第九話 巨大獣ザザンザー 北原未来要塞ベース危機一髪! 4
これは原作に無い展開だ。
本来は北原未来要塞ベースに現れたダバール星人による襲撃の巻き添えで重体になり死亡するのがケン坊の未来だった。
だが彼は俺のスパイドローンに興味を持ち、川の深みから流されてしまい、助けられたものの意識不明の重体になってしまった。
まあ残酷な言い方になってしまうが、死ぬのが原作より少し早くなってしまったといったところだろう。
「ケン坊くーん! ぼくのせいで、彼が……」
「竹千代くんっ。貴方が悪いんじゃないわっ。貴方、別にケン坊くんを突き落としたりしたわけじゃないでしょうっ」
「――だけど、だけどぼくが泳げたら……ケン坊くんを助けられたのに……」
「坊主が悪いわけじゃない。ウチのせがれが水の怖さをなめた結果だ」
ケン坊の父親が駆けつけたが、彼は既に集中治療室に担ぎ込まれた後だった。
「お父さん、今はとにかく本人が頑張るしかありませんぞい。我々が出来る事は手を打ちましたぞい。だが、このような事になって、大変申し訳ない……」
「代々木博士、別にアンタ達が悪いわけじゃない。そこの坊主も何も悪い事はしてないんだろう、だったら悪いのはウチのバカ息子だ。バカヤロウ……。バカヤロウ……。オマエ、とうちゃんの船に一緒に乗るんじゃなかったのか……?」
このセリフ、本来なら次の話でケン坊の亡骸に泣きついた彼の父親が言ったものだ。
どうやらそれが前倒しになっているらしい。
まあ非情な事で悪いが、俺達は今から北原未来要塞ベースを攻撃する事になる。
その為の巨大獣は今から用意する形だ。
「ブキミーダ、ブキミーダはおるか! すぐに謁見の間に来るように」
シャールケン提督からの呼び出しだ。
テレビの話で無ければ地球侵略会議の事だろう。
俺は――100万円クイズアタック――を見ているマーヤちゃんをその場に置いて、謁見の間に向かった。
「来たか、ブキミーダよ。これより侵略作戦会議を始める!」
この侵略作戦会議も九回目だ、もう既に定例行事みたいな扱いになっているな。
「前回ミザーリンのおかげで地球人共の基地のバリア装置を破壊出来た。そこで我々は一気に兵士を使い地球人の基地を占領する! バルガル将軍、機動要塞ドグローンで基地を攻め落とせ!」
「はっ! シャールケン様。承知致しました」
「ブキミーダ、そちは基地殲滅用の巨大獣を用意せよ。揚陸用に適した物を作るのだ!」
「はっ、承知致しました」
俺は揚陸戦特化の巨大獣を作る事になった。
さて、部屋に戻ってマーヤちゃんにも手伝ってもらう事にしよう。
俺が部屋に戻るとマーヤちゃんはテレビを見ている途中で寝てしまっていたらしい。
まったくこのダメイドロイドは……。
「ていっ」
「いたーい! 何をするんですか、ご主人様ー!」
「おそよう」
「お、おはようございます、ご主人様」
マーヤちゃんは寝ていた事がバレたのに顔を赤くしてあたふたしていた。
とりあえずオシオキは置いておいて、早く巨大獣制作をやらないと。
――そしていつものロボット格納庫。
今回ロボット整備班も揚陸戦の準備の為にてんてこ舞い。
仕方ないのでいつもの二人で巨大獣制作。
さてここでガッダイン5大百科の巨大獣図鑑……。
――巨大獣ザザンザー――
全長60メートル、重量1100トン
北原未来要塞ベースに侵攻する為に用意された巨大獣。
大量の兵士が乗り込めるよう腹部はほぼ空洞状になっている。
飛行可能な巨大獣で、その全身の大半がスカスカになっていて実際の腕や足等はほぼトンネル状に作られている。
腕に当てはまる部分、足に当てはまる部分、そして頭に当てはまる部分の大抵が伸縮するようになっており、この腕や足、頭の舌の部分から兵士が敵基地に乗り込めるようになっている。
北原未来要塞ベースにドグローンから発進して着地後、兵士を大量にその全身から送り込んだ。
なおザザンザー自体はほとんど武器といった武器を持たず、パンチ力も非力。
ガッダイン5相手にほとんど相手になる事も無く、ビッグミサイルで吹き飛び、爆発。
超電磁スマッシュを使わず倒した初めての敵になった。
うん、弱い。




