番外編 宇宙漂流記ルミナス179 ムーのマシンダー6
眩いばかりに光り輝く神像マシンダー、その姿を見たムーの民は誰もがその前にひれ伏していた。
「おお、あれこそ伝説の守護神マシンダー、今こそ永い眠りから解き放たれ、蘇ったのです」
神像マシンダーは鋭い剣を振りかざし、ツインへTUの頭を削ぎ落した。
一つの頭を失ったツインへTUは一瞬何が起きたのかを判断できなかった。
だが、その後に自らの右側の頭が無い事を手で触ろうとして確認し、ようやく自身の状況が分かったらしい。
「ギャガガァアアアッ!!」
奇妙な叫び声を上げたツインへTUだったが、光り輝く神像マシンダーの敵ではなかった。
ツインへTUは神像マシンダーの左手で頭を握られ、おもむろにブチブチと引き千切られて血管の様なケーブルが剝き出しになっておびただしい体液が流れていた。
流石はジェッターロボ等の残酷描写に定評のある作者達だ、今じゃ地上波のゴールデンタイムでこんな描写の作品は規制が入りそうなグロい光景だと言える。
神像マシンダーはツインへTUの半分引き千切られた首を持ったまま空に投げ飛ばした。
ブチブチッと鈍い音を立てながらツインへTUは空中に投げ飛ばされ、神像マシンダーはその胴体目掛けて剣を投げた。
ズドッ!!
剣はツインへTUの身体に深く刺さり、ツインへTUはそのまま地面に落下した。
そして、ジタバタしていたが動きが鈍くなり、最後には止まって大爆発を起こした。
「やった、これでドラゴ兵を倒す事が出来た! 流石は神像マシンダー様とその戦士だ!」
ムーの民はドラゴ兵の脅威が神像マシンダーによって打ち砕かれた事に歓喜していた。
だが、そんな彼らの希望は一瞬で絶望に変わってしまった。
「何と他愛ない、所詮は斥候程度ではあの働きしか出来ぬか」
「だ、誰ですか! そ、その声は……」
ラ・ムールは声のした方向に目を向けた、するとそこに居たのはラ・ムールそっくりの顔をした、古代の鎧をまとった少女だった。
「ほう、まだ生きていたのか、ラ・ムール」
「貴女は、お姉様!」
「フン。汚らわしきムーの民を妹に持った覚えは無い。私の名はラ・モール。ゴルランティスの戦士だ!」
ラ・ムールの前に現れたのは彼女の姉のようだ。
確か、このラ・ムールとラ・モールの姉妹対決が当時の視聴者に結構評判が良かったので、この後に作られた作品のコッドアースは兄と弟の対決路線になったんだよな。
「ムーの民よ、貴様等には神像マシンダーと白き鯨があるというそうだな、だが、我等ゴルランティスの力はその神像すら上回るものだ、さあ見るが良い」
ラ・モールが高く剣を掲げると、そこに稲妻が降り注いだ。
すると、その煙が晴れた中に立っていたのは神像マシンダーと同じ大きさの獣の邪神像だった。
「さあ、目覚めるが良い、邪獣神ジャイガー!」
ラ・モールが叫ぶと頭がライオンか豹のような獣人型の黄金に輝くロボットが姿を見せた。
って、アレって実在のプロレスラーで見た事あるぞ。
そうか、このゴッドマシンダーでのライバルだった邪獣神ジャイガーをリファインして作り直し、主人公にした作品が獣心ファイヤージャイガーだったか!
そういえば原作の漫画家が同じだったな。
そんな事を考えている暇は無さそうだ、ヤマトの乗った神像マシンダーとラ・モールが乗った邪獣神ジャイガーが対決を始めた。
だがまだ覚醒したばかりのヤマトに対し、ラ・モールは生粋の戦士だと言える。
その戦いはラ・モールの方が優勢だ。
「どうした、神像マシンダーとはこの程度の力か!」
「くそっ、マシンダー、頼む、動いてくれ」
邪獣神ジャイガーの鋭い爪と牙が神像マシンダーを崖の上に追い詰めた。
「さあ、これで最後だ、ムーの神像よ、ここで朽ち果てるがいい!」
「うわぁああっ!!??」
ヤマトの乗る神像マシンダーは邪獣神ジャイガーの猛攻により、崖の下に転落していった。
「ヤマト、捉まって!! 今助けるわ!」
だが、海に落下する前にそのマシンダーを拾い上げたのは、ムーの巨大船、通称……白い鯨だった。




