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番外編 宇宙漂流記ルミナス181 ムーのマシンダー8

 白い鯨は生物兵器なのかそれとも機械生命体なのか。


 作中ではイマイチよくわからないまま終わった話だったが、実物の中を見るとどういうものなのか分かるだろう。


 オレはドローンを飛ばし、白い鯨の中に潜入させた。

 すると、白い鯨の中に入った邪獣神ジャイガーとその操縦者であるラ・モールの姿が見えた。


「これが白い鯨か、我等ゴルランティスに逆らうムーの者達の船、内部から破壊してやろう」


 だが、邪獣神ジャイガ―が破壊活動を開始しようとしたその時、白い鯨の口の中に飛び込んできたのは神像マシンダーだった。


「そうはさせないぜ! おれがいる限りお前達の好きにはさせないからな!」


 ツルギ・ヤマトは神像マシンダーの剣を振るい、邪獣神ジャイガーに斬りかかった。

 それを迎え撃つ邪獣神ジャイガーは長い爪を生やし、その爪で神像マシンダーの剣を弾き、反対に斬りつけようとしている。


 激しい剣と爪の弾け会う音が辺りに響いた。

 白い鯨の口の中は神像マシンダーと邪獣神ジャイガ―のコロシアムと化していた。

 激しい斬り合いだったが、邪獣神ジャイガ―は徐々に押され、最後には鯨の舌の上に倒れた。


「クッ、まさかムーの者がこれほどの力だとは……」

「観念しろ、もうお前の負けだ」

「ムゥ……まさか、こんな事になるとは、ゴルランティスの戦士として負けは死を意味する。さあ、殺せ!」


 ヤマトが神像マシンダーの剣を振るおうとした時、鯨の奥の方から叫び声が聞こえた。


「もうやめて、お姉様!」

「姉だと!? 私には妹なんていない。ふざけるな」

「いいえ、貴女は騙されているのよ、ゴルランティスは貴女を攫い、ムーをムーの民に滅ぼさせようとしているのよ」

「ええい、煩い、黙れ!」


 邪獣神ジャイガーから降りたラ・モールは白い鯨の奥に向かい、よろよろと歩き出した。

 その前に身体を張って止めようとしたのはラ・ムールだった。


「ここから先にはいかせません、お姉様」

「くどい、私はお前の姉などではない……」


 ラ・ムールはそれでも姉であるラ・モールを説得しようとしている。

 それが無駄でなく、効果があるのはドローン越しでもわかるくらいだ。


「何故だ、私は……ゴルランティスの戦士、ラ・モールだぁあぁ!」

「この、わからずやぁぁ!」


 ラ・モールは剣を振るい、ラ・ムールに斬りかかった。

 それを躱し、はずみでラ・ムールの放った光線はラ・モールの頭部のサークレットを破壊した。


 パキィインッ!!


「キャアァアアッ!!」

「お姉様っ」


 頭部にダメージを受けたラ・モールはその場に崩れ落ち、ラ・ムールが抱え込んだ。

 そして意識を取り戻したラ・モールは、今までには無い程穏やかな表情で妹であるラ・ムールを見つめていた。


「わ……私は一体……?」

「ラ・モールお姉様、思い出してくれたのですか!?」

「貴女は……私の……妹?」


 ラ・モールは妹のラ・ムールを抱きかかえ、姉妹はようやく本当の再会を果たした。


「お姉様、貴女はゴルランティスによって操られていたのです」

「そ、そんな……お父様は……」


 ラ・ムールは悲しそうな表情でラ・モールを見つめた。


「お父様は、戦いの中で……」

「そう、そうなのですね」


 ようやく再開できた姉妹はお互いに手を取り合い白い鯨の奥の方に向かった。


「これは?」

「これは、白い鯨のメインコアのオリハルコン動力炉、この船の中枢部です」

「ラ・ムール……貴女はいったい何を……」


 ラ・ムールがオリハルコン動力炉に手を触れると、彼女の目が光り出した。


「私はムーを守る為、サイボーグになりました。私の意志はムーの白い鯨を意のままに操る事が出来ます」


 そしてラ・ムールは白い鯨の向きを遥か遠方の海に向けた。


「さあ、今こそ反撃の時です。白い鯨の怒りを……ゴルランティスに解き放つのです!」

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