第九話 巨大獣ザザンザー 北原未来要塞ベース危機一髪! 3
誤字報告ありがとうございます。
渋滞してどうするのよ、重体だよ。
「ケンくん、これって本当に釣れるの?」
「おう、ワイのいうとおりにやってみろって。それとワイのことはケンくんじゃなくてケンぼうでええって」
ケン坊とは北原未来要塞ベース近くの漁村に住んでいる小学生で、竹千代の友達になった少年の名前だ。
ケン坊の父親が網元で料理長のおタケさんに魚を仕入れに来る際に一緒に付いてきて年齢の同じくらいの竹千代と友達になったのである。
まあ普通のロボアニメだと基地の中に入って来られる特別扱いの子供枠というべき存在なのだろうが、彼も所詮浜野アニメのゲストキャラ=登場してすぐ死亡、が確定している。
彼は九話で登場し、十話で息を引き取る事になる。
この子は何の為に出てきたんだ? と当時は思ったが、竹千代の心の成長の為には必要だったキャラだと言えるのだろう。
「ケン……坊くん。釣れたよ、ザリガニ、釣れたよ!」
「お、やるじゃん、たけちよ、けっこうスジいいぜ」
「わっ!」
バシャーン!
竹千代が川に落ちてしまった。
それをケン坊はすぐに川に飛び込み、竹千代が流されないようにすぐに助け出した。
「だいじょうぶか? たけちよ!」
「うん、ありがとう。ケン坊くん」
ケン坊はニッコリと笑った。
「ワイ、おまえみたいにアタマよくないからな。だけどうでっぷしならダレにもまけんぜ!」
「そんな、ぼくなんて勉強しかできないから。ガッダイン5の皆の足を引っ張らないようにするだけで精一杯だよ」
「そんなことないって、たけちよががんばってるから、みんなたたかえてるんだろ」
頭のキレる竹千代と、体力なら誰にも負けないケン坊。
二人は正反対だが自然に仲良くなっていた。
さて、スパイドローンで様子を見ていた俺だが、この後の話の展開は知っている。
ガッダイン5大百科に載っていた第九話は……。
先日ミザーリンの破壊活動により超電磁バリア発生装置を破壊された北原未来要塞ベース。
ここにダバール星人の猛攻撃が始まった。
超電磁バリアの無い基地は、機動要塞ドグローンの侵入を許してしまい、ダバール星人に攻め込まれてしまう。
その際に基地に遊びに来ていたケン坊は攻撃に巻き込まれ、重体になってしまった。
その後駆けつけた防衛隊の三島長官達により反撃開始、三島長官は自ら前線に出てダバール星人と戦う。
三島長官以下、防衛隊の活躍によりダバール星人の侵入者は撃退されたが、バルガル将軍が用意した巨大獣ザザンザーが出現、北原未来要塞ベースを破壊する為に攻撃を開始する。
瀕死のケン坊が気になる竹千代は普段以上に焦ってしまい、戦闘指示を間違える。
狼狽えてしまった竹千代だったが、龍也、流、千草、玄太郎に励まされた彼は立ち直り、巨大獣ザザンザーの弱点を発見。龍也がその弱点を攻撃し、弱体化したところで超電磁スマッシュを叩き込み巨大獣ザザンザーを破壊した。
戦いを終わらせて駆けつけた竹千代だったが、ケン坊の命は風前の灯火だった。
彼に輸血できる同じ血液型は竹千代だけだったので、竹千代は――ぼくの血を使って欲しい!――と医療班に直談判をする。
……とまあここまでが九話の話である。
「お、なんだアレ?」
「ケン坊くん? 危ないよ!」
しまった! スパイドローンがケン坊に見つかった!
俺はスパイドローンを川の方に逃がしたが、それが大きなミスにつながった。
「まてっ! ヘンな虫!」
ケン坊が原作に無い動きをしてしまった。
そして、川の深みにはまったケン坊はそのまま川から海の方に押し流されてしまった。
「だれか、たすけてくれー!」
「ケン坊くーん!!」
竹千代は必死で走り、大人に助けを求めた。
地元の漁師が駆けつけ、ケン坊を助けたが、彼は既に意識不明の重体になっており、そのまま北原未来要塞ベースの特別医療室に担ぎ込まれてしまった。




