第十話 巨大獣ゴミンゴ ケン坊の命を救え! 7
フグドンはロボットアニメで有名になった日本サンシャインの最初期の作品。
ゼロダイバーとフグドン、それにロボガキエートン、これらのアニメを作っていたのが日本サンシャインの前身ともいえる創幻社だ。
その後王者エメラインを作っていた創幻社で、親会社の極東新社から独立したスタッフ達が立ち上げたのが日本サンシャインだ。
――超電磁メカ・ガッダイン5――はその日本サンシャインが宝映動画の下請けとして作っていた作品だと言える。
まあその話は置いておいて、そろそろ出番ですよマーヤちゃん。
巨大獣の出撃ハッチを開いてください。
「巨大獣ゴミンゴよ! 出撃だ!」
「ガギャアアアン‼」
巨大獣ゴミンゴは北原未来要塞ベース近くの海岸に到着した。
本来ならこの時間、本編ではケン坊の葬式からの葬列が帰ってきている時間だ。
だがケン坊が生き残ったので、今は誰もいない。
普段なら男達は漁に行き、女は缶詰工場で働いている。
この地域はバブル時代に県の一大計画が立ち上がり、大規模なレジャー施設がつくられるが、今はまだそんな時代では無いので、静かな漁村があるくらいだ。
その漁村から少し離れた海上に巨大獣ゴミンゴが現れた。
さて、北原未来要塞ベースはどうなっているのだろうか?
俺はスパイドローンで様子を伺った。
「巨大獣出現! ガッダインチームはすぐに出撃せよ!」
「「「「「了解!」」」」」
バンクシーンで動く椅子に座ったガッダインチームが移動し、各マシンのコクピットに収納された。
ダインビークルで出撃した竹千代だったが、その前に人が立ちはだかった。
「わっ! わっ!!」
急ブレーキをかけた竹千代の目の前に立っていたのはケン坊だった。
「頼む、ワシ……ワイも連れて行ってくれ! 竹千代と一緒に戦いたいんだ!」
「そんな……みんなに聞かないと」
「今はそんな場合じゃないだろう、もう乗せちまえ。外にいるよりは安全だ」
「ケン坊くんっ。もう無茶しちゃダメよっ」
「フッ。足手まといになるなよっ!」
これまた原作とは違った展開だ。
ケン坊の姿の彼は、竹千代と一緒にダインビークルに乗り込んだ。
「ケン坊くん、そっちの見張りをお願い!」
「わかった!」
ダインマシンは一名の部外者を載せたまま合体した。
「「「「「レッツッ! ガッダィーン!」」」」」
ガッダイン5が完成し、巨大獣ゴミンゴと向かい合った。
ゴミンゴはトゲミサイルでガッダイン5を攻撃!
だが、あまり効果は無かったようだ。
「ヘン、その程度の攻撃、へでもないぜ! 次はこっちのお返しだ! ドリルキィーック!」
「龍也くんっ! ドリルキックは、ケン坊くんがいるのよっ!」
「えっ!?」
だがもうドリルキックの体勢に入ってしまったガッダイン5は下手にその動きを止める事は出来なかった。
しかしケン坊の姿の彼は怯える事も声を出す事も無く、操縦席に座ったままだった。
「この程度……赤トンボの特攻訓練に比べればなんて事は無いっ!」
流石は本物の三島長官というべきか……敵ながらあっぱれだ。
「竹千代くん、次は右から来る! どうやら腕を高速回転させて攻撃してくるようだ!」
「えっ! ウワァアアッ!」
ガッダイン5は高速回転するゴミンゴの腕の攻撃を受け、操縦系統に不具合が出てしまった。
「くそっ! くそっ! 動かねえ!」
「龍也っ、こっちもだ! どうやら前の戦闘のまま、まともにメンテ出来なかったのでガタが来たみたいだな」
「くっそー……!」
「一体どうすれば……」
このピンチを切り抜けたのは、ケン坊の姿の彼だった。
「ガッダインチーム! どうやらダインビークルからなら全体への指揮伝達が可能みたいだ、竹千代くんに操縦させてみてくれないか!」
「えっ!? ケン坊……くん?」
「わかったでごわす、竹千代どん、頼むでごわす」
「えっ!? ぼく??」
竹千代が狼狽えている。
「何をまごついておるかっ! お前も男だろう、覚悟を決めろ!」
「よ、よおぉーし! やってやる。超電磁スマァッアシュ!」
ガッダイン5が高速回転するゴミンゴに超電磁スマッシュで体当たりをしてきた。
どうやら竹千代は超電磁ウェーブのホールドを忘れてしまったようだ。
だが、海上でのこの空中回転対決、軍配が上がったのは……ガッダイン5だった。
竹千代の決めた超電磁スマッシュは……巨大獣ゴミンゴを木っ端みじんに砕いた!




