第十一話 巨大獣バグゲグ 人質の命はあと一分! 8
ガッダインチームはダインマシンで巨大獣バグゲグの前に構えている。
「子供達を返せ! この誘拐犯めっ!」
「返せと言われて素直に返す馬鹿がどこにいる?」
何といわれても返せないものは返せないのだ。
ここで俺が子供を確保しておけばこの子供達が三島防衛長官の姿のアイツに何かされる事は無いだろう。
だが、アイツは俺の想定外の行動に出てきた。
「ワシは防衛長官の三島だ。侵略者共に話がある」
何だ何だ? アイツがオレ達に話だと??
「話とは何だ?」
「今すぐに子供を解放してもらいたい。その代わりワシが人質となろう」
「何だとっ!?」
想定外すぎる。
まさか――原作通りに三島長官が幼稚園バスと人質の交換に応じようとは!
だがアイツの事だ、素直に原作通りに動くわけが無い。
「貴様……本気か?」
「勿論だ、この男三島、丸腰でそちらに向かおうではないか!」
そう言ってアイツは本当に武器を持たずに巨大獣バグゲグの前に現れた。
「ガッダインチーム、ワシが人質と交換したらバスを調べて欲しい」
バスを調べるも何も、お前と違うんだからこっちは何も裏工作してないっての……。
「わかった。やい! ダバール星人、長官がこう言ってるんだ、人質を離せ!」
「……わかった、人質を交換しよう」
俺は原作通りにバグゲグの口の中からバスを出し、三島の姿のアイツと幼稚園バスを交換した。
仕方が無い、ここは原作通りに三島の姿のアイツを人質にするか。
どうせ牢に入れておけばこれ以上の悪事は出来ないだろう。
だがどうも嫌な予感がする。――まさかっ!?
俺は小型通信機でミザーリンに連絡を取った。
「ミザーリン、ガッダインチームにすぐにバスの子供を引き取るように言ってくれ!」
「わかったわ、ブキミーダ様」
ミザーリンは引率の教師のフリをしてガッダインチームに子供達をすぐに助けて欲しい、バスに爆弾が積まれていると伝えた。
「何だって! バスに爆弾!?」
ダインクルーザーが着陸し、荷物収容コンテナに子供達を全員載せた一分後、バスは大爆発を起こした!
そして子供達を安全な場所に避難させ、ダインクルーザーは戻ってきた。
「ダバール星人め、汚い手を使いやがって! 絶対に許さねえ!! 行くぞ」
「「「「「レッツッ! ガッダイィーン!」」」」」
ガッダイン5が完成し、巨大獣バグゲグと対峙する。
ガッダインチームは俺が卑怯な手段を使ったと思い、俺に対して怒りを極限まで燃やしている。
くそぅ。三島の姿のアイツの目的はこれだったのか!
しかしもう既に三島の姿のアイツは兵士達によって南方の奇岩島に移送中だ。
こうなっては仕方が無い、もう成り行きに任せるだけだ。
「コイツら許さねえっ! 徹底的にやってやる! 行くぞっ超電磁プロペェラァー!」
金属製の巨大竹トンボが舞い踊り、巨大獣バグゲグの全身をズタズタに切り裂いた。
「ビッグミサイルだぁぁーっ!」
原作以上のオーバーキルじゃない!? コレ。
車輪のパーツごと巨大獣バグゲグの全身の装甲が吹っ飛んだ。
「さらに行くぜ! マグネティックランサー!」
そして原作通りにSランサーとNランサーを合わせたマグネティックランサーでバグゲグの腕と足が切り飛ばされた。
「超電磁ワイヤー!」
アンカー付きの巨大鎖で思いっきりぶん回された巨大獣バグゲグが空中に放り投げられ……。
「超電磁ウェーブゥウ!!」
もう決まったな、超電磁ウェーブのホールドが入った。
そしてガッダイン5の両腕が鋭い刃物に代わり、高速スピンを始めた。
「超! 電磁……スマァアアッシュ!」
「バァグゲグゥウウウ!」
ドゴァアアアアアアン!
空中で巨大獣バグゲグは大爆発を起こした。
――さて、原作通りの展開になってしまったが、この後人質になったあの三島の姿のアイツは一体何を考えているんだ?




