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番外編 宇宙漂流記ルミナス182 ムーのマシンダー9

 ムーの白い鯨はその向きを海の彼方、大西洋の方に向けた。


「ムーの民の怒り、今こそゴルランティスに見せる時です。さあ、白い鯨よ、その力を……」


 白い鯨の口が大きく開き、その中から光の塊が放たれた。

 その巨大な光の塊は、海の遥か遠方に向かい飛んでいった。


 そして数分後、天を突く程の巨大な光の柱が海に立ち上った。

 何という威力の兵器だ! これが白い鯨の力だというのか。


 ゴルランティスの誇る巨大な奇岩要塞は白い鯨のエネルギー弾により完全に消滅した。

 これで当分はゴルランティスの連中が攻めて来る事は無いだろう。


 オレ達はルミナス号をイースター神殿の広場に着陸させ、ラ・ムールとラ・モールの姉妹に会った。


「ありがとうございます、貴方がたのおかげでゴルランティスのドラゴ兵からムーの民を守る事が出来ました」

「私は……操られたとはいえ、貴方がたに酷い行いをしました、誠に申し訳ありません……」


 ラ・ムールとラ・モールの姉妹はオレ達に頭を下げ、お礼をしてくれた。


「大丈夫です、被害も思ったより大きくなくて良かった」

「それも全部貴方がたが白い鯨と神像マシンダーの準備ができるまで時間を稼いで敵を引き付けてくれていたからです、わたしは是非ともこのお礼をしたいのです」


 ラ・ムールはルミナス号の全員を呼び、盛大に歓迎してくれた。


「もし貴方がたさえよろしければ、このムーの地で共に暮らしませんか。ヤマト達ムーの戦士も貴方がたと戦えて良かったと申しています」


 その気持ちはありがたいが、オレ達はこの場所にずっといるというワケにもいかない。

 ルミナス号の子供達を早く親に会わせて安心させてやらないと……。


「ラ・ムール様、そのお気持ちはとても嬉しいです。ですが、ここにいる子供達は一日も早く親に会いたいはず、そしてオレ達はそんな子供達を無事に親に会わせてあげる義務があるんです」


 オレはラ・ムールにここに残る事は出来ない事を伝えた。

 するとラ・ムールは残念そうな表情をしたが、その後にオレ達に笑顔を見せた。


「わかりました、貴方がたの旅が無事であるように祈りましょう。そして、貴方がたの望むものを何でも差し上げます、是非とも遠慮せず申し出て下さい」


 どうやらラ・ムールはオレ達に何でも望むものをくれるというらしい。

 それなら貰う物はもう決まりだ。


「ラ・ムール様、わかりました。それでは……オリハルコン鉱石のエネルギーを頂けますでしょうか? あのエネルギーならタキオンエンジンでワープが可能なはずなんです」

「そうですか、わかりました。今このイースター神殿に保管されているオリハルコン鉱石を貴方がたに差し上げましょう、どうぞお持ち下さいませ」


 ラ・ムールはオレ達に大量のオリハルコン鉱石を譲ってくれた。

 これだけの鉱石からエネルギーを取り出せれば、ワープも可能だ。


 タキオンエンジンにエネルギーが貯まるまでの間、オレ達はムーの戦士になったヤマト達と話をした。

 彼等は同じ年くらいのルミナス号の子供達と楽しく会話が出来たようだ。


 そしてエネルギーが蓄えられ、オレ達はムーを離れる事にした。


「さようなら、ラ・ムールさん、ヤマト」

「さようなら、皆様の旅の無事を祈っております」

「元気でな、さようなら!」


 タキオンエンジンの動力炉に火が入り、ワープが可能になった。


――ワープ開始まで5・4・3・2・1……ワープ!――


 今度はどこの世界に飛ばされるやら……。


 ワープが完了したオレ達は、何やらドンパチが行われている戦場にワープしてしまったようだ。

 何だかずんぐりしたマッシブなロボットが敵のロボットと戦っている。


「おいお前達、ここは危険だ! 早くこの場所を離れろ!」

「え? アンタ達は誰だよ?」

「俺の名前はキャプテン・ローランド。特殊チーム・コングのリーダーだ!」


 どうやらオレ達はまたどこかややこしい世界にワープしてしまったみたいだ。

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