番外編 宇宙漂流記ルミナス185 コング! コング! コング!3
ルミナス号に搭載されたマスドライバーカノンは言うならばゲームで言うマップ兵器だ。
マップ兵器、つまりは戦略シミュレーションゲームであまりの高威力高出力のために戦闘画面では無く、ユニット配置画面で一気に撃ち出す超高出力破壊兵器の事だ。
元々それ程戦力的に高いわけでは無かったルミナス号にバリグナーの世界のクラート博士が設置し、外し忘れた武器だとも言える。
だがこれのおかげでオレ達はコング基地を襲ったギルティメカの軍勢に戦いを挑む事が出来るわけだ。
「よし、ルミナス号の艦首を機動要塞レヴィアタンの方に向けて旋回」
オレはMAYAに頼み、ルミナス号を旋回させた。
流石にここまでくるとスターリングも自棄になったのかオレの言うように操舵してくれている。
MAYAはそれをサポートしてくれている形だ。
ギルティメカとグラングルの戦闘は続いている。
だが一旦の第一波が駆逐され、次は第二波がコング基地に向かって降下を開始していた。
機動要塞レヴィアタンの艦首が開き、中から雲霞の如く大量のギルティメカが投下され始めた。
よし、アレだけ纏まっているならマスドライバーカノンの餌食になる!
「いけっ、マスドライバーカノン、発射」
シュゴォォォオンンッ!!
凄まじい轟音を上げながらマスドライバーカノンは機動要塞レヴィアタンとギルティメカ群目掛けて一気に放たれた。
高エネルギーに高出力、さらに超高温で放たれたコンテナブロックは凶悪な砲弾と化し、ギルティメカを次々と吹き飛ばして破壊していった。
流石は高出力のマスドライバー、使い方を変えるとこれ程の破壊兵器になるとは。
「ドルグレーザー様、大変です。思わぬ伏兵のせいでギルティメカ群が壊滅です」
「な、何だと!? コングチームは釘付けにしていたのではなかったのかっ」
「そ、それが……見たことも無い宇宙船がコング基地に出現し……」
「そうか、先程のレヴィアタンへの攻撃を仕掛けてきた連中だな。何者かは知らんが、我等秘密結社ギルティに逆らうとは、許せん!」
どうやら通信チャンネルから聞こえてきたのは秘密結社ギルティの幹部であるドルグレーザーの声だったようだ。
確かコイツはギルティ総統を裏切り、クーデターを起こして特殊チームコングと戦うギルティ原人の末裔だったはず。
そうか、中盤の大攻勢をかけてきたのは秘密結社ギルティの中でも独立軍団化していたドルグレーザーとギルティ原人の末裔達だったのか。
「いいか、何が何でもコング基地を破壊しろっ。いくらグラングルが最強だと言っても基地を奪われて補給が出来なくなれば勝ち目はないっ」
これはマジでどうにかコング基地を死守しないと。
グラングルは大量のギルティメカに四方八方を囲まれていてコング基地に帰投できる状態じゃない。
ここはオレ達がどうにか手助けする以外にここを切り抜ける方法はなさそうだな。
オレは特殊チームコングの使っている通信チャンネルに設定を合わせ、通信を試みた。
「こちらルミナス号、こちらルミナス号、コングチーム、応答願います」
「こちら特殊チームコング、司令官のマイティだ。一体この非常時にどういった要件か、手短に頼みたい」
「オレ達ルミナス号は敵ではない。だからこれからコング基地に襲来するギルティメカを迎撃する為に基地の入り口を開けて欲しい」
これは賭けだった。
向こうにすれば味方のフリをした秘密結社ギルティの手先がコング基地に入り込む為に取ってきた作戦と取られてもおかしくない。
だがその懸念を吹き飛ばしてくれたのはキャプテンローランドだった。
「マイティ長官、そいつ等は敵じゃない。俺が保証する」
「ローランド君、本当だな。うーむ、君が言うなら信じてみよう。さあ、ドビー、ハッチを開けてくれ」
マイティ長官の命令を聞いた召使いロボのドビーは彼の命令でコング基地のハッチを開いた。




