第十一話 巨大獣バグゲグ 人質の命はあと一分! 7
奇岩島に降り立った俺達は建設途中の奇岩島基地の中に入った。
「ほお、これが奇岩島基地か、思ったより広いんだな」
この奇岩島基地、ガッダイン5大百科にアートワークが出てきたが、背景美術がかなり大変そうな島だった。
だがこれは実はリサイクル品だったので別作品の没背景の使い回しなのだ。
日本サンシャインの黎明期の作品で大昔家族タムタムというものがあった。
安川デザインのキャラが織りなすほのぼの原始時代物語だ。
そのタムタムで使われるはずだった――きみょう岩の洞窟――これがガッダイン5の奇岩島に使い回されたわけだ。
外見はタムタムで使われるはずだった怪物の頭のように見える岩、中身は最新鋭の機械で武装した秘密基地、それが奇岩島基地だった。
そして奇岩島基地に到着した俺は、さっそくテレビ設置作業を急かされる事になった。
まあこの基地のアンテナを使えばVHFもUHFもどちらのアンテナも設置可能だ。
俺が設定した事でこの奇岩島基地にはあちこちにテレビ設置が出来た。
やっぱりこの連中にテレビを教えたのは失敗だったのかもしれない。
そこでレッツビギンヤングを見ているマーヤちゃん、そろそろお仕事ですよ。
「ご主人様、わたしアイドルになる!」
「は??」
このポンコツメイドロイド、今度は何を言い出したんだ??
「応募はがきを出せばいいのよね、住所は奇岩島基地……と」
頼むから止めてくれ、基地の住所ではがきを出すって、鬼面ライダーX3の甲殻元帥から鬼面マンへの年賀状じゃないんだから……。
あれご丁寧に基地の住所を書いていたので鬼面ライダーX3と鬼面マンに基地を壊滅されていたわけだし……。
「ご主人様ー。今度足を作ってくれませんか?」
「ああ。考えておこう」
まあフロートユニットではない足を作るのは今度やってみるか。
それよりも早く出撃して幼稚園バスの確保をしなくては。
「準備が出来たら出発するぞ」
「わかりました。足、今度頼みますね」
「わかったわかった」
俺達は機動要塞ドグローンで出撃し、都内の渋谷近辺に向かった。
このあたりは高級住宅地だ。
政府要人の子供達の乗るバスが通るのはこの辺りだ。
――私立かぐや姫幼稚園――
富裕層の女子が通う小中高一貫のお嬢様学校だ。
その幼稚舎のバスが今回の俺の狙いだ。
「巨大獣バグゲグ! 出撃せよ」
「ギャギョゲォーーン!」
巨大獣バグゲグは機動要塞ドグローンの骸骨の下顎部分から出撃し、渋谷近辺に着地した。
今回、破壊活動はあまりメインではないのでそのまま青山方面に向かう。
まあ歩く途中で踏みつぶされる家は仕方が無いとあきらめよう。
できるだけ急いで作戦を実行しよう。
三島の姿のアイツがそろそろ出てきて何かやらかしかねない。
巨大獣バグゲグがバスを発見したようだ。
「さあ、みんな。お歌を歌いましょうか」
「「「はーい。ちょうちょー」」」
どうやらバスの中にはミザーリンが先に潜入して子供達の引率の教師役をやっているようだ。
まあ今の彼女なら子供を怯えさせないように誘導してくれるだろう。
そしてバスを巨大獣バグゲグが捕まえた。
「「「キャー! たすけてー」」」
子供達が泣き叫ぶ。
ミザーリンは先生役としてそんな子供達をなだめていた。
「みんな、怖くない、怖くないからね。先生が一緒にいるから」
「うわーん、こわいよー」
「えーん、えーん」
「おうちかえりたーいー」
まあ案の定子供達が大声でギャン泣きしている。
巨大獣バグゲグは捕らえたバスを口の中に入れた。
梯子状の舌を登らせ、体内のクッション状の内部に子供達を捕らえた後、少しした頃にガッダインチームが到着した。
「ダバール星人、子供達を返せ!」
「弱い子供をさらうとは、オイ絶対に許せんばいっ!」
「覚悟してください!」
さあ、この後の展開がどうなるのだろうか。




