番外編 宇宙漂流記ルミナス180 ムーのマシンダー7
「何だと……白い鯨、だと……」
ゴルランティスの戦士ラ・モールはがけ下に落ちたはずの神像マシンダーが無事助けられた事に驚いていた。
神像マシンダーは、ムーの白い鯨の船に助けられ、地面に落下する事無く鯨の背中の上に乗っていた。
「ヤマト、待たせたな。おれ達も一緒に戦うぜ。なんせおれ達はムーの絆で結ばれた仲間なんだ」
「そうだぜ、オレも思い出した。オレ達は古代ムーの時代に共に戦った戦士なんだ」
ランス・ジンとダガー・ジョウの二人がツルギ・ヤマトに語りかけた。
「今ここで、ゴルランティスを止めないと。わたし達の未来も消えてしまう、それを止めるにはゴルランティスを倒し、歴史を正しく進ませないといけないのよ」
「そうです、ぼく達がここで負けてしまうとタイムパラドックスが起き、ムーは滅亡、今の地球の歴史にすら大きな影響を与えてしまう可能性もあるのです」
どうやら最初に状況を理解したサイ・マナブの説明でムーの戦士の末裔達は戦う事を選んだようだ。
でもこれでようやく戦力が揃ったと言える。
神像マシンダーに白い鯨、そしてルミナス号とMV三機、そしてマスドライバーカノンにビーム砲搭載のルミナス号、コレだけ戦力があればいくらゴルランティスのドラゴ兵が相手でも負けないだろう。
「このオリハルコンってのから取り出したエネルギー、マジで凄いな！」
ジャッキーがエネルギーゲージ満タンのランセルの中で驚いていた。
まあオリハルコンなんて本来伝説の金属、鉱石の一種なので現在、いや未来の世界でもそう手に入るものでは無い。
そのオリハルコンの力で動いてるのがムー文明だと言えるのだろう。
「くっ、ドラゴ兵、スパルタニアンK、タロスG、蹴散らしてしまえ！」
ラ・モールが指示すると、巨大で奇妙な獣の顔のついた岩石の要塞から何体ものドラゴ兵が降りてきた。
どれもマシンダーAで見たことのあるロボットばかりだ。
だがリファインしているのでパッと見だけでは元デザインが分からない。これはメカデザイナーのおかげとも言えるだろう。
古代ギリシャやローマの戦士のような姿の巨大なドラゴ兵は剣やビーム、火炎等で神像マシンダーや白い鯨、ルミナス号に攻撃を仕掛けていた。
その破壊力は高く、もし一撃でも食らえば致命傷、とくにMVなんてあの攻撃からすれば紙装甲みたいなものだ。
だが流石にセドリックやマルコ達もいくつものロボ世界を渡り歩いただけあって戦闘力、操縦能力はエース級パイロットに匹敵するだけになっている。
彼等は紙一重でドラゴ兵の攻撃を躱し、確実に関節等の装甲の薄い部分にリニアレールカノンやビーム砲を叩き込んでいた。
「よし、おれ達も負けていられないぞ。白い鯨の力を見せてやる」
白い鯨に乗った四人は大量のドラゴ兵の群体に向かい、体当たりを仕掛けた。
数百メートルの巨大な鯨型の船の体当たりだ、いくらドラゴ兵が装甲の分厚いバケモノだと言ってもひとたまりも無い。
多数のドラゴ兵がペチャンコになり、白い鯨はそのままゴルランティスの奇岩要塞に体当たりをした。
ドゴガァァアアンンッ！！
とてつもない巨大な音を立て、白い鯨と奇岩要塞が激突！ そして白い鯨の表皮が捲れた。
すると、その中にあったのは全身をオリハルコン合金で包まれた巨大な鯨型の船だった。
確かにこれはルミナス号に似てると言えば似てるわ……。
「くっ、このままで済むと思うな、ゴルランティスの戦士の力、見せてやる１」
大量のドラゴ兵を失ったラ・モールは邪獣神ジャイガーを駆り、白い鯨に乗り込んで来た。
そして彼女は邪獣神ジャイガ―ごと白い鯨の口の中に入り、辺りを内部から攻撃し始めた。
「グォォオオオンッ！」
生体兵器とも言える白い鯨は、外部からの侵入者により、苦しそうな叫び声を轟かせていた。
