番外編 宇宙漂流記ルミナス187 コング! コング! コング!5
「ニシ! 一体どうしたというんだ!?」
ニシはドルグレーザーの催眠術にかかっている。
オレはそれを利用し、コング基地内部で彼女をコントロールし、ハッチを強引に開けさせた。
「ま、待て! 待つんだ……まだそれは未調整、設定が完成していない」
「……」
ニシはコング基地のバリア装置を解除、そして地下ゲートからカタパルトを出現させた。
本来ならこのシーンは後半のバンクシーンになるように作っているため、エアロダイバーが発射するシーンはコングウォーカーからの発射シーンがデフォになるようになっていた。
だが、今オレのやっているのはコングウォーカーではなく、起動前のコング基地からのエアロダイバー発射だ。
コレが失敗すればコング基地はコングウォーカーに移行する事無く秘密結社ギルティの総攻撃で壊滅してしまう。
しかし、今はそんな事を言っている場合では無い。
早くしないと本編通りにコング基地内部に入り込んだギルティ工作員達によってマイティ長官とニシ、ヒガシが全員殺されてしまう!!
それを避ける為には本編に無いイレギュラーな動きが必要だ。
そのためにオレはわざわざ本編にあったニシの催眠術のキーワードを利用したわけだから。
そしてオレの狙い通り、ニシはコングウォーカー部分に当てはまるコング基地地下からカタパルトを出現させた。
そのカタパルトにはエアロダイバーが設置されている。
本来なら番組の後半から登場するこのエアロダイバー、実はまだ未完成品だ。
だから前半で発進する事が出来ず、コング基地が壊滅後に半壊したサポートロボのパーツを組み込む事でメインシステムにして操縦させる事に成功したわけだ。
だが今はメインシステムが空っぽで、外部操縦も出来る状態ではない。
しかしバックパックシステムとしては十分にグラングルの強化パーツとして使用可能ではある。
だから強引にでも一度射出してしまえばグラングルに外部的に合体させる事でハイパーグラングルにパワーアップさせる事が出来る。
実際コングウォーカーが起動する次の話になる前にハイパーグラングル初登場のシーンでは、エアロダイバーを強引にグラングルのパーツになる小型メカでパイプやコードを繋いで起動させるわけだから、それが少し早まると考えれば問題は無い。
それにルミナス号やMVによる支援がある事で、コングチームの孤立無援状態からの反撃よりはよほどマシな状況といえるだろう。
さあそろそろニシの催眠術が解ける頃だろう。
だがもうコングウォーカー部分のカタパルトからのエアロダイバー射出は秒読み段階だ。
「……えっ、アタシ、何でこんな所で?」
「ニシ、話は後だ。今は少しでも早く、そのエアロダイバーをローランド達の乗るグラングル目掛けてt射出してくれ」
「マイティ長官、その怪我はいったい……」
ニシは今の状況が受け入れられず、混乱しているようだ。
だが、エアロダイバーを射出するのが今の自身のやる事だというのは理解できているらしい。
「わかったわ、エアロダイバー発射、3・2・1……射出!!」
コング基地から射出されたエアロダイバーはグラングルのすぐ近くに飛来した。
「キャプテン、アレは何なんだ?」
「さあな、だが敵ではなさそうだ」
そこにマイティ長官から通信が入った。
「ローランド、それはグラングルの新兵器、エアロダイバーだ。グラングルの飛行能力を大幅にアップさせるバックパックユニット、それを装備する事でグラングルはハイパーグラングルにパワーアップする!」
「了解だ、エアロダイバー、確かに受け取った。行くぞ、グラングル……飛行モードだ」
グラングルは空中に飛び上がるため、ヒューマノイドモードから飛行モードに変形し、ギルティメカの群れを蹴散らした。
「フライング・オン! 合体、ハイパーグラングル!!」
ローランドが合図をし、グラングルの背部にエアロダイバーが装着された。




