第十話 巨大獣ゴミンゴ ケン坊の命を救え! 6
謁見の間に到着した俺達をシャールケン提督は笑顔で出迎えた。
「お前達、ご苦労だった。まあ作戦は失敗だったが、得た情報は大きい」
「「「はっ、シャールケン様」」」
おかしい、普段なら――この愚か者達が! と怒られてもおかしくない失態だ。
特にバルガル将軍が子供相手に勝負をして互角だったとか知られたら烈火の如く怒ってもおかしくはない。
だがシャールケンは俺達全員を怒るどころか労うくらいだ。
「ミザーリンの報告によれば、敵の司令官……ミシマという男、相当の無能だそうだな。敵ながら哀れとしか言えぬ」
――いや、それの中身アンタのとこの参謀長なんですけど……。
「バルガルよ、そちは確かに作戦遂行に失敗した。だがこれはその場で見れば確かに大敗と言えるかもしれぬ、――だが……敵の情報を手に入れるための陽動としては十分成功だったと言えるのだ、ミザーリンに感謝するのだな!」
なるほど。シャールケン提督が怒っていないのは、バルガル将軍が北原未来要塞ベースに侵攻している間にミザーリンが諜報官として防衛軍本部に潜入し、三島防衛長官やその周りのデータを手に入れていたからか。
「戦いとは大局を見ねばならぬ。その場で勝利だと思っても、全体を見ればそれが偽りの勝利である事もある。反対に言えば敗北に意味があれば余は責任は問わぬ。そのような事に我がダバール星の危機を回避する意味は無いからだ。それよりもダバールの民があの人工太陽に焼かれぬ為にも一日も早い地球侵略を完遂する必要がある! 皆の者よ、心してかかるように!」
「はっ! シャールケン様」
シャールケンの人気の高い理由はここにもある。
見た目イケメンは当然の事だが、今の時代でも動画配信サイトのネット再放送とかの書き込みで理想の上司だとか、中身までイケメンとコメントされる程だ。
「ブキミーダよ。そちの製造技術無くして悲願を達成することは出来ぬ、一層の努力を惜しまぬようにせよ!」
「はっ、承知致しました」
さて、それではまた巨大獣制作に向かいますか。
会議は問題無く終了し、俺とマーヤちゃんはいつものロボット格納庫に到着。
ミザーリンは再び地球に降りたらしいが、ロボット整備班今回はようやくきちんと作業モード。
ここまで来るのが長かった……。
さて、ガッダイン5巨大獣図鑑から……。
――巨大獣ゴミンゴ――
全長55メートル、重量1400トン
腕についた巨大な刃物で敵を切り刻む巨大獣。
飛び道具はほとんど持たず、高速で動き、相手に斬りかかる。
申し訳程度のトゲミサイルでガッダイン5を攻撃するが切り払われてしまう。
その後、超電磁スマッシュを縦回転の刃物の腕ではじき返そうとするが適うわけも無く爆発。
このゴミンゴ、ネットで検索して出てくるサジェストが作画崩壊だ。
この回、物語の意味ではシナリオは神回と言われているが、作画の方は神どころか悪魔回だったと言える。
それほどまでに海外発注のコスモプロとブルーボックスの作画が酷く、ヒョロヒョロのガッダイン5も問題だったが、ゴミンゴの腕の回転のあり得なさがセルパカパカで回転するたびに色が変わるワケのわからなさだった。
さて、そこまで再現する必要は無いが、巨大獣ゴミンゴといえば回転する腕だ。
このパーツ部分を少し強化すればガッダイン5の超電磁スマッシュに耐えられるかもしれない。
――そう思っていた時が俺にもありました……。――
まあなんだかんだ言って巨大獣ゴミンゴが完成し、今回は俺とマーヤちゃんが地上に向かう事になった。
そして機動要塞ドグローンに巨大獣ゴミンゴを載せた俺達は、地上目指して降下した。
さて、どう戦い抜くかな。
マーヤちゃんは指令室に設置したテレビで再放送のフグドンを見ている。
彼女のワガママに合わせて俺はこの機動要塞ドグローンの中にもテレビをつける羽目になってしまったのだ、トホホ……。




