第九話 巨大獣ザザンザー 北原未来要塞ベース危機一髪! 7
北原未来要塞ベースの上空でガッダイン5が合体した。
「行くぜ! ダバール星人!」
「ギャギャザギャアアアァ!」
巨大獣ザザンザーが吠えた。
そしてザザンザーは伸びるパンチをガッダイン5に叩きつけたが、ガッダイン5はビクともしなかった。
「へっ! 何だよそのヘナチョコパンチはっ」
「龍也さん、油断してはダメです!」
「こんなヤツ油断もヘもねえよ!」
龍也がガッダイン5の右腕でザザンザーを殴った。
中身ががらんどうに近いザザンザーは軽い音を立てて吹っ飛んだ。
「コイツ、マジで弱いぞ。一体何の為に出てきたんだよ」
「コイツは……龍也さん! コイツの目的が分かりました! コイツはやられるためのロボットです!」
「やられるためのロボット!? 竹千代、どういう意味だよ?」
どうやら竹千代はこの巨大獣ザザンザーの目的を前の巨大獣と勘違いしているようだ。
「龍也さん、アイツは全身に火薬や可燃物を大量に詰め込んでいるのでしょう。前回出た巨大獣が大量の引火性ガスを詰め込んだ奴でした、アイツはこの巨大獣を出す為の試作機だったのでしょう!」
「くそっ。それじゃあコイツ相手に攻撃したら……」
「おれ達全員がオダブツってわけだな……」
竹千代の間違った認識は、ガッダインチーム全員の共通認識になってしまったらしい。
ガッダイン5は攻撃できずにザザンザーの前に立っているだけだ。
ザザンザーは非力ながらも何度も何度もガッダイン5の腹部にパンチを打ち込んでいる。
そのパンチは腕の伸縮性を利用して伸び縮みする動きに合わせたパンチだ。
流石のガッダイン5もパンチを何発も受け続け、胴体にヒビが入ってきた。
「ぐおおおっ! このままでは胴体が持たんですたい!」
「竹千代、どうにか出来ないのかよ!」
「そんな、どうすれば良いんだ……? ぼくは、ぼくは……」
普段冷静なはずの竹千代が混乱している。
どうもあのケン坊の容態が気になって集中して戦えないようだ。
「竹千代くんっ! 落ち着いてっ。まだ負けたわけじゃないわっ!」
千草が竹千代を励ました。
彼女が人気の高かった理由はこういうところにある。
ただ可愛いだけではなく、芯が強く時には厳しい。
だからとても魅力的な女性だったのだろう。
「千草さん、そうでした。ぼくが冷静にならないと……わかりました!」
竹千代は落ち着いて敵の分析を始めた。
先程の攻撃の音の軽さ、北原未来要塞ベースに大量に現れたダバール星人の兵士達。
それから彼が導き出した答えは……!
「――龍也さん! ぼくが間違っていました。アイツは爆発させるための巨大獣ではありません! アレは、基地強襲用の揚陸型巨大獣です!」
「ようりくがた? 何だソレ??」
「フッ、揚陸型とは地上戦の為に敵地に攻め込む際の兵士を大量に乗せる船の事だ、つまりあの巨大獣は北原未来要塞ベースに大量の兵士を送り込むための輸送機ってわけだ」
流石は東南アジアの戦場を経験した流というべきか。
彼の言う通り、巨大獣は北原未来要塞ベースに大量の兵士を送り込む為のものだった。
「だからあんなに弱くて中身スカスカだったのか。って事はさっさと決着をつけないと基地が危ないって事じゃねえかよ!」
「こちら代々木じゃ。基地内に大量のダバール星人が潜入しておる。急げ、時間が無いぞい!」
「おっちゃん! わかった! すぐに決着をつけてやる」
「龍也さん、超電磁スマッシュは止めておきましょう。もし基地が敵に占拠されたらエネルギーの回復が出来なくなります!」
「くっ。わかった。おっちゃん! ビッグミサイルをこっちにお願いできるかよっ?」
「わかった、すぐに用意する。ビッグミサイル、装填!」
北原未来要塞ベースのダインマシン発進口からビッグミサイルが撃ち出された。
「よーし、巨大獣め、覚悟しやがれっ!」
ガッダイン5は巨大獣ザザンザーの腕を掴み、高速でぶん回して海に向かって投げ捨てた。
そして背中にビッグミサイルを装填し、腕と足の壊れた巨大獣ザザンザー目掛け、ビッグミサイルを放った。
「喰らえっ! ――ビッグ……ミサイルだぁああっ!」
「ザァザンザァアアアアーッ!」
ドガァァァアアンッ!
ビッグミサイルを受けた巨大獣ザザンザーは木っ端みじんに砕け散った。




