第十二話 巨大獣アゴゴル 三島長官の選択 5
「マスター。ミザーリンサマ。トウロクカンリョウシマシタ」
「え!? ええっ。どうなってるの?」
「マスター、ご命令を……。御主人サマ? ワタシ一体ナニヲ??」
ダメだ、どうやらマーヤちゃんは新規情報と前のバックアップデータが混ざっている状態みたいだ。
これで完全にダメになる事は無いだろうが、リカバリーに支障をきたす場合もある。
まあ今は様子を見るしかないか。
それよりも今はアイツだ。
俺達が見ると、三島の姿のアイツが必死に逃げ出そうとしていた。
アイツ、捕まってもマーヤちゃんを使って外に逃げられるという確信があったから人質を交換するなどという本来のアイツなら絶対に言わない事を言ったのか。
また、幼稚園バスを爆殺する事で俺達に濡れ衣を着せて戦争を泥沼化させようとしていた事から考えても、アイツの目的は地球人もダバール星人も皆殺しにする復讐なのだろう。
アイツは間違いなく本編終了後のブキミーダだ。
だからアイツと俺はほぼ同じスタートラインからのやり直しになっていると言える。
だが俺が信頼0のブキミーダから今の状況の信頼を勝ち取ったのに対し、三島の姿のアイツは本来の信頼100からどんどん人望が無い状態がバレての信頼マイナス状態だ。
スパイドローンで確認したところガッダインチームですら今の三島防衛長官の姿のアイツには何か胡散臭いもの、信頼できないものを感じているらしい。
まあそれもそうだろう。
本物の三島防衛長官は今、ケン坊の中に入りこんでいる状態だ。
とにかくアイツを追いかけないと。
「ふぁ? ワタシこんなとこで何をしてたんですカ??」
「マーヤ、正気に戻ったのね。さあ、アイツを追いかけるわよ!」
「アイツって? ダレですカ?」
「ミシマよ、ミ・シ・マ! 急いでこっちに来てっ!」
「はい、ますたー」
まだ完全にリカバリーできたわけでは無いようだが、マーヤちゃんは大体のメモリーのリカバリーに成功したようだ。
ミザーリンがマスター登録されてしまったのがどう不具合が出るかはわからないが……。
「くそっ! まだ追って来やがる!」
「待てー三島!」
「マテー。ミシマー」
三島の姿のアイツはミザーリンやマーヤちゃんをまいて逃げ出すことに成功した。
残念だが今の奇岩島基地に来たばかりのミザーリンやマーヤちゃんよりは、本編でずっと基地に居たアイツの方がここの勝手は分かっている。
アイツはダストシュートを利用して逃げ出したようだ。
しかしここは南海の孤島、脱出するには空か海からしか逃げる事が出来ない。
つまり、いくら三島の姿のアイツが逃げても、最終的には格納庫に来るしかないわけだ。
ここには奇岩島基地防衛用に先発隊によって送り込まれていた巨大獣が用意されている。
ガッダイン5大百科の巨大獣図鑑によると……
――巨大獣アゴゴル――
全長48メートル、重量1100トン
空戦特化型の巨大獣でヒットアンドアウェイ攻撃を得意とする。
奇岩島基地から脱出した三島防衛長官を追いかけている途中でガッダイン5と対峙する。
空中戦でガッダイン5に鋭いクローやスパイクアローで攻撃を仕掛け、ガッダイン5に攻撃をし、空中戦に不慣れなガッダインチームを翻弄するが、三島防衛長官の放ったグローン円盤からのビームで翼にダメージを受けて海に墜落。
海の中でガッダイン5に超電磁ワイヤーで投げ飛ばされ、ビッグミサイルでダメージを受けた後、水中での超電磁ウェーブからの超電磁スマッシュで爆発。
空中戦特化なら三島の姿のアイツを追いかける事も出来る。
もしそれでアイツを殺してしまっても今の防衛軍なら交渉が可能かもしれない。
あっ、アイツがグローン円盤に乗り込んで基地の外に飛び出してしまった!
仕方ない、機動要塞ドグローンをすぐに出撃させよう。




