう思っていたのだが……。
「メタルダート!」
「ギャゴアオオオンッ!」
メタルダートがヘアミサイルを吹き飛ばした。
この武器、攻撃力は低いが射程の長さはリアルロボット並で、青木流の得意武器だと言える。
「ま、まさかっ! ガッダイン5!」
「そうだぜっ! てめえら! 三島長官をやらせるわけにはいかねえんだよ!」
あーあ、ついにガッダイン5が到着してしまった。




